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茶筅

ちゃせん

茶道において抹茶をあてるのに使用する茶道具のひとつで、湯を加えた抹茶を茶碗の中でかき回して均一に分散させるための道具。
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抹茶といえばこんもりと泡を立てた姿が有名であるために、

泡立て器の一種と考えられることも多いが、泡を立てるための道具ではない。

製のものがほとんどだが、アウトドア用の金属製のものもある。


形状編集

竹の一端を細く裂き、薄く削った先端を内側に柔らかくカーブさせたものが一般的である。

普通は3寸7分(12cm弱)ほどの大きさであるが、大きなものとして西大寺の大茶盛で

用いられる高さ1尺2寸(約36cm)のものが有名である。形は流派や用途によってさまざまである。

逆竹になっていて、竹の根本側を穂先に加工する。


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用途によって穂の数は16本から120本まであるが、64本が標準と考えられている。

この数は外穂の本数で、64本なら外穂と内穂を合わせれば128本になる。

穂数が少なければ穂が太く腰の強い茶筅になり、穂数が多ければきめ細かな茶筅になる。

そこで一般に濃茶を練る場合は穂数の少ないものを、薄茶を点てる時には穂数の多いものを用いる。

穂数が多いものほど製作に技術を要するため格の高い茶筅とされ、明治維新以前は80本以上の穂数は

大名以上の貴人用、120本は将軍用とされていた。大名が濃茶を練る場合には、穂数を多くかつ穂を

太くするため太い竹で茶筅を作り、これを宝莱と呼んだ。穂数が少ない茶筅で薄茶を点てるには

技量を必要とするため、逆に穂数の多い茶筅を用いることで自らの未熟を示して謙遜する

意味合いもあった。78本の茶筅を用いるのはこの意味合い。


編み糸編集

からみ糸、かがり糸などと呼ばれている。通常は黒の糸を用いるが、流派や趣向によって

白や赤の糸を用いることがある。


製法編集

原材料編集

主にハチクを原材料とするが、通常の淡竹(はちく)の他に紫竹(しちく)など色づく品種も

用いられている。通常は3年目の冬に伐採し、煮沸して油を抜いてから露天乾しにして白竹にし、

その後しばらく(数ヶ月~数年)寝かせてから加工する。正月用に天日にさらさず青竹の

まま加工する場合があり、また流派や趣向に応じて煤竹(長年燻された古材)を用いることもある。


加工編集

コロ切り編集

節を挟むように切って円筒形の「コロ」にする。長さは3寸7分(12cm弱)が標準的。

皮むき編集

穂先となる部分(根本側)の皮を薄くむく。湯の吸収を早くすることで

穂先が折れにくくする効果がある。

大割り編集

根本側から節近くまで16等分に割る。割り方は竹の太さや作る穂の数によって

12~24等分と変化する。

片木編集

等分したそれぞれを外側にこじあげて、竹の肉を外し皮だけ残す。

小割り編集

目的とする穂数に割っていく。八十本立なら16等分したそれぞれを5等分し、

さらに不均等に2つに割る。

味削り編集

湯に浸して柔らかくしてから、穂の内側をこするように削いで薄くする。

面取り編集

外穂の面取りをする。点てるときに抹茶が付着しないようにする効果がある。

下編み・上編み編集

糸で編んで外穂を広げる。

仕上げ編集

穂先をしごいて形を整える。


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茶筅の字はもともと鍋などの焦げ付きを落とす道具、筅(ささら)から由来している。

芸術まで高められた高山の茶筅では「筌」の字を使うことが通例である。


茶筅通し ==編集

点前で茶を点てる前後に、茶碗に湯または水を張って穂先を振ったり茶筅を上げ下げしたりする

所作を茶筅通しと呼ぶ。茶を点てる前は必ず湯を用い、茶碗を温めると同時に穂先を湯に馴染ませ

柔らかくして折れにくくする効果がある。一方、茶を点てた後は水または湯を用い

、茶碗と茶筅を同時にすすぐことになる。そこで、点てる前を「茶筅湯じ」、

点てた後を「茶筅濯ぎ」と呼んで区別することもある。茶筅を上下するのは、

穂先を目前で改めて折れや汚れのないことを確かめる意味がある。茶筅を茶碗の縁において

持ち替えながら上下を繰り返すが、このとき軽く音を立てる習いになっており、

真言密教の灑水(しゃすい)の礼に由来した浄めの意味があるとされる。


茶筅供養編集

茶筅は数ある茶道具の中でも代替の効かないもので、技術の粋と精魂とを込めて作られる

工芸品である。しかしその用途から必然的に消耗品であり、本来ならば1回使い捨て、

大事に用いても数十回も使えば穂が折れてしまう。そこで使い終えた茶筅を焚き上げて

感謝の意を示すのが茶人の習いとなっており、針供養、筆供養などと同様に茶筅供養と

呼ばれている。この目的で建立されるのが茶筅塚で、現在では全国各地に見られるが、

これは大正から昭和にかけて広まった比較的新しい習慣らしい。

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