概要
春秋戦国時代末期を描いた歴史漫画『キングダム』の第801話以降(単行本73巻以降)は、主に秦と韓の戦争を描いている。
本記事のタイトルはWikipediaの史実の記事を元にしているが、Wikipediaとは異なり本記事は『キングダム』の時系列を優先し趙攻略編の一部として取り扱い、趙攻略を踏まえた記載を行うものとする。
この戦いは次の点で非常に重要である。
まず、韓攻略の中心人物に李信が据えられたことで、作中で初めて李信が侵攻先の文官(軍部中枢)や国民にとって脅威となる存在として描かれている。
一応、韓攻略は騰・李信の連合軍で行うから厳密には騰の庇護下にあるものの、特に南陽城侵攻では騰軍より先行し行軍していたことでご丁寧に「李信将軍」と呼ばれ警戒された他、無血開城後に城民から攻撃されるなど、一転して危険人物として描かれている。
今までであれば虐殺や凌辱を重ねてきた大将軍が居たために、李信自体が脅威となっていなかった。
この点は番吾の戦いに至るまでに李牧がようやく警戒したことや、平陽城侵攻後さえ李信は城民から有難がられていたことからも明らかである。
しかし南陽城を落とした後に首都・新鄭(しんてい)を落とし自分たちが秦国に対する敗者あるいは奴隷になりかねない屈辱感や絶望感を抱かざるを得ない韓にとっては、虐殺や凌辱を行わないと言われる飛信隊すら国家を滅ぼす尖兵と理解するには充分である。
そして韓の国民の理解は一部正しく、この戦いで秦国にとって重要なのは韓の土地も人も資源もごっそり奪うものである(一部とは、元韓の国民が秦国の侵略戦争に加担し他国民への攻撃を強いられる未来を指す)。
侵略戦争とは元々そういうものだが、特に韓攻略では昌平君が改めて言及している。
この理由として作中の李信は侵略戦争の否定こそしていないが、桓騎軍の「虐殺や陵辱を平然と行う戦い方」を否定したことがあるため、その反発を避けるための言及だった可能性がある。
しかし今回の戦いはむしろ韓の土地・人・資源を奪い、その先にある趙攻略、あるいは中華統一の合意形成のために必要であるから、桓騎のやり方は全否定されるし、無論李信も桓騎のような戦い方はしないはずであるため、この可能性は低い。
むしろ秦国の人も金も枯渇してきている懸念の方が強いだろう。
金についてはインフレを考慮しなければ通貨発行の行える秦国なら実は問題無いはずだが、戦争に投入する人材不足は結局大問題である。
その上で要約するとこの戦いは韓の人も土地も資源も奪って滅ぼす一方で、滅ぼした後の強制徴兵や待遇も含めた韓国民の合意形成が円滑になるような戦い方が前提と言え、この矛盾した対応が最も李信に要求されることとなる。
以下はネタバレになります。閲覧には十分注意してください。