うしとら(月歌の始まり)
うしとら
小雨大豆の妖怪漫画「月歌の始まり」に登場する集団:坂東火雷十天衆の一角、拳神(けんしん) 鉄兜(黒兜)の正体。
妖怪の国「大鬼太鼓妖怪洞」で勃発した非道な騒動に我慢の限界が来て、禍々しい兜を脱ぎ捨て主人公勢の用心棒として助太刀する。
総じて、正体不明の不穏さから正体判明の活躍に差異ある経歴・奮闘をみせる好青年。
兜の拳士
坂東火雷十天衆の1人『拳神・鉄兜』として登場した人物。他の幹部と共に桃たちと交戦するが、第三勢力の介入が切っ掛けで撤退。
その後、大鬼太鼓妖怪洞にて『第ニ之刺客・黒兜』として再登場。改めて桃との一騎打ちに臨む。
表情が一切見えない禍々しい兜で顔を隠し、拳一つで戦う黒装束の寡黙な男。戦うこと以外に興味を示さず、命乞いをする無抵抗な農民を容赦なく皆殺しにする冷酷さを見せていたが…。
「なんだバカヤロ てめえコノヤロ バカヤロウ」
「その あれだ あの… うるせえいいからぶっとばす!!」
その本性は義理人情に厚く、曲がったことが大嫌いで涙もろい熱血漢。前述した皆殺しの件も、人を人とも思わぬ外道な盗賊を成敗した結果だと判明した。
性格・素性
兜を脱ぐまでは無口だった時から様変わりして、とても男らしい物言いをする熱血漢。この差異は、彼が顔に出やすい性分で、兜を被り無用な面倒事を起こさないための措置だった模様。
「坂東火雷十天衆」へ所属していたのは「日ノ本一と戦わせてくれるから」と首謀者の仲間になった。強さを求める格闘家らしく、世界最強を志すバカ真面目な理由だった。
しかし、他の幹部たちが内密に進めていた非道な計画の発覚と、それに抗う妖怪洞の住人たちの雄姿を見て離反。
うしとらの活殺術(こころ)は、真っ当に生きてる者が虐げられる様へ同情し、それらを護るために拳を振るう。その姿形が人でなく、妖だろうが鬼だろうが、一歩的な略奪をされている側の前に立って仁義を全うする健全な正義感、(要約して)「命は姿形でなく生き様に宿る」と語り、白沢たちを護ることを宣言する。
粗野で野蛮で要領の悪い無茶苦茶な男だが、その身には真っ直ぐ芯一本の仁がある人物。概して自他が言う馬鹿な人(いい意味で)。
成り行きで邂逅した妖怪の子ども・らくわんに土下座をして所属していた集団の非道を詫びるといった漢気をみせた。また気性が低年齢層に近いのか、幼子(らくわん)と純粋・単純な交流・対話で友情を築いている。
傍目からはうつけながらも好人物な印象だが、そんな彼にも苦い悔しさに遭う重い過去があり、護ると決めた相手の危機に、もう溢さないと決めた決意から限界を越え、苦難の壁をぶち抜けるほどの必死さになる繊細な一面を秘めている。
度々に「世界最強の男 牛郎(ごろう)が息子」であると己を鼓舞しており、不動の牛郎と呼ばれた父親(おやじ)を、彼から受け継ぎ磨いた「うしとら流」を誇りにしている。
理屈・理論よりも感覚・本能で理解する派で、言い換えれば馬鹿と天才は紙一重な実力を発揮する武闘家。
彼の体術「うしとら流」は、護るべきもの / 背負うものがあるほど強くなると自負している。これを有言実行できうる体裁きと身体能力を体得・・・と根性で馬鹿の一つ覚えな感じに苦境を突破する勇姿(そんな馬鹿な…)は凄まじい。