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経歴
1899年5月4日、大阪府生まれの慈善活動家、右派政治活動家。
1925年、父の遺産を基に村会議員に立候補して当選したのを皮切りに政治活動を始める。政治活動に身を投じる傍ら、株式投資で巨富をなし、それを政治活動や軍への寄付（飛行機や飛行場を軍に寄付したという）に活用することで、政界や軍部に足場を築いた。1931年には国粋大衆党を結党してその総裁に就任。当時はムッソリーニに心酔してファシストを自称しており、過激な直接行動で知られ、恐喝容疑で逮捕されて約4年間投獄されたこともある。
一方で太平洋戦争には慎重な立場であり、それ故に戦時下の1942年に実施された衆議院議員選挙には非推薦で出馬している。結果は見事当選し、衆議院議員を1期務めた。
戦後は1945年にA級戦犯容疑者の一人として逮捕されて巣鴨プリズンに投獄されたが、先述したように戦争に慎重な立場だったことなどが証明されたことから法廷に立つことなく不起訴となり、1948年に釈放された。
獄中では投獄直後から約1年間日記を書いており、当時の巣鴨プリズン内の様子や戦犯達の人物像などを克明に記している。また、戦前にも長期の獄中経験があったことからエリートが多いA級戦犯を励ます一方、彼らの特権は認めなかったことからBC級戦犯たちの間でも絶大な人望を得たという。
釈放後は戦犯やその家族の支援活動に奔走した。
一方、巣鴨プリズン内でアメリカの雑誌を見た際にモーターボートの写真を見たことがきっかけで競艇に関心を持ち、出所後すぐに獄中生活で培った政治家の人脈を通じて競艇の導入を政府に働き掛け、1951年にモーターボート競走法を成立させると、翌年に競艇運営を目的に設立された全国モーターボート競走会連合会（現日本モーターボート競走会）の会長に就任。
1962年にそこで得た収益を造船業振興や慈善事業に活用する目的で「日本船舶振興会（現:日本財団）」を創設し、その会長を長きに渡って務めた。
以降、競艇の収益のみならず、株式投資で得た収益など私財もつぎ込んで社会事業を展開した。
1995年（平成7年）没。
人物
株式投資で築いた財力と、元戦犯救済活動で得た人脈により政財界の黒幕としても扱われ、マスコミには「日本の首領（ドン）」とまで呼ばれた。
一方で意外にも戦前・戦後を通じて政財界を資金源としたことはない。これは笹川本人が特定の政治家に肩入れすれば却って言動に足枷がつくと考えていたとされている他、そもそも株式投資や競艇の収益で政財界に頼らずとも十分な資金を調達できたためともされている。
先述したように競艇導入を実現させ、その収益を活用する日本船舶振興会を創設し会長を務めた。競艇で得た収益を私することなく慈善活動につぎこんでおり、振興会の会長としての報酬は一切受け取らなかった。そればかりか個人として投資で得た資金も日本船舶振興会の慈善事業に費やしていたという。
海外でも慈善事業家として高い評価を得ており、ジミー・カーターやジョン・ロックフェラーなど世界各国の要人と交友関係を持っている。
ちなみに死後、税務署によってその遺産総額は約53億4000万円と査定された。しかしそのほとんどは自宅や山林、非上場会社の株など換金がしづらいものばかりで、換金できそうな美術品などの類は偽物が多かった。それに対して借入金は約37億5000万円にも上り、それらを差し引いた残りの遺産約15億9000万円にも、相続税が約7億5000万円かかる結果となった。
結局、笹川の長男と次男は相続放棄を行い、三男の笹川陽平（現日本財団会長）が相続することとなった。しかし、負債も一緒に引き継ぐことになったため、その返済に苦労したという。
笹川の慈善活動は、アジア・アフリカ諸国の飢餓や伝染病の克服に大きな役割を果たした。また、中国からの医学留学生受け入れをはじめ、日中友好にも大きな功績を残している。
1970〜80年代に子供だった世代には、CMで「一日一善」「戸締まり用心、火の用心」を訴える「社会奉仕に熱心なお爺さん」というイメージで知られている。
また、「世界一家 人類兄弟(世界は一家 人類皆兄弟)」も有名。
