豊田出光
とよだいでみつ
拳願会に並ぶ裏の格闘技組織に成長した、『煉獄』の主宰者。
職業は「日本一の資産家」で、暴力団であった父の遺産相続を18歳で放棄して裸一貫でなりあがるほどの豪傑。偶蹄類のような不気味な眼を持つ。
欲しいものは海底の水族館から出来たてのハンバーガーまでなんでも手に入れる性格。見る人が見れば"子供"だが、ありあまる欲求の全てを現実にできる実力を持っているのもまた事実である。
「ダンベル何キロ持てる?」に登場する戦国武将・豊田忠勝は先祖にあたるが、彼が仲間の裏切りで死んだことから、それを教訓に誰も信じないようにしていると豪語する。彼は愛人に島を与えているが、自らは定住地を持たないのもそのせいだという。
しかし奸計を巡らすタイプではなく、攻めるときは常に直球である。"いい人"ではないが極悪人という感じでもなく、和気あいあいと人に接する。
体躯は202cm/132kgの筋骨隆々で、加えて七星蛇形拳と崑崙派蛇形拳の違いを見破るなど、心技体ともに闘技者の一人と言われても違和感を感じないレベルで、事実下位クラスの闘技者となら勝ったり負けたりできるレベルとのこと。作中でも「自分には武道はこれが限界だ」としつつも、いっちょ前に巨大生肉に右ストレートをかまして大きな穴を開けていた。
禍谷重蔵(禍谷園)や鹿野玄(ガンダイ)、中田一郎(SH食品)のように、闘技者が経営者になることは珍しくないが、闘技者経験の無い経営者で闘技者クラスの力を持っている者は本作では珍しい。
5年後の宇宙開発実現前に地球を制覇することを目論見て、日本の裏格闘技組織(=ひいては日本社会)を掌握するため、拳願会との接収を賭けた交流戦を挑む。
素直な反応を返してくる山下一夫のことを気に入っており、「かずっち」と馴れ馴れしく呼ぶ。しかしおちょくっている訳ではなく、「人をよく見ている」と高く評価しており、一目置いている。それどころか重要な話を乃木を通さず山下とすることもあった。
乃木新拳願会会長のことは会ったばかりの時はノリが悪いと今ひとつソリが合わない様子だったが、交流戦で積極的な政治的駆け引きで仕掛けてきたのを気に入った様子で、交流戦後の乃木の提案にも乗り、以降は乃木と綿密にコミュニケーションを取っているのが明言されている。
基本的に自分の欲求を満たすこと、人生を面白おかしく生きることをモットーにしている人物であり、単純な善人とも悪人とも言い難い男である。日本随一の資産家でありながら、金の力にモノを言わせるような勝負事はあまりせず、ある種のフェアプレイ精神を持っている酔狂なところもある。独特の美意識を持った侠客と言えよう。
交流戦後は拳願会と協定を結び共存共栄の方針で進めている。