概要
一般的には外見は四肢を備えた蛇である(「四肢があったら蜥蜴じゃないの?」って指摘しない)他、蛇頭人身もあり得る。
人間と冠されているだけあって、人間と同様に知能が高い傾向がある。
それに加え、原種の蛇によっては体内に猛毒を蓄え、それを爪牙を介して攻撃に用いる個体もいると思われる。
後述される大見出しの内容を理由に、種族名称を〈ヴァルーシアン〉や〈レムリアン〉とする創作物もある。
尚、ナーガのような外見の存在も該当する可能性があるが、こちらは「半人半蛇」と呼ぶ方が多い。
クトゥルフ神話
※クトゥルフ神話では『ヘビ人間』表記が主流の為、この大見出しに関しては前述の表記で統一します
二畳紀に出現した爬虫類から進化した二足歩行の亜人種。
人間が存在しない超古代の地球において、現在のヨーロッパとアフリカを含む地域(パンゲア大陸と推測される)に〈ヴァルーシア〉と呼ばれる帝国を始め、7つの国家を建国した。
ヘビ人間達は優れた魔術の力と、毒物を中心とした科学知識の両方を備えており、帝国内に巨大な石造都市や実験施設を建設していた。
更には蛇の神のイグを始めにシュブ=ニグラス、ツァトゥグァ、バイアティス、ハン等々の外なる神やグレート・オールド・ワンを崇拝する神殿も多数あった模様。
しかし、三畳紀では恐竜の、更新世では人間の台頭によって地上を追いやられ、大半のヘビ人間は人跡未踏の洞穴に潜伏する事態に陥ってしまった。
現在は “種として少数しか生き残っていない上、大半の個体が小型化と退化の末に四つん這い姿勢でいる” とされており、数的には現世の人類の敵ではないと見られている。
しかし、一方で全盛期から生き残っている年長の個体や、先祖返りを迎えた強壮な個体も存在しており、前述のヘビ人間達が後進の育成を努めているとも考えられている。
しかも、そのようなヘビ人間は全盛期の力や知識を備えている為、中には「〈ヴァルーシア〉の再興」や「ヘビ人間の地上帰還と勢力の復権」を掲げて、密かに暗躍している一派も存在している模様。
リン・カーターによる整理
クトゥルフ神話作家のリン・カーターによる整理では、ヘビ人間の衰退は以下のようにされている。
元々は自分達の父祖たるイグを崇めていたが、三畳紀に闇のン・カイにてツァトゥグァの叡知に触れて以降、殆どのヘビ人間がツァトゥグァ信仰に切り替えた。
しかし、これはイグに対する明確な背信行為そのものであり、激怒したイグは裏切り者達を尽く知性を持たぬ蛇に退化させた。
そして、イグ信仰を貫いた不死の司祭・ススハーが率いる原理主義派が生き残り、新にレムリア大陸に渡り人類と争うようになったとされる。
大地の妖蛆
ホラー作家のロバート・E・ハワードが創造した亜人種で、全体的に色白だが体に疎らに鱗が生えている。
その起源は退化したヘビ人間の亜種とも、ヘビ人間と普通の蛇の交雑種とも見られている。
能力に関してはヘビ人間に劣るとも、先祖返りを起こし膨大な魔力を備えているとも伝わる。
一説には欧州におけるドヴェルガーや『チェンジ・リング伝説』の原型とも考えられている。
尚、〈大地の妖蛆〉の呼称はユグまたはユッギャと呼ばれる、ヘビ人間と無関係な別種族の別称にも使われている。