概要
2013年12月に安倍政権下で閣議決定された「国家安全保障戦略」において、日本の安全保障戦略の基本理念として掲げられた。自国のみならず、地域・国際社会に平和の実現の為に能動的・積極的に行動を起こすことをよしとする思想。
「国家安全保障戦略」において「積極的」であるとされる分野は多岐に及んでいる。(概要のみでも、日本側の行動指針ではないものも含めて、実に32回「積極的」という単語が記述されている)
「積極的平和主義」に近しいと思われるのは「概要」のIV-1-(1)に記された
「国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会の平和と安定の実現に一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく必要がある。」であろう。
『積極的平和』
日本における政治用語である「積極的平和『主義』」と「主義」を付けない場合の「『積極的平和』そのもの」の語義はかなり異なるものとなる。
「積極的平和」を定義したノルウェーの社会学者ヨハン・ガルトゥングによれば戦争がないが、貧困、社会的抑圧、環境破壊などが存在する場合を「消極的平和」、戦争がなく、貧困、社会的抑圧、環境破壊などが無い場合を「積極的平和」としている。
つまりは「積極的平和」の場合の「積極的」は「達成すべき『平和の内容の積極性』」を、日本政府の主張する「積極的平和主義」の「積極的」は「『平和の為に積極的(能動的)であろう』とする姿勢」を、それぞれ表している。