概要
東方Projectに登場する藤原妹紅にまつわる二次創作タグ。
妹紅の「過去」に関連したテーマが織り込まれている作品に用いられる。
蓬莱の人の形の過去
妹紅の「過去」について語られる文脈には複数のアプローチがある。
主なものは以下の通りである。
- 妹紅が初登場した『東方永夜抄』本編及び同作同梱のZUNによる「キャラ設定」テキスト
- 『東方儚月抄』小説版における妹紅の発言及び回想
- 「幻想郷縁起」(稗田阿求著、『東方求聞史紀』)の妹紅に関する記事
- その他のシリーズ作品中で語られるもの
- 妹紅にまつわる様々な二次創作
1.と2.についてはメタ的な意味における原作設定に近い要素もしくはそのものの文脈で語られており、2014年9月現在では情報的信頼性が極めて高いものである。
ただし4.などの観点において今後設定的に追加ないしは変更等調整がある可能性も無いわけではないため、あくまで上記現在時点では、との注がつくものである。
また、3.の資料による情報のみその性質が異なる(後述)。
加えて1.と2.は妹紅が東方Projectの世界観に登場するに至る経緯と一体である蓬莱山輝夜との関わりの文脈で語られることが多い。
3.においては輝夜とのかかわりではなく妹紅個人への考察という様子で語られている。
5.は原作の妹紅を元にした各種二次創作において1.から4.の要素を基に、あるいはそこから発展した独自の考察などを加えた形による「過去もこ」である。
『東方永夜抄』
『永夜抄』(「キャラ設定」テキスト含む)においてはまだ妹紅が「 不老不死ではなかったころ 」の妹紅の環境と輝夜との因縁が生まれた経緯、さらにその後の動向について部分的に語られている。
「蓬莱の薬」を服用した後に妹紅がどう「生きた」のかについても言及されている。
そして「 長い年月 」の後の輝夜との再会と今まさに妹紅が感想するところが語られるのである。
『東方儚月抄』
『儚月抄』(小説版)第四話「不尽の火」は主に妹紅の過去について語られる物語である。
上白沢慧音との対話を通して妹紅自身がその過去を語り、あるいは回想し、先の『永夜抄』で語られた妹紅の過去が、その状況や心情などがよりリアルで生々しく語られる。
それは先述の輝夜との因縁とその後の動向の両者にいえることであり、妹紅にとって先述の「 長い月日 」がどのようなものであったのかがさらに詳しく語られる。
中でも輝夜が残した「蓬莱の薬」を妹紅が服用するまでの経緯について鮮明に語られており、そこには岩笠や木花咲耶姫をはじめとした今の妹紅にも至る強力な人間関係が登場する。
そして同話中には過去の妹紅を描いた挿絵が登場することから、「蓬莱の薬」を服用する前または服用直後近辺の視覚的な「過去もこ」を具体的にイメージするものとしては、各種記述の詳細性もあってこの挿絵を含めた『儚月抄』の記述が有力である。
ただし上記記述は主に妹紅の回想によって語られているものであるため、先述の4.などの可能性にも見るように今後妹紅に関連して他の関係者の視点からも過去の妹紅が語られることがあれば、『儚月抄』に基づく「過去もこ」もまた新たな情報を加えてさらに変化していく可能性をもつものである。
「幻想郷縁起」
「幻想郷縁起」にみられる妹紅の記述は他の資料と性質が異なる。
同書籍が作中で著された時点において著者である阿求に妹紅がその過去を語っていない様子であり、阿求が伝聞や想像で未知の部分を補完しているため先の二種のテキストなどを元としたメタ的な視点に立つとき、その客観的正確性は保証されない。
ただし、同記述内容もまた<「幻想郷縁起」執筆時点の妹紅>という、原作の時間系列に属したものであり、『永夜抄』以後の時間である『弾幕アマノジャク』等の例に見られるようにシリーズ作品で妹紅が登場し、かつ「幻想郷縁起」内容と異なる新たな活動を行った際には、その将来時点からみて「幻想郷縁起」における妹紅像が一種の「過去もこ」と捉えられることとなる可能性もある。
例えば「そういえば妹紅は前の幻想郷縁起では(阿求に)忍者の末裔とか言われてたね」などといった要素を回想的に織り込んだ作品において妹紅が描かれたとするとき、そこもまた「過去もこ」の一つのあり方と評され得るのである。
その他原作
上記以外の登場シーンでは、『東方文花帖』において射命丸文に対して生きてきた時間の長さから「 大先輩 」を自称し、文の質問を飄々と交わす年季の入り様を披露している。
妹紅本人の視点ではないが、「グリモワールオブマリサ」では霧雨魔理沙が独自の弾幕研究の中で妹紅のスペルカードを通して妹紅の今の人となりや「過去」を含めたその境遇について一考している。
二次創作
二次創作においても様々な妹紅の過去が想像されている。
原作においてもそうであるように輝夜との直接の因縁の文脈における「過去もこ」であることも多いが、それ以前の「藤原家の子女としての妹紅」や「蓬莱人」となった後の「 千三百年位 」(『儚月抄』)の妹紅、あるいは幻想郷(博麗大結界形成後)へと至るその時の妹紅など、背負って経てきた時間と経験とに実に厚みがある妹紅の過去としての「過去もこ」へのアプローチは多様である。
またその間の人間関係についてアプローチするものもあり、先述の『儚月抄』における岩笠や木花咲耶姫などが作品中で登場するものもある。広義の「過去もこ」においては輝夜との再会や上白沢慧音との出会いなどもそれに含まれ得る。
時間は、閉じた永夜に閉ざされることが起きない限り、幻想郷においても今日から明日へと繋がり結ばれていく。「過去もこ」は、妹紅が幻想郷という「楽園」で、多くの人妖や「 不死の仲間 」(『儚月抄』)とともにその証を刻み続ける限り、新しく生まれ続ける。
「過去もこ」は「過去」を語るものであると同時に妹紅の時間が続いてきたこと、そしてこれからは今までのような苦難ばかりではない未来がこれからも拓いていく事を示すものでもあるのである。
関連イラスト
- 過去もこ(『儚月抄』他)
- 蓬莱の人の形の今昔
- もう一つの「てるもこ」
関連タグ
藤原妹紅 蓬莱の薬 蓬莱人 老いる事も死ぬ事も無い程度の能力