「はじめる前にこれを渡しておこう 苦痛に耐えられぬ時のむがいい」
原作の状況
主人公ケンシロウの義兄で北斗神拳を転用した医療の達人であるトキが、ケンシロウの盟友で南斗水鳥拳の伝承者レイに対して、経絡秘孔「心霊台」を打ち込む直前のセリフ。
なお、「飲む」「よい・良い」といった表記ゆれがあるが、「のむがいい」が原作準拠の表記である。
レイはこれより前、愛する女マミヤ達の住む村に侵攻してきたラオウと対峙するも圧倒され、秘孔「新血愁」を突かれ敗北した。この「新血愁」は断続的な苦痛とともに肉体が徐々に破壊され、3日後には全身から血を噴き出して死亡するという、解除の手立てもない強力な秘孔だった。
自らの最期を覚悟したレイは、かつてマミヤに奴隷の焼印を押し、彼女の戦う運命を生み出した男ユダを死の前に倒すことを誓う。しかし、ユダはレイが失意のうちに新血愁で倒れることを目論んで策略により対決を避け、レイの望みは絶たれたかに思われた。
ここでトキが明かしたのは、「心霊台」という秘孔を突くことで、1日程度ではあるが新血愁の効果を遅延させられるということだった。ただし副作用として、心霊台の効果が表れるまでの間、新血愁をも上回る恐ろしい激痛に耐え抜かねばならないという。この分の悪い条件にも、レイは迷いなく心霊台を打ち込んでもらうことを選んだ。
そして施術の直前に、トキがもしもの時の自決用としてレイに毒薬を渡すのがこのシーンである。南斗水鳥拳の伝承者である屈強な拳士ですら耐えきれず死を望む可能性があるとトキが判断する時点で、心霊台の副作用がどれほどの激痛かがうかがい知れる。
その後の展開
心霊台の副作用は、あまりのレイの苦悶振りに彼の妹アイリすら毒薬を飲んでくれと懇願するほど壮絶だった。しかしレイは黒髪が真っ白に変貌するほどの苦痛に耐え抜き、見事に1日の命を長らえることに成功する。レイの肉体が崩壊する頃を見計らって現れたユダと対峙したレイは、死の覚悟を背負い迷いを絶った凄まじい技の切れを見せ、最後は奥義「飛翔白麗」で見事にユダを討ち果たした。
悲願を果たしたレイは、曇りない表情でマミヤ、アイリ、ケンシロウ達に別れを告げ、肉体が崩壊する様を見せないよう一軒の家屋の中でひとり散った。ケンシロウの手によって家屋ごと火葬され、愛する者や盟友、自らが守り抜いた村人達に見守られながら天に昇っていった。
コラージュ素材
……とこのように、『北斗の拳』原作屈指の人気キャラであるレイの最期にまつわるシリアスな1コマなのだが、現在ではトキが手に持つ毒薬を様々な物品に改変したコラージュ素材として知られる。代表的な例としてはストロングゼロやワンカップ大関などの酒類、バファリンや栄養ドリンクなど、果ては難易度選択型ゲームの低難度選択アイコンなどという飲み物ですらない物まで。
世知辛い現代社会、毒薬をあおるまではしなくとも、酒や薬に頼らなきゃやってられない時もあるよね!
二次創作MAD『真・世紀末死あたぁ伝説』では、薬を手渡すシチュエーションこそ同様だが身体の痛みが数倍になる薬になっている。苦痛増してんじゃねーか!マミヤもそんなもん持ち帰って来んなよ!
レイ「トキとは、どんな男なのだ…?」
ケン王「まさに、悪魔だな…」
北斗の拳イチゴ味でもこのシーンはパロディにされた。
トキに心霊台を突かれ、激痛に悶えのたうち回り、血を吐くレイ。
その絶叫が止み苦痛で髪の毛が真っ白になったレイが出てくるはずがサウザーになって出て来た