CV:飛田展男
本記事は劇場アニメ『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の重要なネタバレ情報を含みます。 |
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概要
戦後日本の財界を裏で牛耳り、哭倉村を支配する龍賀一族の長男。
公家の様な服装と白塗りの顔にお歯黒という現代離れした出で立ちをしており、その姿から神職の類に就いていると思われる。
長男ではあるが体が弱く、水木は跡継ぎにはならないと踏んでいた。何年も人前に姿を現していないらしいが…?
※以下、ネタバレ注意
殺人事件の第一の被害者。
時貞の遺言で次期当主に選ばれた翌朝、村の社の中で左眼に棒状の置物が突き刺さった惨たらしい死体となって発見される。
その死の真実は、おこもりの最中、父の時貞と同様に真犯人を手籠めにしようとしたが、襲う寸前でその真犯人に宿る妖怪の力で殺害されたというものであった。
その後、彼の生前の日記が沙代によって水木の手に渡り、最終的に村の秘密を知る鍵となる。その内容は後ろで一緒に読んでいた少年がドン引きする様なものだったらしい。
考察
当主に指名された直後、「とと様の元で嫁取りも許されずずっと修行してきた」という趣旨の発言をしており、抑圧的な生活をずっと送っていたとみられ、自身の死因となった蛮行もその反動の可能性がある。
- 脚本の吉野弘幸によると、時麿は家の中から出ることなく育てられており、「とと様」という幼児語もそのためであるという。さらにコラボイベントにおいて、時麿の人格が破綻した原因は時貞によるスパルタ教育にあったことが明かされた。
私室には書物が山の様に積まれており、一族の秘密を日記に書き記しているなど、本来は知性豊かな人物であったことがうかがえる。また、部屋に置かれていた父親の写真に傷が入っていた事から内心では時貞への反感を抱いていたのではないかという説もある。
まぶいうつしと沙代への所業
※以下、真生版(劇場版)とBlu-ray特典アフレコ集のネタバレを含みます。まだ視聴していない方や、ネタバレが嫌な方はスクロールする事をお勧め出来ません。
“まぶいうつし(魂移し)"と沙代を襲ったことが本意でない可能性について
魂(まぶい)移しについて
大広間で龍賀時貞の遺言状読み上げを終え、退室する前に沙代の姿を見る際、0,5秒程であるが本来の黒目に金色(時貞の眼の色)が混じっており、この時点で龍賀時貞から魂移しが完了したことが考察できる描写がある。(劇場上映された真生版で確認)
時弥が跡継ぎとなるまで、時麿の体を使い魂を繋ぐ予定だったと推察される。
尚、真生版では初登場時、廊下の奥で魂の姿であろうものが溶けかけている様にみえる。これは水木の魂の形を捉えることができる眼で見た姿を画面で視聴者に共有していると捉える事ができる。
沙代を襲った事について
Blu-ray豪華版のアフレコ集には沙代を襲う際、口の動きが「ととさま」となっており、魂を追出され体を乗っ取られても尚、沙代を傷つけるのを良しとせず、自分の体を使って沙代を襲おうとする時貞へ抗おうとしたのではないかとも考えられる。
自らの意思ならば、修行(人格が破綻するほどの時貞によるスパルタ教育。精神的身体的虐待)から幼児退行を起こした時麿に“善い行い"であり“ととさまが喜ぶ事"と教え込んだ可能性も考えられる。
シナリオ集 「……面白い。良い眼だ」
※以下、ネタバレを含みます。ネタバレが嫌な方はスクロールする事をお勧め出来ません。
※‘23年鑑代表シナリオ集での名は一臣となっている。
※『‘23年鑑代表シナリオ集』について
2024年日本シナリオ作家協会より発行された書籍。
毎年、その前年を代表する優れた邦画のシナリオを収録したもの。
尚、このシナリオ集ではゲゲ郎と水木の様々なエピソード・岩子と水木の話・人外要素強めなゲゲ郎・10年前の孝三と岩子の話・乙米が妹想いであるとを取れる台詞や時弥を気遣っていると取れる台詞・克典が水木に探偵役を提案するシーン・時弥が時貞に一矢報いるシーン・終幕…白髪の水木が墓場から産まれた鬼太郎を墓石に打ち付けるようとした場面において、水木の脳裏に桜を背にしたゲゲ郎の姿が過る際、ゲゲ郎から水木へ贈られる台詞等…本編にはない内容が書かれている。(大筋は一緒である)
※以下『‘23年鑑代表シナリオ集』のP259より引用。
尚、思考している内容について「()」表記が無いため、本編を確認し、水木の思考について「()」を使用。
遺言状読み上げの応接間に到着した水木が急な弔問について乙米に謝罪を述べながら、龍賀一族を観察する場面。
乙米
「あなたにわかるというのですか!?
お父様を亡くした私たちの悲しみが!」
一臣(時麿)
「落ち着け、乙米」
乙米
「一臣兄さん……」
水木
「(一臣……時貞翁の長男か。
この恰好は……さっきの神社の神職?)」
と、一臣、見透かすように水木をジロと見て。
一臣(時麿)
「……面白い。良い眼だ」
水木
「……?」
一臣(時麿)
「だがそれだけだな。ー惜しい」
…という劇場版とは違う出会い方をしている。
一臣(時麿)の「だがそれだけだな。ー惜しい」というのは、水木の“魂の形を捉えることができる眼"を差していると推察される。
映画では製作段階で、演出の都合上、時麿は舞台装置の役割として登場しており、設定が無くなっていると考えられる。
余談
担当声優の飛田展男は、6期鬼太郎にて吸血鬼ラ・セーヌを演じていた。