概要
74式自走105mmりゅう弾砲とは、1974年に日本の陸上自衛隊に採用され、特科(砲兵)にて運用されていた自走榴弾砲である。
同時期に採用された75式自走155mmりゅう弾砲と比較して一回り小口径の105mm榴弾砲を主武装としていたのが特徴。小口径の105mm砲は射程や打撃力に劣ることが指摘されていたものの、小回りが効き発射速度も速いことから、前線部隊を密接に支援するには有用とする意見も根強かった。
そうして本車は1975年度より調達が開始されたが、1978年までに1個大隊分を調達した段階のわずか4年で調達終了。理由は不明なものの、やはり105mm砲の能力不足は無視できない欠点だったことや、そもそも155mm砲でも十分に前線部隊への密接な支援が可能だったこと、そして複数種類の自走榴弾砲を運用するより、一種類に絞って運用した方が効率が良いことなどが早期の調達終了の理由とされる。
結果として本車は1個大隊分の20両しか生産されなかったレア装備となったばかりか、北海道の第117特科大隊に集中配備され、1999年または2000年までに全車退役した。同時期に採用された75式自走155mmりゅう弾砲が200両以上生産され、2016年まで運用されたことを考えるとかなり対比的な運命を辿ったと言える。
現在は退役車両が各地に展示されており、埼玉県朝霞駐屯地の広報館「りっくんランド」、香川県善通寺駐屯地の駐屯地史料館「乃木館」などに屋外展示されている。