CV:古川慎(アニメ版では「メガネ男」と表記)
「その答えは君にも解るはずだよ...僕は君が生まれる前から君の事を知っていて君は僕が生まれる前から僕の事を知っている...『クロスチェイサー』、『月光蝶の瞳』、『恢人』...聞き覚えはないか?僕は『何者』か?そして『君』は『何者』なのか?さぁ思い出せ...漆黒の翼!」
※この記事には第11χのネタバレが含まれます!
概要
『斉木楠雄のΨ難』第11χに登場したキャラクター。主人公・斉木楠雄と同じPK学園高校の生徒であり、自分に特別な力が備わっていると思い込んでいる言うまでもない中二病である。そのため同じ中二病である海藤瞬に親近感を持ったのか、学校の屋上で校庭にいる生徒の人数を数えていた海藤に上述のような言葉をかけ、海藤は生前は「ダークリユニオン」に反逆した組織のA級ソルジャーであったことを告げる(言うまでもなく完全な設定。なお「ダークリユニオン」とは2人が妄想している架空の悪の組織の名称である)。
作中での行動
屋上でのやり取りの後、放課後に学校内にある自身のアジトに彼を呼び寄せ、「ダークリユニオン壊滅のために漆黒の翼(海藤が名乗ってる彼の別称)の力を自分たちに貸して欲しい」と彼に話す。「自分たち」という言葉に戸惑った海藤に翡翠の瞳は自分たち2人以外にも、『思念魂(ファントム)』という秘術で魂のみの存在となっている『真紅の刃』、『黄金の雷』、『琥珀の牙』、『限りなく透明に近い青い角』がいることを告げる。2人のやり取りが進んでいくと海藤は信頼の証としてやってくるよう翡翠の瞳から指示されていた『盟友の禊』を彼に差し出し、それを見た翡翠の瞳は海藤の解答を大いに絶賛しこの分であれば正式に自分たちの仲間になれると彼に話す。しかしその直後、アジトがダークリユニオンの攻撃を受けるという事態が発生し、翡翠の瞳は呪文でなんとかこれに対処するも、彼と漆黒の翼を除いた他の4人は死亡してしまう。まさかの事態に激しく動揺する海藤に翡翠の瞳は攻撃を防ぐための結界を張るために協力して欲しいと海藤に頼み、結界を張るための条件として財布を含めた貴金属を特殊な布でできた袋に入れること、そして自分と同じ動きをしながら呪文を唱えることを告げる。これらの行動によって無事結界を張ることに成功するが、油断はできないという理由ですぐさまアジトから離れるよう海藤に指示する。それを聞いた海藤は私物の貴金属を入れた袋を返すよう翡翠の瞳に頼むが、彼は結界がまだ不安定な状態ゆえにむやみに動かすのは危険としてこれに応じなかったものの、漆黒の翼がいなければ自分は先ほどの攻撃で確実に死んでいたと感謝し、これからのよろしく頼むと礼を言った。
なお、当の海藤は自身の中二病気質を理解してくれる人物と出会えたことからきた喜びから翡翠の瞳を大いに慕うようになり、一方の翡翠の瞳も気持ちの伝え方が中二病絡みとはいえ海藤を慕っている模様。海藤は学校内では白い目で見られる存在であり、海藤本人にとって翡翠の瞳は斉木や燃堂と同じく自身に親しく接する数少ない人物である上同じ趣味や気質を持っていることから、紛れもない友人と言える。
以下重大なネタバレ注意
本性
「あーっはっはっは!!ひひひひマジバカだろアイツ!!くっくっくっ、何が漆黒の翼だよくくく!!中二病こじらせ過ぎだっつーの!!」
実は上記の人物像は全て演技。その本性は自らの私欲を満たすためならどんな手段も平然と行うギャグマンガのキャラクターとは思えないほどの悪逆無道かつ卑劣なエゴイストである。そのため海藤とやり取りを交わしていた際には彼を慕うような素振りをしていたが、実際は海藤に対して微塵も慕情を持っておらず、それどころか彼の中二病気質を嘲笑っていた。
言うまでもなく翡翠の瞳にとって海藤は自身の私腹を肥やすための道具に過ぎず、上述の記述の中にあった「盟友の禊」も実は彼に出されていた宿題であり、海藤は自らが意図せずにこの翡翠の瞳の宿題(しかも本来、生徒全員がやらなければならないものである)をやらせれていたことになる。要は翡翠の瞳は海藤の中二病気質と純粋さを利用し騙すことで海藤を自分のパシリとして使っていたので根が極めて怠惰であるのも分かる。
結末
海藤をアジトに見立てた部屋から立ち去らせ一人きりになった翡翠の瞳は、企みが上手くいったことで一人狂ったように高笑いをする。そして彼は海藤が貴金属の入った袋の中に彼の財布が入っていたことに気づき、その財布の中を開けると万札があるのを目にする(海藤の家庭は両親の職業は定かではないが、それなりの良家であり小遣いは月3万円である)。これに目が眩んだ翡翠の瞳はダークリユニオンの仕業にすれば問題ないと判断し、あろうことかその万札を平然と盗もうとする(明らかな犯罪行為である)。
「やれやれ……友達はよく選んだ方がいいぞ」
実は斉木は騙されやすい海藤が心配になったのか、部屋の天井に張り付いて2人のやり取りを盗み聞きしていたのである。その予感は的中し、翡翠の瞳が本性を現すと腸を煮え繰り返る思いをしながら上述にある言葉を海藤に向けて送った。忠告を送った後斉木は部屋の明かりを消し、突然の停電に動揺した翡翠の瞳の背後に回り込む。そして「ダークリユニオンだ」と彼を脅しながら翡翠の瞳を成敗した。成敗の様子は描写されなかったが、後述にあるその後の彼の様子や部屋がかなり荒らされた様を見た限り、極めて過激なお仕置きを喰らったのは間違いないだろう。純粋な人間を自らの私欲のために平然と騙して利用した卑劣かつ非道な人間としてはふさわしい自業自得な報いであり、あまりにも軟弱で情けない態度で怯えていた。ちなみに翡翠の瞳はこの出来事の後、ダークリユニオンの存在が本気で実在すると思い込み組織に怯えながら「関わるのはゴメンだ」と証言し、その様子を見た斉木は「今なら海藤と仲良く出来そうだな」という言葉を呆れながら彼に送った。
余談
上記の通り、この小悪党に友人がいるかは定かではないが、ここまで性格が悪いとまともに翡翠の瞳と仲良くしたい人間はほぼいないと思われ、仮にもし彼を友人と慕う人間がいたとしても、海藤と同じく彼の私欲のために利用されている可能性がある(演技でも上記のダークリユニオンのメンバーの名前を出したが同行していたのが海藤のみであるのが証拠と思われる)。
ただし自らが中二病キャラを装って海藤を騙そうとしたことを見る限り、何らかの過程で海藤のことを知ったと思われ、このことから海藤が在籍しているクラスである2年巛(3)組に彼の知り合いがいる可能性はある。
現時点で彼がこの後どうなったかは作中では不明だが、存在しない架空の存在を本気で実在すると思い込んでいる様を見れば周囲から敬遠されるのは間違いなく、下手をすれば精神疾患者とみなされて精神病院に収容される可能性もある。
また読切版には高橋に似た財布泥棒が登場し、周囲の者を騙して燃堂のせいにすると似て非なる最低な悪事を行ったが性格が悪いところと窃盗をやらかした点は同じである。しかし最後は斉木の超能力で強制的に改心させられる。最後は素直に自分の犯行を言い、退学すると翡翠の瞳よりは救いようのある人間である。
ここまで彼の性格の悪さを貶す記述しているが、忘れてはならないのは彼はまだ高校生という点である。間違いを犯しても何ら不思議ではない年頃であるため、大まかにその点も踏まえれば彼も決して救いようがないわけでもない(ただしあくまでもダークリユニオンの存在に怯えているだけで、自らの悪事に対する反省はしていない可能性もある)。
少なくとも不良少年ではないようで高校一の不良とされる金剛剛のように特に喧嘩が強い一面はなく、暴力沙汰などの素行不良には手を染めていないと思われる。
ちなみに後に14巻と同時に発売されたキャラクターガイドブックによると、本名は田中一郎であり在籍クラスは「2年○(1)組」で血液型がA型であるのも分かった。また翡翠の瞳の悪事に遭うまで海藤は彼と一切面識がなかったことが明かされている。 また、表記でも仲間を連れて1コマだけだが再登場をもは果たしており、おまけコーナーでも多少は登場している。
実写映画版では彼のオマージュである「月光蝶の瞳」というオリジナルキャラクターが登場している。こちらは海藤を騙したり、利用したりするような下衆な行動は目立たず、海藤と意気投合していた(更に言えば他にも中二病患者の仲間も実際にいた)。
古川慎氏はナレーションも担当していた。
尚、海藤はこの後自身と同じ境遇やコンプレックスを持つ窪谷須亜蓮と出会い、紆余曲折あった末互いを名前で呼び合うほどの親友同士となり、さらに沖縄での修学旅行では夢原知予を不良から助け出し、以降彼女から好意を寄せられるなど、現在は翡翠の瞳の悪事に遭った当時よりも友人に恵まれている。