凪は消え、闇の下に広がる混沌の白い海面の上を、少女は彷徨っている。
それは神霊か、亡霊か、はたまた剥離した精神体か。
彼女の心は今でも、どこかの遥か遠い世界で、終わらない旅を続けているのかもしれない。
風の巫女(木行に強い)、神の末裔としての現人神(星精に強い)
彼女の持つ性質は、東風谷早苗の片割れである。
概要
秘封ロストワード記号L?「最終区」より登場した、失われた世界(霊魂)の東風谷早苗。
この早苗の能力は完全に失われていて、自分自身に関する記憶も失くしている(そのため能力名も「-能力不詳-」となっている)。
そのため出身世界の詳細な情報は一切不明であるが、この早苗は他の世界の早苗には無かった『亡霊』の性質を持っていることだけは判明している。
残された記憶は『幻想入りする前の記憶(外の世界における一般常識)』のみで、その記憶については他の早苗との差異は見られなかったという。
その一方で、幻想入りした後に関する知識は一切持ち合わせていない。八坂神奈子や守矢神社に関する記憶なども、自分自身に関わることとして記憶に残っていない。
この早苗は能力が無いため、奇跡を起こせない。というより、彼女は『そもそも早苗は奇跡を起こせないという解釈』に立脚しているかのような存在でもある(そもそも東風谷早苗の能力「奇跡を起こす程度の能力」は神奈子と諏訪子の御利益を受けて発動するのであって、早苗自体は元々単なる人間にすぎなかった。)。
故に、この早苗にとっては神は存在していないのである。
衣装は少女転生の系譜である「衣装解放」の衣装(通称・花嫁衣装)にそっくりだが、至る所が破れてボロボロになっている。テキストでは「転生衣装に似るが、朽ちているようだ。」とも説明されている。
髪色は白がかっていて背景ありの立ち絵では足が透けており、転生衣装とは違って何処か不気味な雰囲気。
汎異記号は「L0g」。汎異記号の小文字の"g"は「ghost」の頭文字から来ている。
プレイアブル化
テーマ曲
失われた世界の早苗のテーマ曲は、Foxtail-Grass Studioの「君とまた夢の中で」。新規書き下ろし楽曲の一つで、原曲は「信仰は儚き人間の為に」。
余談
気質は『白い凪』。
小ネタ
ショット
拡散ショットの「棄神の制御杖」と集中ショットの「廃神の空薬莢」の元になったのは東方非想天則の早苗のスキル「スカイサーペント」と「コバルトスプレッド」。
テキストの「失われた天空大蛇の弾幕」「失われた炸裂地精の弾幕」は元々の名前である「スカイサーペント」「コバルトスプレッド」の名残のようなものと思われる。
「スカイサーペント」は空飛ぶ蛇のことで、中南米各地の文明で信じられていた。マヤのチャク、アステカのケツァルコアトルなどが有名。
「コバルト」は地の精霊コボルトもしくはコバルト爆弾、「スプレッド(spread)」は広がりを意味する。
- 「投げた札が白蛇に転じて飛翔する 白蛇は直進軌道だが、敵を上下に感知すると直角に曲がって追う」(東方非想天則「スカイサーペント」カードコメントより)
- 「投げた札が地面に潜り、敵の前で炸裂弾になって地中から飛び出す 地中を進む為敵弾の影響を受けず射撃戦の緩急の役を担う」(東方非想天則「コバルトスプレッド」カードコメントより)
頭の『棄神』と『廃神』は合わせると「廃棄」と二つの「神」の字になる。
廃は「背」と同音でもあり、蛙の要素もある弾幕であることからある神を彷彿とさせる。
スペルカード
スペルカードはどれも複数のスペルカードを組み合わせている。全て符名無し。
アレンジの特徴として、いずれも弾幕の色は白で統一されている。
スペカ1「ブロークンソーマタージ」は東方風神録の秘術「グレイソーマタージ」と東方地霊殿の秘法「九字刺し」のミックスアレンジ。元ネタのグレイソーマタージ、忘却の祭儀、一子相伝の弾幕、九字刺しはいずれも秘術・秘法といった「儀式」を想起させる名前が含まれている。
特に「グレイソーマタージ」系のスペルカード(特にHard以上)は守矢家の祭儀の伝承が途絶えたことが名前の由来でもある。
ブロークン(broken)は「壊れた・破損した」、ソーマタージ(thaumaturgy)は「秘術・儀式、奇蹟を起こした者」を意味する。
スペカ2「ディフェクティブミラクル」が東方地霊殿の奇跡「ミラクルフルーツ」とバレットフィリア達の闇市場の奇跡「ミラクルペンタクル」のミックスアレンジ。どちらも「奇跡」の符名と「ミラクル」の名前を冠するスペルカードである。
ディフェクティブ(defective)は「欠陥のある、欠けている」を意味する。
ラストワード「ディズガイズドアポスタシー」は大奇跡「八坂の神風」と神徳「五穀豊穣ライスシャワー」のミックスアレンジ。
それぞれ風神録と地霊殿における早苗の使う最後のスペルカードであり、どちらも神の力を借り受けたり、神の恵みを受けたりする「神徳」や「信仰」の要素が強い。
英語でディズガイズドは「変装・偽装した、された」、アポスタシーは「背教」を意味する。
ちなみに、スペルカード演出には東方地霊殿のものが全て採用されている。
地霊殿といえば「この幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね!」の台詞をはじめ、異変を経て幻想郷の一員となった早苗の変わり様が話題になった作品でもある。
幻想郷での記憶が無く、もう神や奇跡を信じていないはずのこの早苗が使っていると考えると……。
CV
ボイス1は本泉莉奈氏、ボイス2は中島愛氏、ボイス3は戸田めぐみ氏が担当。その手に触れるキセキまでの東風谷早苗と完全に同一である。