読んで字の如く、車両を載せて運搬するための車両である。
主に自動車を輸送できる鉄道の貨車のことを示す場合が殆どで、同様に車両(乗用車)を載せることが出来る貨物自動車は「車両積載車(通称:積載車 セキシャとも)」と呼ぶ場合が多い。
概要
国鉄では「ク(くるまのク)」の記号が振られた貨車である。
この形式名は、戦前には天皇の馬車を運ぶために専用に誂えられた有蓋車に割り振られていたものの、大正天皇の即位の礼の馬車を運ぶための車両という極めて限定的な車両であったため、直ぐに消滅した、
復活を果たしたのは戦後で、高度経済成長期の自動車産業の振興に伴って、工場で作られた乗用車を大量に輸送できるよう設計された貨車が登場した。
日本では1960年代のモータリゼーションの到来とともに、一時期は国内のすべての自動車メーカーが車運車を使用して新車を輸送していたものの、国鉄の労使問題の悪化によるストライキや度重なる運賃値上げによって徐々に顧客離れが発生。
とは言え、車運車を利用した新車輸送は日産自動車が1996年(平成8年)まで続けていた。
また、1980年代中頃には貨物自動車やタンクローリーのトレーラー部分をそのまま貨車に載せる『ピギーバック輸送』のための車両も作られたが、貨車はともかく貨物自動車そのものが専用設計である必要があったり、積荷などのルールが細かったりと案外面倒なことが判明したため主力となることもなく2000年にひっそりと姿を消している。
一方で、日本では現在でも新車の鉄道輸送はコンテナに収めてコンテナ貨車に積む、という方式に移行した形で続けられている。日産自動車が上下2段式の独自のコンテナ(U41A)を開発して使用していたほか、三菱自動車などは軽自動車を通常の12ftコンテナに積んで輸送している。