概要
東方Projectに登場するドレミー・スイートのスペルカードの一つ。
ドレミーが『東方憑依華』に登場した際に初披露した。
本スペルカードは後述のように極めて個性的なものであり、ドレミー・スイートというキャラクターの新たな側面を見せるものでもあった。
演出・性能
演出
スペルカード発動と共にドレミーが前傾姿勢をとるとカットインが流れ、その裏で顔を除く体の周りにもこもこと白い毛や人工的な突起物が出現し、ドレミーを覆っていく。
カットインがアウトするとそこには白毛のぬいぐるみのようなボディとメカニカルな四脚・尻尾を持ったマテリアルから頭と襟だけを出した状態のドレミーが現れる。
前方に付きだしたドレミーの頭には巨大な金色の角のようなものも備えられている。
もこもこのボディ正面、ドレミーの顔の下部にはまた別の目と口のような意匠もある。
ボディ側面には先端が後方に折れ曲がった巨大な赤色の翼のようなものがのびている他、ボディの翼の上部の位置には大砲のようなものが三門、側面方向に向かって付き出している。
メカニカルな脚部、尻尾部には関節の継ぎ目や内部構造もみられ、さらに脚部先端には指や爪に相当するランディングなどの機能も持つと思われる可動部位もみられる。
この大きなアーマーともマシンともとれる機構を着込んだドレミーは渦を巻くように全方向に向かって羊弾幕を発射する。この際はプレイヤーの操作などは受け付けない。
スペルカード自体を画面上方または下方で発動すると、一連の変身や弾幕射出を行いつつゆっくりと中央軸(デフォルト縦軸)に移動する。
ひとしきり射出しきると最終的にすべてのパーツを金属音と共に全方向にパージし、元のドレミーの姿に戻る。この際の様子から見るに、もこもこ部位はかなり圧縮できるような融通の利く部位で様子。またパージされたパーツにはドレミーの顔のお面もあり、顔にもまたパーツがあったことが分かる。
外見に表れているもの以外に内部に別パーツがあったりなどの様子は見られない。
本スペルカードで見られる一連のパーツはとあるアニメ作品、ないしはそのリメイク作品に登場する主人公ロボットと、特に同作中に登場する主人公側の移動要塞がその主人公ロボットと合体した際のものからのオマージュをみることができる。
その頭部の角や翼の形状、四足による前傾の姿勢、もこもこボディ前面のパーツに見る表情、頭部と胴体が別個のユニット単位であることなどはその一例である。
また一瞬ではあるがドレミーが一連のパーツをまとっている最中(カットインの裏)において全身が丸まっているシーンがあり、このときは尻尾がパーツ下部(四足歩行時であれば腹部方向)を通って自身の顔方向にまで伸びている。このポーズも先のアニメ作品における移動要塞の特殊な防御形態(「ボリューションプロテクト」などの名称)とも姿勢のコンセプトが一致する。
さらにパージの際にドレミーのお面も吹き飛んでいる様子は、こちらは先述の同作主人公ロボットにみる「フェイス・オープン」という頭部に集約された複数兵装(「超兵器ヘッド」)による一種の同時攻撃の冒頭に顔面のフレームが解放ないしはパージされるアクションも彷彿とさせるもので、<羊符「ナイトメア・オブ・キメラ」>には同作品及び同作品の系統作品からの多様なオマージュが見られるものとなっている。
本スペルカードは『憑依華』製品版頒布数日前に公開された黄昏フロンティアによるPVでも先行して一部披露されており、この極めて特徴的でユーモアに富んだスペルカードもまた大いに話題となった。
ファンの間ではこのPV公開以後、ドレミーの本形態についてオマージュ元の作品名またはロボット名と絡めて「ドレキング」などの呼称も生まれている。
なお、先のアニメ作品にみる移動要塞の名称は上海アリス幻樂団作品では「大空魔術」と漢字一文字違いであるが、漢字が同一の部分でも読みが異なり、上海アリス幻樂団作品のものは「大空」の部分が「おおぞら」の読みとなる。
この読みのニアミスはファンの間では誤読ネタとしても長らく話題となることがあったもので、先のアニメ作品を先に知ったファンからは「大空魔術」は当初「だいくうまじゅつ」と読まれやすいという現象が折に触れてみられている。逆もまた、読みを入れ替えて然りである。
これまでは名前の一部の作品名の近似だけであったものが、本作のドレミーを通しては内容へのオマージュも見られたことで、ファンの間ではそちらの方面からもまた話題が広がった。
性能
本スペルカードの使用にかかる必要コストは1400で、これは『憑依華』におけるドレミーの三種のスペルカードの内で最も高い。
『憑依華』における他キャラクターのスペルカードとその使用コストとの比較を通して見るとき、必要値としては作中最大コストの八雲紫の<「無人廃線車両爆弾」>の1500に次いで高く、霧雨魔理沙の<恋符「マスタースパーク」>や少名針妙丸の<小槌「伝説の椀飯振舞」>、宇佐見菫子の<銃符「3Dプリンターガン」>などに並ぶ。
「キメラ」
「キメラ」( chimera )とはギリシャ神話に登場する伝説上の生物であり、複数の実際の動物や空想上の動物の部位から成る存在。例えとして「訳の分からないこと」の象徴としても用いられる。
先述のように羊を思わせるもこもこのパーツ、機械的なパーツ、そして顔に装着するお面と、質感が異なる様々なパーツに加えて想像上のキメラにも見られるような四足歩行と有翼という姿はまさに伝承に見る混在的存在としてのキメラにも通じる。
また「キメラ」の語には先述の異種混在の様から生物学的にもその語が用いられており、こちらでは生物の同一個体内に異種の別個体(異なる遺伝情報をもった個体)が並存している現象を指す。
この意味のキメラでは、まさに夢と現が各々異種の存在として独立して動き出してしまった『憑依華』当時の状況も彷彿とさせ、特にドレミーも関わった物語の一つである菫子などは「完全憑依異変」とその根幹の「都市伝説異変」の両者に絡んだ自らとの対峙を通して自らの中に融け合うキメラを感得することともなった。
夢の世界をも巻き込んだ悪夢的キメラにして夢も現も異種混在の悪夢が発現したのが『憑依華』の姿の一つである。夢を見せる妖怪であるドレミーは、夢の住人たちの暴走を収め夢と現に槐安をもたらすべく夢と眠りの象徴である羊もアクションに加えて、監視と介入とに乗り出すのである。
なお、空想上の異種混在の存在としての「キメラ」のコンセプトは日本では「鵺」にも通じるものであり、東方Project作中には「鵺」である封獣ぬえが登場する。ぬえの場合は「鵺」の伝承にも見られる通りキメラ性のうちで「正体不明」を特にその旨とする。
ぬえもまたキメラの名を持つスペルカードとして<鵺符「弾幕キメラ」>を表現している他、「完全憑依異変」に先立つ(あるいは並存する)「都市伝説異変」にも参加しており、人々に「 正体不明 」による恐怖をもたらして楽しんだ(『東方鈴奈庵』)。
pixivのタグとしては
pixivではスペルカード名と先述の「ドレキング」の愛称がタグとしてそれぞれ使用されており、同時に使用されている場合もあればいずれか一方だけが使用されていることもある。
広く本スペルカードに関する様子を描いた作品を求める場合は、両者を併記した語を用いるなどするのも方法の一つである。
- pixiv検索ワード例
関連イラスト
- パーツ装着時のドレミー / パーツパージシーン
- <羊符「ナイトメア・オブ・キメラ」>自体の他キャラクターにも見る様々なキメラ的可能性