CV:飛田展男
概要
戦後日本の財界を裏で牛耳り、哭倉村を支配する龍賀一族の長男。
公家の様な服装と白塗りの顔にお歯黒という現代離れした出で立ちをしており、その姿から神職の類に就いていると思われる。
長男ではあるが体が弱く、水木は跡継ぎにはならないと踏んでいた。何年も人前に姿を現していないらしいが…?
※以下、ネタバレ注意
殺人事件の第一の被害者。
時貞の遺言で次期当主に選ばれた翌朝、村の社の中で左眼に棒状の置物が突き刺さった惨たらしい死体となって発見される。
その死の真実は、おこもりの最中、父の時貞と同様に真犯人を手籠めにしようとしたが、襲う寸前でその真犯人に宿る妖怪の力で殺害されたというものであった。
その後、彼の生前の日記が沙代によって水木の手に渡り、最終的に村の秘密を知る鍵となる。その内容は後ろで一緒に読んでいた少年がドン引きする様なものだったらしい。
キャラクターの背景
※以下、アニメ雑誌インタビューや豪華版BD特典のシナリオ縮刷版、ドラマCD、PARCOコラボイベント『追憶展』、'23年鑑シナリオ集のネタバレを含みます。まだ視聴していない方や、ネタバレが嫌な方にはスクロールをお勧め出来ません。
歪な過去
- 当主に指名された直後、「とと様の元で嫁取りも許されずずっと修行してきた」という趣旨の発言をしている。
- 私室には書物が山の様に積まれており、一族の秘密を日記に書き記しているなど、本来は知性豊かな人物であったことがうかがえる。一方で時貞の写真には傷が入っている。
と、時麿には時貞の元で非常に抑圧された生活を送ってきた過去があり、父親に対し愛憎半ばする思いを抱いていたことが察せられる描写が行われている。
また、豪華版BD特典のシナリオ縮刷版には、時麿が沙代を襲う場面のト書きに
こちらに迫る時麿 口の形”ととさま~”と言ってる(原文)
とある。
脚本の吉野弘幸はアニメージュ2024年8月号のインタビューで、時麿は家の中から出ることなく育てられており、「とと様」という幼児語もそのためであると述べている。
追憶展
- 時麿のキャラクター設定画に「時貞のスパルタ教育で人格が歪んでしまっている」と書かれている。
- 時麿の部屋の書物は水木の背より高く積み上げられており、鬼太郎の父と同じ背の高さである時麿ならば届くであろう位置にまで本が高く積まれている。
- 開かれた書物は松尾芭蕉の俳諧七部集『猿蓑』の“幻住庵記"と“堅田十六夜の弁"。“堅田十六夜の弁"には西行法師の歌が引用されており、西行には亡き親友と再び話しをする為に死者蘇生を行ったという説話がある。
23年鑑代表シナリオ集
「……面白い。良い眼だ」
『‘23年鑑代表シナリオ集』について
2024年日本シナリオ作家協会より発行された書籍。
毎年、その前年を代表する優れた邦画のシナリオを収録したもの。
尚、このシナリオ集に収録されているバージョンは、古賀監督による改訂を受ける前のものであり、実際にアフレコに用いられたものとは登場人物の設定や性格、台詞等が異なっている部分が存在するほか、尺の制限からカットされたシーンが含まれている。
※以下『‘23年鑑代表シナリオ集』のP259より引用。
このバージョンでは時麿の名が初期設定の『一臣』となっている。
尚、思考している内容について「()」表記が無いため、本編を確認し、水木の思考について「()」を使用。
遺言状読み上げの応接間に到着した水木が急な弔問について乙米に謝罪を述べながら、龍賀一族を観察する場面。
乙米
「あなたにわかるというのですか!?
お父様を亡くした私たちの悲しみが!」
一臣(時麿)
「落ち着け、乙米」
乙米
「一臣兄さん……」
水木
「(一臣……時貞翁の長男か。
この恰好は……さっきの神社の神職?)」
と、一臣、見透かすように水木をジロと見て。
一臣(時麿)
「……面白い。良い眼だ」
水木
「……?」
一臣(時麿)
「だがそれだけだな。ー惜しい」
…という劇場版とは違う出会い方をしている。
一臣(時麿)の「だがそれだけだな。ー惜しい」というのは、水木の“魂の形を捉えることができる眼"を差していると推察される。
映画では製作段階で、演出の都合上、時麿は舞台装置の役割として登場しており、設定が無くなっていると考えられる。
ドラマCD
豪華版BD特典のドラマCDでは、第3話において乙米が「時麿兄さん秘蔵のワイン」を取り出す場面がある。この話では亡くなった時麿や丙江についての乙米の心の揺れが描写され、兄妹仲の良さが窺えるものとなっている。
余談
担当声優の飛田展男は、6期鬼太郎にて吸血鬼ラ・セーヌを演じていた。
当pixivをはじめSNS上にはスパルタ教育で正気を失う前の姿を想像した作品が少なからず投稿されている。