概要
正式名称「天真正伝香取神道流」。旧字表記では「天眞正傳香取神道流」。
天真正伝香取神道流(神道流)は室町時代中期に創始された武術流儀で、念流、陰流と並ぶ日本の兵法三大源流のひとつである。剣神である経津主神(ふつぬしのかみ)を祀る香取神宮において飯篠長威斉家直(いいざさちょういさいいえなお)により創始された。現存する日本最古の武術流儀とされている。
流儀の特徴は常に実戦を念頭に置き、相手の攻撃に対し一瞬早い攻撃により必ず倒すため、すべての技に一撃必殺の工夫がなされていることである。稽古においては木刀を用い防具は着けない。
その一方で戦うことを厳しく戒め、「兵法は平法なり」として、平和のための法であって戦わずして勝利を得ることが最上としている。
特色
香取神道流の道場は小さく、下に窓が付いている。
鍛錬の際は木刀を打ち合うという稽古をするが、「技を盗まれないために隠している」と神道流師範、大竹利典氏が語っている。
香取神道流の言葉には「親子同門たりとも他見他言致すまじく候」とあり、書物にも隠された技が載せられている。
神道流武術
剣術、居合、柔術、棒術、槍術、薙刀術、手裏剣術等に加えて、築城、風水、忍術等も伝承されている総合武術、いわゆる武芸十八般を教える古流流派である
技
今までTV、書物などで公開されたものは以下の通り
剣術(太刀術)
・表之太刀(四ヶ条)
1 五津之太刀(いつつのたち)
2 七津之太刀(ななつのたち)
3 神集之太刀(かすみのたち)
4 八神之太刀(はっかのたち)
・五行之太刀(五ヶ条)
1 三津之太刀(みっつのたち)
2 四津之太刀(よっつのたち)
3 陰之太刀(いんのたち)
4 捨之太刀(しゃのたち)
5 發之太刀(はつのたち)
・極意七條之太刀(三ヶ條)
1 遠山之太刀(浮舟之位)
2 片浪之太刀(葉水之位)
3 揚波之太刀(山月之位)
両刀術(四ヶ条)
1 永月之太刀(えいげつのたち)
2 水月之太刀(すいげつのたち)
3 磯浪之太刀(いそなみのたち)
4 村雲之太刀(むらくものたち)
極意小太刀術(三ヶ条)
1 清眼之小太刀(せいがんのこだち)
2 水月之小太刀(すいげつのこだち)
3 半月之小太刀(はんげつのこだち)
居合術
・表居合術(六ヶ条)
1 草薙之剣(くさなぎのけん)
2 抜附之剣(ぬきつけのけん)
3 抜討之剣(ぬきうちのけん)
4 右剣(うけん)
5 左剣(さけん)
6 八方剣(はっぽうけん)
・立居合術(五ヶ条)
1 行合逆抜之太刀(いきあいぎゃくぬきのたち)
2 前後千鳥之太刀(ぜんごちどりのたち)
3 行合右千鳥之太刀(いきあいみぎちどりのたち)
4 逆抜之太刀(ぎゃくぬきのたち)
5 抜討之太刀(ぬきうちのたち)
・極意居合術(五ヶ条)
1 雲切之剣(くもきりのけん)
2 半月之剣(はんげつのけん)
3 無一之剣(むいつのけん)
4 無二之剣(むにのけん)
5 清眼之太刀(せいがんのたち)
棒術
・表之棒術(六ヶ条)
1 迫合之棒(せりあいのぼう)
2 臑挫之棒(すねひしぎのぼう)
3 左右之棒(さゆうのぼう)
4 笠研之棒(かさはずしのぼう)
5 刎釣瓶之棒(はねつるべのぼう)
6 立浪之棒(たちなみのぼう)
・五行之棒(六ヶ条)
1 下段構之棒
2 霞掛之棒
3 雷光構之棒
4 陰構之棒
5 引杖構之棒
6 立杖構之棒
薙刀術
・表之薙刀(四ヶ条)
1 五津之長刀(いつつのなぎなた)
2 七津之長刀(ななつのなぎなた)
3 霞之長刀(かすみのなぎなた)
4 八箇之長刀(はっかのなぎなた)
・極意七條之薙刀(三ヶ條)
1 燕飛之長刀
2 蜻蛉之長刀
3 龍虎之長刀
槍術
・槍術(六ヶ条)
1 飛龍之槍(ひりゅうのやり)
2 去龍之槍(きょりゅうのやり)
3 突留之槍(つきどめのやり)
4 楊矢之槍(あんやのやり)
5 電光之槍(でんこうのやり)
6 夜之矢槍(よるのややり)
・秘伝(二ヶ条)
1 上段之鎗合
2 下段之鎗合
柔術(三十六ヶ条)
通拳、内取手、外取手、木葉返、無左足、片衣紋、両衣紋、衣搾、枯木折、鬼抑、天狗返、闇之夜、佐寿留、疑寳珠返、滝落、七里引、姿見、羽衣搾、夢枕、臂金、猿子絞、鳥羽外折、鹿之一足、山落、袖車、立横聲、胴搾、引搾、将棋倒折、逆指、首搾、鷲之羽落、空向伏、片羽子抑、鬼木離、御膳取。
手裏剣術
・表之手裏剣(七ヶ條)
・五教之手裏剣(八ヶ條)
・極意之手裏剣(九ヶ條)
その他
忍術、風水術、築城術
(各術に七條、八箇、九重の極意秘傳有り)
神道流を修めた人物
十瀬与左衛門長宗
松本備前守
穴澤盛秀
雲林院松軒
塚原安幹
疋田景兼
飯篠金次郎
杉野嘉男
玉井済道
久保木惣左衛門
伊藤種吉
椎名市蔵
上保久吉
大竹利典(天真正伝香取神道流極意皆伝)
飯篠快貞(天真正伝香取神道流宗家)
大竹信利
京増重利