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月歌の始まり

げっかのはじまり

小雨大豆の妖怪漫画。前作「九十九の満月」から数百年前の昔話、鬼と坊主の酔狂な御伽噺が描かれる。2020年6月よりpixivFANBOXなどでWEB連載され、同年8月より単行本が『出版社を通さない自主出版(電子版/デジタルのみ)』されている。
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はじめに

本稿は解説修正の執筆依頼が提出されています。

時に度々の構成変更などがある事も御寛恕を願います。


概要編集

漫画家・小雨大豆が描く自主制作の妖怪漫画


当初は酔狂文庫「鬼と坊主の話」で投稿され、後に「月歌の始まり」へタイトル代えし、より世界観の広がりをみせていく作品として引き続き描かれている。


本作は妖怪漫画九十九の満月」(🌕1)の数百年くらい前のお話を描く前日譚との事で、作者が語っていた「三部作」の二作目にあたる模様。

因みに関連話として、情報サイト「マグミクス」にあった取材で、物語の構想はまだ全てを描き尽くしていないらしい(2021年8月現在)。


前作「九十九の満月」を知らなくても作品を楽しめる構成にしているが、軍神など前作にも登場する要素/用語もあり、高頻度で行われるどんでん返しといった作風クセもより濃くなって続投している。

数百年前を舞台にしている事もあって、多少内容に相違あるようだが、概ね同じ事柄と思われる。…たぶん


2024年09月現在、単行本は電子書籍のみで既刊20巻(🌙1)。

制作媒体・販売形態は『出版社を通さない自主出版』という独特すぎる漫画創作がされている。


🌙1.単行本20巻は、試験施行としてKindle(amazon)以外では24年10月に陳列されている。


🌕1.「九十九の満月」とは、ニコニコ漫画で2011年~ 2017年の6年連載された小雨氏のWEB漫画

なおPC版では第一話~第六話+番外一話が無料で配信されているが、第七話以降からはアプリ版「ニコニコ漫画」で全話が公開中。このため最終話まで閲覧する際は携帯機器の使用が必要である事に留意。


あらすじ編集

むかし むかし あるところに邪知暴虐(じゃちぼうぎゃく)と恐れられる大鬼と、それを諫(いさ)める一人の小坊主がおりました。


この酔狂な物語の始まりは、この鬼と坊主が出会う所から始まり始まり〜云々〜。赤鬼娘・小紅(こべに)と昔は侍だった坊主・(もも)の主人公たちが、騒動に巻き込まれながら旅をする御話でございます。


媒体編集

2019年12月から作者の𝕏️(前代・Twitter)pixivアカウントに酔狂文庫「鬼と坊主の話」として、数回に分け投稿された。後に本作品名「月歌の始まり」へタイトル代えし同人誌として発売もされた。


2020年6月にpixivFANBOXようこそ酔狂倶楽部へ!」へ掲載場所が移り、タイトルは「月歌の始まり」で第一話が再投稿された。そして続きのお話が同電子掲載場(WEBサイト)などでWEB連載されている。


本作「月歌の始まり」は複数のWEB漫画サイトにも掲載されているため、サイトごとに閲覧の仕方が若干異なる。例として独自機能(オプション)のあるサイトで比べると―


ようこそ酔狂倶楽部へ! - pixivFANBOXでは編集

妖怪漫画「月歌の始まり」のWEB連載がされている他、作中の制作秘話やキャラデザなどの四方山話「楽屋裏 うらばなし、他の創作を更新などがされている。支援する階級(コース)には【怪談級部員<民話級部員<神話級部員<戦国万妖級部員】が設けられている。


Fantia(ファンティア)では編集

クリエイター支援プラットフォーム【Fantia(ファンティア)】では、支援する階級(コース)に【雑談級部員(一番下の級)】が追加されている。その他は上記サイトとほぼ同じ仕様になっている。

※2021年5月以後の投稿は、pixivFANBOXで引き続き行う変更がされている。


ニコニコ漫画では編集

Webマンガサービス【ニコニコ漫画】では、縦スクロールでコマ割漫画を閲覧する「スクロール形式」で、ニコニコ動画と同じく「閲覧と同時に読者のコメントが流れる」機能が付いている。その他、見開きの頁では横広がりの表示(ワイド)になり、より見映えのある表現を楽しめる特徴もある。

因みに前作「九十九の満月」では、自動送りでBGMSEも流れる「ニコニコ漫画形式」の別形態で連載がされた。



このように掲載場所によって表現がちょっぴり差異のある閲覧が出来るので、気になる方はこの酔狂な妖怪漫画を読み比べてみてはどうか。


単行本編集





本編以外のオマケ

2024年09月現在、20巻までが『出版社を通さない自主出版』をされている(🌙1)。おまけ要素(ページ)も収録されており、2020年8月より登録代行サービスによって、pixivコミックなど複数の電子書籍サイトで電子(デジタル)版の発売のみとなっている。


因みに同人誌版は1話(40pくらい)の収録で、単行本1巻は180pの収録となっており、カラー表紙も異なる。


🌙1.単行本20巻は、試験施行としてKindle(amazon)以外では24年10月に陳列されている。


作風編集

前作「九十九の満月」へ続く作者の持ち味を活かした物語作り、そして電子媒体(WEB)ならではの試みも加味した、酔狂な浪漫戯画を描く。

主な作風例として―


暖色系の画構成編集

第1話の画第2話からの画第4巻途中からの画
鬼と坊主の話 その2月歌の始まり 第2話月歌の始まり 第67話

第一話は黒白画(モノクロ)に髪色(ヘアカラー)を着けた構成。第二話以降からは一転して全体的に暖色系の画(コマ)で制作している。第4巻途中/章節「黒白の里編」の次章からは線画を濃くした作画。そして山場ではふんだんに全色画(フルカラー)で迫力ある場面を描いている。

紙本媒体では中々できない、こういった絵画工夫を多彩にできる電子媒体ならではの特徴。


主役たちの役回り編集

※本世界の鬼文化では「人」の字を「鬼」の字に変えて言葉にする大昔の風習がある。本項もそれに習い「一鬼(一人)」などと表記する。ただし人間や妖怪へ関する事柄は変換せず表記する。


本作は一鬼(一人)の鬼と一人の坊主、二者が主役となる妖怪漫画。両者の鬼物像 / 人物像に興味を惹かれる人・鬼・妖怪の群像劇、それぞれの背景経歴にある因縁から現れた数々の敵役・準主役による面白味といった鬼情もの / 人情ものが物語にある特徴の一つ。


↓活躍場面例

立ち絵賢明な様純粋な様子鬼は度胸変態に好かれる…
月歌の始まり 3巻でました!!【自主製作】月歌の始まり 第194話【自主製作】月歌の始まり 第247話【自主製作】月歌の始まり 第201話【自主製作】月歌の始まり 第137話

赤鬼娘(ヒロイン)・小紅(こべに)は、過酷な鬼生(人生)によって山で一鬼ぼっち(一人ぼっち)で暮らし、鬼技(おにわざ:超能力)で大鬼に化けて他を寄せ付けない生活をしていた。それもあって鬼付き合い(人付き合い)に疎い所もあり、チョロい所もある反面、長年の山暮らしで培ったり元来の素質もあってか聡明思慮深い一面もある。まさに主鬼公(主人公)で魅力的な鬼柄(人柄)に、後述する桃から始まり、味方大将へ一目置かれたり、まさかの変態たちを寄せ付ける展開がお決まりとなってしまった。



↓活躍場面例

立ち絵昔の桃残念桃やる時は強し過去の因縁が…
月歌の始まり 19巻発売中&セール中です!月歌の始まり 第80話【自主製作】月歌の始まり 第181話【自主製作】月歌の始まり 第217話【自主製作】月歌の始まり 第154話

もう一人の主人公(もも)は、元侍からござる口調の小坊主。かつては日ノ本一と謳われる程の実戦経験は健在・・・だが、当時は真面目男子だった反動で今は下心(スケベ)まる出し、いわゆる残念な美青年(イケメン)となっている。普段はお茶らけているがやる時は高い実力を発揮する男ただのもm・・・只者ではないからこそ、過去の怨恨に苛まれ一大事となってしまう一幕もある。


以上、主人公たちの大要へ前後述する作風を加えた醍醐味が特徴の一つである。


お馴染みの小雨節編集

幾つもの過去作で培った表現力を活かすのが作者・小雨大豆にある特色の一環。特に前作「九十九の満月」のような長期作品では、数々のどんでん返し伏線を張り巡らした物語作りが魅力の一つ。これらは作者の名義に因み「小雨節」と称される面白味が本作「月歌の始まり」でも発揮されている。


その為、他作品からの登場キャラ描かれたり、先述した他の題材・表現を再創作(リデザイン)して用いたり、作者の特権として愛好する科学ネタ時事ネタを盛り込んだりと、今回は自主的な長期制作だけあって自由で酔狂な様相は前作以上である。


【自主製作】月歌の始まり 第183話

更に今作では歴史上の英雄たちを主人物に描く趣向へ挑んでおり、当時歴史考証により注力しつつ、諧謔(ユーモアセンス)を交えた漫画作りをしているのも特徴の一つ。


そして自力主体で制作も相まってか、所々で描き間違いがある箇所に気づかれる読者もいるだろうが、実は此れも作風の一つである(?!)。

作者曰く「自分の作品が大好きすぎて、あんまり見返せない」も要因の端緒、作品愛が多大すぎるゆえの特性的な一面らしい(更に詳細は【小雨節】の項を参照)。


世界観編集

などの人外/化物鬼技(おにわざ)や神技(かみわざ)といった異能/武技も存在する架空日本。更に魂魄(こんぱく)という汎用的な万物一環もあって、魔法のように便利な技術/文化がある反面、容易く暴走の危難も隣り合わせである世界観。

後述の用語へあるように多彩な存在・代物も織り込まれた世の中が、当時の生活考証と併せて描出される。


時代背景編集

舞台は「九十九の満月」における時世、江戸時代まで史実通りである架空の大正時代(1912年~1926年)から数百年くらい前の時代。

作中の描写や"ある歴史上の人物たち"登場したり関連出来事から平安時代(794年~1185年 ※年数については諸説あり)が舞台であり、前作から約600年~700年前となる模様。


年代参考

🌙 日本の元号一覧 - ピクシブ百科事典


通貨(つうか)編集

本作「月歌の始まり」の通貨単位で「」が登場している。坊主が懐から出した小銭(こぜに)は穴の空いた物や金属片のような硬貨だった。この事から、平安時代に流通していた鐚銭(びたせん:今でいう1円のように価値が低く、他の貨幣より粗悪な銭)や、江戸時代に流通していた通貨三貨制度』に相当する代物と思われる。


通貨参考

🌙 江戸時代の三貨制度 - Wikipedia

🌙 江戸時代の貨幣制度「江戸時代の豆知識」 - 日本食文化の醤油を知る

🌙 貨幣史年表 ~日本の貨幣 そのあゆみ~ - 三菱UFJ銀行


登場した地名編集

※リンク先によっては関連人物/妖怪なども掲載。


用語編集

  • 羅列は五十音順で作成。
  • 主人物への関連度・登場頻度が高い事柄を抜粋。大要を記述し、更に詳細はリンク先を参照。

(おに)

本作品群(九十九の満月/月歌の始まり)では哺乳類オニ科の動物へ分類される種族。妖怪ではないが、産まれながら此れに引けを取らない生命力/潜在力を有している。資質としては温厚な性格の者が多く、下記の角事情もあって民族浄化される傾向もある。

独自の鬼文化があり、代表的例に言葉使いで「人」の字を「鬼」の字で話すなどがある(場面例:鬼んち(人んち) めちゃくちにしやがって…恩人…いや恩鬼か?)。


鬼狩衆(おにがりしゅう)

本作品群(九十九の満月/月歌の始まり)では、悪事を働く鬼を狩る輩ではなく、特質な効能がある「鬼の角」を狩猟する肩書。因みに前作「九十九の満月」では鬼狩(おにがり)の名称で登場した。

高価な代物でもある角を失ったは、命の源を刈られるも同義なため、外出する際は髪を結ったり被り物で角隠しする鬼もいる。


鬼技(おにわざ)

本作品群(九十九の満月/月歌の始まり)に登場する超能力。名称由来はが持つ特殊な力からきており、これへ肖り人やに宿る特殊な力もまた“鬼技”と呼ばれる(そのため鬼技の使い手が「」だから有しているわけではない)。


陰陽師(おんみょうし)

奈良平安時代以降から存在した職業。制作/創作では多種多様な術式呪術を扱う肩書であるように、本作でも後述の式神式術-作中描写から推察して陰陽術-を扱う専門家として登場する。


軍神(ぐんしん)

後述の式術も組み込んだ機械工学の製作物。言い換えれば、妖怪みたいな外観で稼働する兵器の事。


魂魄(こんぱく)

本作品群(九十九の満月/月歌の始まり)における架空物質。汎用性ある万物一環で、物体なら資源/燃料(マテリアル)、生体なら活動力/体組成(エナジー)、といった具合で日常・戦闘へ多彩に利用される要素。


式神(しきがみ)

従属関係を結んだ妖怪の事だが、殆どの場面では式術一時的に生み出した疑似妖怪を意味する。


式術(しきじゅつ)

御札(式札)や巻物などに書かれた魂魄回路(こんぱくかいろ)に魂魄=燃料を流すことで様々な効果を発現させる専門技術。


禍神(まがつがみ)

作中世界背景から生まれてしまう怪物妖怪とは一線を画し、怨念の如き強い思念を抱いて死んだ生物が直接異形化した厄災


妖怪(九十九神)(ようかい/つくもかみ)

「妖怪」「九十九神」といった表現ゆれがある不思議な存在。本作品群(九十九の満月/月歌の始まり)における世界の原理「死んで残った魂は、大地の流動・龍脈へ回帰する」を経て地上に噴出した新生の魂が、新たに概念器物生物といった「何か」を触媒として自然発生する種族。この為、知性外見能力などは多様性に富んだ人外が当然に在る日常も描写される。


(りゅう)

分類としては大妖怪だが、特徴は禍神(まがつがみ)に近い戦火の権化。生命活動は停止しようが、良くも悪くも強い生命力は後世へも影響が残る程の恐妖(きょうよう)


自主制作の理由編集

第一話の末尾に、本作「月歌の始まり」を自主制作形式で連載する経緯/熱意が綴られている。総括すれば、連載会議で不採用となっても諦めず、暗中模索から〝打ち切りを気にせず打ち込める様式〟に辿り着き現在へ至る。


参考外部リンク

🌙 第一話末尾の経緯説明 - 𝕏️(Twitter)

🌙 再編集した経緯説明 - 𝕏️(Twitter)


個人連載うらばなし【一周年】編集

2021年7月には個人連載が一周年を迎えたという事で、体験談を漫画にして公開。これは小雨氏の漫画家仲間から「個人出版どうなの?」と聞かれていた事もあり、参考になればと描いてみたらしい。


【月歌の始まり】個人連載うらばなし【一周年】

出版社を通さず電子のみの販売で、当時は単行本6冊も出すことが出来た。それで手応えは「まあ…まあ?」な所感、まだ一年くらいじゃ分からない成果だが、なんとか東京で小雨家が暮らしてける程度に続けられているとの事。宣伝の大切さや、一番は「打ち切りがない」の実感といった報告/解説などを挙げられている。


参考外部リンク

🌙 【月歌の始まり】個人連載うらばなし【一周年】 - pixiv𝕏️(前代・Twitter)


関連外部リンク

🌙 𝕏️(前代・Twitter)と漫画の数字(RT数偏) - pixivFANBOX

🌙𝕏️(前代・Twitter)と漫画の数字(なかみ偏) - pixivFANBOX

🌙「うらばなし」と挑戦をし続ける姿勢の話 - pixivFANBOX


その他編集

掲載サイト『酔狂倶楽部(pixivFANBOX)』『ファンティア[Fantia]』へ設けられた【支援する階級(コース)】で描かれている物の怪たちは、作者の創作作品に登場した創作物(キャラクター)が元ネタとなっている。



【ピンクは淫乱】【ブルーはポンコツクール】【オレンジは小悪魔○学生
ピンクは淫乱【ブルーはポンコツクール】その1年の差なんて

2019年12月から本作「月歌の始まり」の制作前、2019年10月~同年11月には短連載「ヘアカラーズ」(オムニバスweb漫画)を創作している。この作品で試みた題材と描写髪の色にまつわる乙女達の恋愛オムニバスを強調するため、彼女たちの髪を着色した作画』という漫画的表現へ挑んでおり、この辺りの経験を次回作「月歌の始まり」で-特に第一話の作画へ-再発揮(リデザイン)されているのだろう。

それで彩色(ヘアカラー)は、先述した主人公たちの印象【紅色】【桃色】を足して二つに割ったような紅桃風の色合いを表現したと推察される。




自主連載で1周年を突破してからは、時折に祝販売(セール)を自主開催している。

月歌の始まり 16巻発売中です(参考画)

参考外部リンク

🌙 2021年7月:趣味と称して自主連載1周年記念

🌙 2021年11月:8巻発売記念


関連外部リンク編集

pixivFANBOX関連編集


掲載サイト関連編集



その他関連サイト編集


関連項目編集

酔狂文庫 妖怪漫画 平安時代 妖怪×人間

pixivFANBOX WEB漫画 オリジナル漫画 一次創作

九十九の満月 九十九の満月・用語一覧

小雨大豆 酔狂倶楽部 小雨節



魔お嬢様は奴隷に堕ちてもわからせる・・・連載時期が重複する作者の異世界冒険漫画


桃源暗鬼・・・本作と同じが含まれ、同時期に連載される漫画(但し、此方は週刊の少年誌に掲載されている)。また、本作よりも血みどろな世界観で綴られるダークヒーロー鬼譚。

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