誇ることで落ちこんで…
笑うところで泣くんじゃねえよ
概要
漫画家・イラストレーター「小雨大豆」の作品で描かれる酔狂な物語構成の一つ。
なお本稿「負け続けたって事は、挑み続けたって事」の表現は、小雨大豆の妖怪漫画「月歌の始まり」にて登場した言葉。
小雨作品へ登場する者達の複雑な情緒や背景……だけでなく、現実を生きる者にも在る、殆どは無形の財産。
立ち上がって戦う者の誉れ
本稿の表記「負け続けたって事は、挑み続けたって事」は、妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する鬼娘(ヒロイン)・小紅(こべに)の台詞へ在る要点を繕(つくろ)った表現。
原文は―
負け続けたって事はさ───
お前が何度も立ち上がって 挑み続けたってことじゃんか
彼女は、旅の御供・桃(もも)が過去の行いに今も悔いてる罪悪感を想い、これは彼が清いお人好しや強い正義感を有してる裏返しで、救えず溢(こぼ)れる命ばかり考えて、己の非力さを嘆いてると感じていた。
でもそれは―
嘆くことじゃなくて 誇ることで
泣くところじゃなくて 笑うところだろ
どんなに辛いことがあっても
どんなに悔しさに押し潰されそうになっても
立ち上がって戦い続けなけりゃ
負けることだってできないんだから
それは お前にとっての誇りだろ
妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する主人公の坊主・桃(もも)を評した姿勢〝立ち上がって戦う者〟は、同世界線の前作「九十九の満月」でも描かれる要素。
例として主要人物だと、今では世界最強と謳われる人造妖が築いた武勇伝『最強の現人神(あらひとがみ)と数え切れないほどに繰り広げられた戦歴は圧倒的な負け越し』や、黄鬼の子どもは力が弱くも恐い物の怪といった現実に遭っても挑み続ける強さ、など様々な〝立ち上がろうとする物語〟を描いている。
どの世界にも在る自己価値
「負け続けたって事は、挑み続けたって事」は小雨作品に限らず、他の物語、そして現実世界を生きる者-本稿を閲覧している貴方(じぶん)でさえ-へも在る自己価値の一端。
様々な障害・場面に対し生きづらい、嫌な感じだなと思ってしまう。
でも、それって―
問題に立ち向かった、
世界(げんじつ)に挑んだ証でもある
殆どは形に残らない功績(くんしょう)、
気付きにくいが、貴方(じぶん)の世界(こころ)で確かに感じる功労(ざいさん)で、
いずれの結果へ繋げれる『経験』であり、どの道筋へ向かうか分からなくとも、何らかな『答え』へ到達するに欠かせない軌跡でもあるのだ。