概要
アニメ監督富野由悠季が携わった作品の中で、シリアスや陰惨な場面が多い作品や、富野監督の過激な発言や行動の事である。
対義語に白富野がある。
登場キャラクターに対し作劇上、非常に厳しい状況に放り込んだり、ショッキングなシーンを入れるために「黒富野」と言われるシーンが発生する事がある。
中には大量のキャラクターを悲惨な手法で殺害したり、全滅させたりするため皆殺しの富野と言われる事もある。
これに関しては、富野監督が子供相手でも手を抜かない作劇を心掛けているからで、ショッキングなシーンに関しても、真面目に作劇しているのである。人間関係を濃密に描くので、ドロドロとしたやり取りも多い。また富野監督が手掛けている作品は戦争と言ったテーマを舞台にしている作品も多いため、必然として、そう言った状況を描かざるを得ないと言う事も一因とされる。
キャラに対するジェノサイド以外にも、性に関する生々しいシーンや台詞を入れたり、キャラクターを精神的な破滅に追い込むなども見られる。
執筆した小説ではキャラクターにHな性癖をつけたり、セックスシーンを入れてみたり、主人公すら殺す事がある。
しかし、そう言った過激のシーンの裏ではキッチリとしたドラマが展開されており胸を打つシーンがあったりもする。そう言う意味では、作劇に必要だから入れているわけである。
(結果として大人でも鑑賞出来るアニメとなっており、オタク嫌いな監督であるもののオタクから好かれる作品を作ってしまうと言うジレンマに陥っている。)
声優に対する演技指導も苛烈で、突如火山が爆発するような怒りを向けたり、怒鳴り声を発する他、しつこいまでの演技指導などのエピソードも黒富野の一部として語られる事がある。
なお、制作現場では卑猥な単語や例えを頻繁に口にすることでも知られている。
また、富野監督がインタビューを受けた際の過激な物言いが「黒富野」と呼ばれることもある。ただしインタビューでの過激な物言いなどはリップサービス的にインタビュー映えを狙った発言も多い模様。
一方で、陰惨なシーンを連発したVガンダム制作時に重度のうつ病になり、そのうつ病から回復して以降は皆殺しエンドや過激なシーンは鳴りを潜めており、「比較的」明るい作風へとシフトしている。
(ただし、そう言った明るい作風の作品でもショッキングなシーンや生々しいシーンはあったりするのだが。)
主に良く言われる作品は下記の作品。
- 無敵超人ザンボット3:巨大ロボットで対応できない状況を作ったり、人間爆弾や主人公以外のメインキャラが二人とも死亡するなど鬱展開が多い。
- 伝説巨人イデオン:言わずと知れた元祖「皆殺しの富野」なエンディング。死んだあとの彼らは新しい生命の素となるのだが、死ぬ描写が陰惨で、射撃や爆発で首がとんだり、顔面がぐずぐずになったと思わしい状況で死んだりしている。
- 聖戦士ダンバイン:またまた、皆殺し富野なエンディング。後日談まで考えれば多少は救われてはいるか。
- 機動戦士Ζガンダム:バタバタ死ぬキャラクター。機動戦士ガンダムから生き延びたキャラ(カツ・コバヤシ)も死ぬ。そして最後は主人公の精神崩壊エンド。なお、後年作成された劇場版はエンディングが変わり、ある程度救いのあるエンドとなっている。
- 機動戦士ガンダムΖΖ:ギャグを取り入れつつ明るく始まったが、てこ入れで後半はどんどん暗くなっていく。コメディ的なキャラは強化人間となり、キャラもガンガン死ぬ。萌えキャラのエルピー・プルも死ぬ。機動戦士ガンダムから生き残ったハヤト・コバヤシもこの作品で死ぬ。エンディング的にはそこまで暗い物では無い。
- 機動戦士ガンダム逆襲のシャア:アムロとシャアの死闘で両者行方不明扱いになった他、Zから登場していたアストナージの死亡などで黒富野に分類される事がある。
- 機動戦士Vガンダム:次々と死ぬシュラク隊メンバー。ギロチンで処刑される伯爵。エンジェルハイロゥに突如出てくる水着のお姉さんたち。最後は主人公の親友も死亡し、ラスボスは精神崩壊エンド。