概要
上杉謙信がまだ長尾景虎と称していた24歳の時、景虎は初めて上洛を果たして天皇や将軍に拝謁したが、その際に若き公卿・近衛前久(当時の名は前嗣。関白就任は翌年)と大変懇意になったことは知られている。
景虎に惚れ込んだ前嗣は、2歳年下の妹・妙子(たえこ/妙姫)を景虎に嫁がせようと考えた。非常な美女だった妙子を景虎も気に入り、婚約を結ぶまで話は進展した。しかし景虎が一旦帰国していた翌年、妙子は風邪が悪化して16歳の若さで死去したのだという。
以上の話は謙信の地元・春日山の史跡保存会が配布したパンフレットで紹介されたもので、同書では他に「奥女中の楓」「土御門家の小蝶姫」の話を紹介している。その後、戦国研究の大家・桑田忠親が「近衛前嗣の妹・絶姫」と紹介したことで世に知られるようになったようだ。
桑田説によれば、景虎と絶姫が出会ったのは、近衛前嗣が招待した能の鑑賞会の時だったという。世阿弥作の「八島」で絶姫は男装し、源義経(の幽霊)役を演じていたらしい。前嗣はそのまま絶姫と景虎を引き合わせようと考えていたのだが、結局進展もせずに景虎は帰国してしまい、絶姫も翌年には亡くなったのだ、という。
地元説・桑田説は細部が異なるが大筋の流れは同じである。だが話の本となった近世以前の資料があると思われるのだが、今のところそれは明らかになっていない。
上杉謙信の女性関係に関するエピソードというのは他にもいくつか紹介されているが、妙姫/絶姫のような出所不明のものだったり、上州の伊勢姫のように軍記物が由来だったりするので、いずれにしても事実ベースとして伝わっているものは存在しないようである。
ただし謙信も教養としては恋愛を理解していたようで、恋を題材とした和歌が残っているらしい。
創作上で(一例)
上洛の際に近衛前久によって紹介された絶姫。兄による急で強引な話ではあったが、絶姫自身は謙信を慕っていた。
生涯不犯(妻帯禁制)を掲げていた謙信はこの話を丁重に断るが、絶姫の方は謙信を忘れられず、当時北条氏康と戦っていた謙信に会うために男装をして関東へ向かう。
元々の容姿が大変美しかったため、男装した姿も美少年であり、謙信も興味を示したという。
この時、男装した彼女に興味を示した謙信は「あの美少年を呼んでこい」と家臣に命じたが、すぐに女だと発覚して「手を出さなくて良かった」という意味のことを言ったらしい。
こうして変装が発覚して帰されることとなり、想いは叶わぬままその翌年に若くして病死した。
戦国大戦において
2012年2月23日のVer1.2「五畿七道の雄」稼働に伴い別仕様のカード(R仕様)も追加された。
本項では、便宜上従来版を「UC仕様」として解説する。
UC仕様解説
上杉家武将として登場。行動力にあふれ、やや猪突猛進な少女として描かれている。
イラストに使われている漢字は「恋」(位置は羽織)。
スペックは、コスト1 武力1/統率4の槍足軽で、特技は「魅力」。
上杉軍ではそこそこ需要の高い1コストの槍足軽で、計略「封印の術」は相手の計略を一定時間使用不可にするという独特の特徴をもつため、使用頻度は比較的高い。
群雄伝でも登場し、その際の行動はおおむね概要の通り。
会話パートでは実兄である近衛前久も登場するが、こちらはカード化されていない。
『急がなきゃ! あの方はきっと
私をまっているんだから!』
R仕様解説
左がR仕様の絶姫。
UC仕様では青のストレートポニーテールだったが、R仕様ではお洒落に巻かれたピンク色の髪や、長く伸びた睫毛から、UC仕様よりも女性らしさが漂うデザインになった。(相変わらず男装はしている)
イラストに使われている文字も、「恋」から「景」になっている。
スペックはコスト1 武力1/統率5の槍足軽で、特技は「魅力」。
UC仕様と比べ、統率が1増えた。
持ち計略は「封印の術」から新規で追加された「稲妻落とし」というものに変化。
範囲に入っている「最も統率の高い敵武将1体」に対して雷撃でダメージを与えるもの。
単体向けのダメージ計略と言うことで、使用する士気は5点と軽めで、本人の統率もそこそこあるため、低統率の敵に対してなら十分な与ダメージが見込める。
「景虎様、私の事見ててね!」
また、余談ではあるがpixiv内でのイラストでは伊勢姫と共に描かれることもしばしば。
他にも「たえひめ」という名前の読み方から「たえちゃん」と呼ばれることも多いが、検索してはいけない。