概要
ムハンマドの風刺画を掲載していた週刊風刺新聞『シャルリ―・エブド』は、2015年1月7日にその本社をイスラム過激派のテロリストに襲撃され、編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら合わせて12人が殺害される事件に遭うことになった。
この事件はフランス社会に衝撃を与え、テロリズムから表現の自由を守ろうと「私はシャルリ―」というプラカードを掲げて連帯を表明するデモがフランスだけでなく世界各国で起こったのである。
背景
『シャルリ―・エブド』はアメリカ同時多発テロ事件が発生して以降、ムハンマドなどを題材にした風刺画を掲載してこれを非難していた。
2006年にはデンマークの日刊紙に掲載されたムハンマドの風刺画を転載したことで、世界各国のイスラム教徒からこの風刺画に対する抗議デモに発展した、(当時のジャック・シラク仏大統領も「行き過ぎた挑発だ」と批判している。イスラム教ではムハンマドを描くことはタブーであり、許されざることだった)
以来「シャルリ―・エブド」の関係者は殺害脅迫を受け、2011年には編集部に火炎瓶が投げ込まれて全焼した事件が起こった。
だが、フランス政府から自粛を要請されているにもかかわらず、2013年にはムハンマドを漫画で描いた『ムハンマドの生涯』を発売したのだった。
ただし、『シャルリ―・エブド』の風刺画はフランス社会の原則に背くものではない。
フランスでは宗教批判含むあらゆる表現の自由が認められる国であり、実際に『シャルリ―・エブド』は多くの訴訟にあったものの多くにおいて勝訴している。
フランス文化・通商省は『シャルリ―・エブド』の功労を称えた。
2020年9月にはこの事件を振り返ったマクロン大統領は「フランスには冒涜する自由がある」と表明した。
賛否
この「私はシャルリー」と掲げる一連の運動とその元となった『シャルリ―・エブド』には世界中で賛成と否定に沸いた。
テロリズムから表現の自由を保護しようとする自由のための運動だ!と絶賛する声と、表現の自由を悪用してマイノリティへの攻撃を正当化しているという批判である。
この運動は「表現の自由」の有り方に一石を投じた問題として今でも語り継がれており、議論になっている。