四億円の作品解説
「絆」をテーマにした3DアクションRPG。
一度に最大数十匹クラスの大量の敵を殲滅する、いわゆる無双系の要素が含まれており、主人公より遙かに巨大なボスと戦うシーンもある。
「ペンシルシェーディング」と呼ばれる柔らかタッチの描画も特徴。
四億円の評価
四億円のクソゲーである
3年の開発期間・四億円の開発費(※)という大見得とは裏腹に、そのコストや情熱も感じられない問題だらけの作品となってしまった。 ロード時間の長さ、演出、アクション、声優をケチって専門学生のみ使用などのクオリティの低さなどはファミ通のクロスレビューでさえ指摘されている事項である。経験値の概念や武器の強化といった要素がなく、敵を倒す必要がないというアクションRPGとして致命的なミスがある。
敵を倒して進むだけの単調なゲーム性ながら、通常のザコ敵に混じって同じ容姿のバランス崩壊レベルの強敵が時折出現するため、悪い意味で気が抜けないゲームバランスも擁護のしようがない。
メーカーの広報についても問題点が多く、検索サイトのシステムを悪用して、有名ゲームの検索結果に黄金の絆を引っ掛けようとしていたなど、ゲーム外でも悪い意味での話題を振りまいた。
一応評価できる要素もなくはないが、山積みの問題点からすれば小粒なのは否めないだろう。
こうしたゲーム内外から多数の問題点を見せつけた結果、2009年のKOTYではシステムソフト・アルファーの受賞作に肉薄する健闘を見せ、見事に次点入りを果たすのであった。
※紹介した四億円だが、家庭用ゲームの開発費としては大作として大見得を切るレベルではない。
参考までに同じ2009年に発売された開発費が高額なゲームとして知られる「ファイナルファンタジー13」の開発費である約36億円と比較すれば、どれほどのスケールかが分かるかも知れない。
四億円の要素
「四億円の予算をかけた」という触れ込みから、四億円のネタが満載である
・四億円の穴
建物内部を映すために無理やり開けられた大きな穴
・四億円の叫び
魔王の息子サディアスが攻撃のコンボフィニッシュで吹き飛ばされるたびに放つ「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ん゙!」という奇声じみた情けない叫び
・四億円パンチ
ガストンが横向きの棒立ち状態でパンチする。これはパンチなのか?
・四億円の雑要素
テキストでは「相手に掴みかかる」「突如斬り掛かる」などの緊迫したアクションが行われているのに、3Dグラフィックでは棒立ちだったり、「横にスライド移動して戻る」だけだったりするもの
・シュールすぎるCM
名古屋城の金の鯱のみを延々と映す「黄金のシャチホコ編」
客が他にも乗っている路線バスの中で全身が金色の男女が奇声を上げつつ服を脱いで抱き合いキスをする「黄金の人 発見編」
はっきり言ってやる気が感じられずなおかつ気持ち悪い
メーカー公認のクソゲー。
ジャレコ社長の加藤貴康がインタビューにて「まあ、クソゲーですよね。あれをクソゲーと言わずして、何をクソゲーと言うのかってことです」と語り、自ら「クソゲー」であると認める発言をしている。こんなゴミゲームを作らなかったらジャレコは生きていたかもしれないと思うと残念でならない。
四億円の余談
上述の「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ん゙!」という情けない叫びを上げたのは、実は後にワンパンマンのサイタマや風都探偵の照井竜を演じる古川慎氏(当時19歳の専門学生)である。
挙句にアニメ作品「吸血鬼すぐ死ぬ」では古川氏演じるロナルドの奇声という名の鳴き声に対して当作品にあやかって「4億の叫び」というあだ名が付けられている。
当時クソゲーのネタキャラを演じた専門学生が後の有名声優になるとは誰も思いもしなかっただろう…
その他にも後にHUNTER×HUNTER(新TVアニメ版)のマチやウマ娘プリティーダービーのグラスワンダーを演じることになる前田玲奈氏も出演しており、この2名が専門学生時代の同級生であることから、他の出演者も同様であることが予想できる。