🦶概要👣
震脚(しんきゃく)とは、中国武術の用語で「足で地面を強く踏み付ける動作」のこと。
この意図的な「踏む動作」は他の格闘技にもあり、日本では「踏鳴(ふみなり)」と呼ばれ、剣道のような得物を扱う武道(武器術)にも多用される基本技術。広義に解釈すれば、足運びや歩法(ステップ、フットワーク)へも通ずる全身運動。
制作物・創作物では、現実よりも強調・誇張された表現「攻撃力を増す前動作」「強力な踏み技」などへ画かれる事も屡々。
🦶強く踏む≠躰を落す👣
上級者によっては、震脚(しんきゃく)の言葉通り「地面の踏み付けで、周囲を震わす程に轟く脚力」が印象的な外観。
一体どれほどの強靭な脚をしてるんだァ―ッッ
な感じに捉えてしまうが、実際は違う。
🦶震脚の肝👣
足裏で地面を踏みしめる動作、この時の実践者は『重心を瞬間的に落とす動作』が行われており、片足へ掛かる重さが地面に衝突という結果で大きな音が鳴り響いている。
つまり空気を震わす程の脚は、巧みに重心を捉えている証明、上達した身体操作≒発勁が出来ている成果となる。
門派によっては地面を踏み締めるような動作に変化・派生している震脚もあり、決して「バンッ!」と大きな音を出す事が全てではない。肝心なのは、前述でも触れたように『重心を落とす=身体の操作・感覚を上達』が目的で行われる動作。即ち、武の通過点でもある基本技術。それで上級者は大きく重く、初級者は小さく軽い音にもなるという。
殆どの技能・歩法、特に複数の技を連続・組合せに繋がる動作。通常は鍛錬・練習の一環とした套路(とうろ:反復した技法の修練。型を体で覚える、ルーティンとも)へ努とめ、次の行動をどれだけ大きく繋げれるかに励む。
ここで注意なのが、見よう見真似の上辺だけで「震脚」を実践しないこと。これに限らず武道・運動全般に、誤った姿勢・挙動は身体を痛めてしまう。そうなれば肉体が損壊し武を存続できない後遺症さえあり得る。これは誇張でなく、踵や膝といった脚部だけでなく、震動によって内臓を損傷する事もある、基本だからと甘い思い込みは大きな故障へつながってしまう。
このため適切な指導を受けられる道場・組織の環境で努力し学べる事が理想的。
🦶震脚の誤解?👣
特徴的な動作から―
〝震脚によって打撃力は増す〟
といった印象は少し間違い。前述のように、震脚の本質『重心を落とす=身体の操作・感覚を上達』を鑑みると、武術における一動作であり練習法の赴きが大きく、直接的な威力を発生させる技とハッキリ断定は出来ない。
だが中らずと雖も遠からずで、震脚の上級者=体術の玄人は【意図的な体の使い方】に長け、打拳や他の技能を高い練度で繰り出せる事実。また套路(とうろ:反復した技法の修練)によって震脚は上達から、アスリートが自己のルーティンで精神的安定を図るように、一連の挙動に震脚は組み込まれ易い傾向と考察される。
なので正確には―
〝震脚から連動した所作の打撃力は増す〟
といった、あくまで補助的な捉え方が正確かもしれない。
しかし震脚を指導する門派の多様性から一概にできず、参考程度である武術背景に留意。
上記のように武術・理合な側面で鑑みたが、素人・一般の印象「大きな音が出るほどの強い踏み付け」「分かんないけど強い技が出せそう」など、カッコ良さがある所感も捨てがたい。
この想念に起因してか、創作・制作における震脚は絵物語(ロマン)な描写-例:連撃の繋ぎで敵を圧倒-や強調した表現-例:地面が割れる構図-で題材とされる事も多い。
🦶フィクション例👣
本項では便宜に、震脚の本質「全集中の動作による踏み」を表現したような描写も併せて羅列する。
- 郭海皇(刃牙シリーズ):登場作群にて生ける伝説の老武術家。嘗ての修業時代、武の理合を体得するため震脚と思われる鍛錬の端緒が描写される。それは幾足もの布靴(カンフーシューズ)を消費する他、永い自己研磨の日々を経て-当人曰く、椀と箸に重量を感じるほどの脆弱な肉体となった頃-中国武術界の頂点へ到達。齢146を越えて現役な中国拳法の達人であるッッ!
- シン(カンフーハッスル):劇中終盤。武の達人へ覚醒した主人公・シン(チャウ・シンチー)は、涼しげな表情で連続の強烈な踏み付け≒震脚によって大勢の乱暴者(ギャング)を圧倒する。相手のペチャンコになった靴、それから少しはみ出るブヨっとした肉という痛々しい様からも、如何にシンの武術が畢竟へ達しているかが窺える
🦶他にも参考例があれば追記をドウゾ👣
🦶参考動画👣
🎥數﨑信重先生【熊歩…動功(震脚)】蘇昱彰伝 李書文の八極拳! - YouTube
🦶月刊『秘伝』 公式YouTubeチャンネル『BUDO JAPAN CHANNEL』より
🎥名シーン - 烈海王、水上を爆走 | バキ | Netflix Japan - YouTube
※最初は微グロに注意、注目場面は1:40~辺り
👣これは空想(フィクション)。。。だがッッ、男一人を背負ってるのを差し引いても、当人は真剣で徐々に沈みながら水面と平行に踏歩と的確な全身運動≒震脚を保つ様相で現実味が引き出されており、傍目からは唖然(シュール)だが「脚と躰≒震脚を極めたら出来るかも…」を想起させる創作例。
🦶関連イラスト👣
🦶関連項目👣
中国拳法 / 中国武術 八極拳 功夫 クンフー / カンフー
マホメド・アライ流拳法(格闘漫画「刃牙シリーズ」)より・・・ボクシングの型を超えた全局面対応型闘争術(ファイティングスタイル)。特に後ろ蹴り(ステップバック)や重心移動(スウェーバック)の防御技術を昇華させ、拳技から「大地を蹴る格闘技」へ畢竟させる構想。創作参考元みたいに、蝶が空を舞うような軽やかさ、蜂の毒針が如き一点を突く鋭さを追求した闘法。この他、格闘技において「脚」ならびに「支えの躰」への貴重性も描かれ、発案者の伝説的ボクサーが全盛期当時に遭った3年半の空白(ブランク)から重要であり基礎である足技(フットワーク)を失い未完成だったが、果たされぬ夢を彼の息子が完成させた歴史背景も表されている(余談だが、闘争術自体の練度は高いが、体現者の闘争精神が未熟という欠点で苦い連敗を喫している)。