戦争文学「麦と兵隊」
1938年(昭和13年)雑誌『改造』に発表。発表翌月刊行。以後100万部以上の増版を重ねた。本作品は火野曰く小説ではなく従軍記録であり、翌年の1938年5月の徐州会戦に於ける進軍中の旧日本軍の実情を、従軍報道機関、マスコミの高慢な態度などとも併せて描写している。
戦後に火野は検閲により削除されていた捕虜の虐殺場面などを記憶を元に補筆し、これを以って「最終稿」とした。
戦時歌謡「麦と兵隊」
1938年発売。
雑誌「改造」に掲載された麦と兵隊の評判を受け、陸軍報道部では早速これを歌謡曲とする事を決めてレコード会社へ依頼した。
ビクター、日本コロムビア、ポリドールレコードの3社の競作となり、それぞれ独自の曲と歌詞で発売されたが、この内東海林太郎の歌うポリドール版が最もヒットした。
- ビクター
- コロムビア
- ポリドール
作詞 | 藤田まさと |
作曲 | 大村能章 |
歌唱 | 東海林太郎 |
ヒットとシリーズ化
戦時歌謡「麦と兵隊」の大ヒットを受けて、以後同様に「◯◯と兵隊」と題された戦時歌謡が発売された。
部隊長と兵隊、フクちゃんと兵隊、煙草と兵隊、チョコレートと兵隊、ジャングルと兵隊…と様々あるが、中でも田端義夫が1941年に歌った「梅と兵隊」はまたもやヒットを飛ばした。
- 部隊長と兵隊 昭和13年
歌唱:東海林太郎、上原敏(パブリックドメイン)
- ジャングルと兵隊 昭和17年
歌唱:大蔵敏彦、如月俊夫、日本愛国合唱団(同上)