概要
1956年に制作・公開されたアメリカの白黒映画。監督は、『B級映画の帝王』の異名をとるロジャー・コーマン。
本作に登場する金星人は、日本では「金星ガニ」として知られている。
内容
金星人との交信に成功した科学者トム・アンダーソンは、人類社会の様々な問題を解決出来ると信じ、金星人を地球に招き入れるための活動に没頭する。
だが金星人の真の目的は、精神操作装置によって人類を奴隷化し、地球を侵略支配することにあった。
アンダーソンの友人であるポール・ネルソンは金星人の本性に気づき、アンダーソンは金星人からネルソンを排除するように命じられたが、ネルソンが金星人に洗脳された妻ジョーンを射殺した事を聞かされ、ようやく事の重大さを思い知る。
さらにアンダーソンの妻であるクレアが、夫を騙し操っている金星人の活動拠点を突き止めるも、そのまま惨殺されるにいたり、アンダーソンは自らの軽挙が招いた惨劇に決着をつけるべく金星人に立ち向かうのであった…
金星怪人ゾンター
"Zontar, the Thing from Venus" の邦題。
『金星人地球を征服』のリメイク版。1966年、TV放映用に制作された。監督は、元ネタより劣化したリメイクを撮ることで有名なラリー・ブキャナン。
物語の展開は1956年の元ネタとほぼ同一で、映像はフルカラーになっているものの、俳優の存在感と話の盛り上がりはやはり劣化した印象が強い、というのが市場の評価である。
最大の変更点は金星ガニに替わって登場する金星怪人ゾンターで、『三つ目と翼を持つ人間サイズの化け物』…なのだが、造形が酷すぎてデザインがよくわからないというとんでもないシロモノである。
考えようによっては、このわけのわからなさが名状しがたいコズミックホラー感を醸しだしているといえなくもない。まじめに作った『遊星からの物体X』は立つ瀬がないけど。
また、地球人を操るためのデバイスとして飛行生物を操るのも金星ガニと同様なのだが、とりあえず翼があるという一点においてデザインの方向性に統一感があり、件の飛行生物が『ゾンターの幼体』『ゾンターの落とし子』だといわれれば(金星ガニの場合よりは)納得できそうな感はある。