概要
大墓公阿弖利爲から征夷大将軍・坂上田村麻呂に贈られた伝説の名馬。元は阿弖利爲の愛馬であったが、田村麻呂との交流を経て降伏した際に阿久利黒を託したという。
安倍貞任の愛馬沖黒や源義経の愛馬太夫黒は阿久利黒の子孫とされる。
なお東北地方には阿久利黒の他にも、田村麻呂が亡き愛馬を供養する為に建立したという由緒を持つ馬頭観音堂が幾つかあり、そのうちのひとつでは愛馬の名として「郷黒」がある。また「太白」という愛馬が毒草を食べて死んだため亡骸を頭部・胴部・後脚部に分けて埋め、それぞれ祀ったという伝説が残る地域もある。阿久利黒の他にも様々な愛馬を所有していたらしい。
伝統工芸品である三春駒という郷土玩具の木馬も坂上田村麻呂伝説に由来する。
阿久利黒賞
正式名称は「奥州 愛馬の会会長杯 阿久利黒賞」。
水沢競馬場100年を記念して2001年12月24日に「阿久利黒杯」として創設され、2002年から「阿久利黒賞」と名称を変更して開催休止となる2010年まで行われた。
名馬を冠したレースは中央競馬(JRA)ではシンザンの『シンザン記念』(京都競馬場)などが、地方競馬ではオグリキャップの『オグリキャップ記念』(笠松競馬)などがある。
しかし『阿久利黒賞』のように伝説の名馬を冠したレースとなると大変珍しい。