【警告】この記事には、『Deltarune』に関するネタバレ(Chapter2以降)が含まれています。
概要
RPG『Deltarune』における別ルートのことである。正式名称は「Alternate(オルタネート)ルート」、またルートにおける性質上や特徴が類似していることから前作『Undertale』でも使われた「Genocide(殺戮)ルート」、その通称「Gルート」が使われることもある。
作風としてはGルートと同様であると考えていい。実際、まともなコミュニケーションを取ろうとしなくなり単語のみのメッセージが目立つようになる、道中に見かける通行人のほとんどがいなくなる、ストーリーが大幅に短縮される、救済措置のアイテムが手に入らなくなる、バラエティ豊かな物語を楽しむ要素がことごとく失われて作業色が強くなるという共通点がある。
Chapter1ではプレイヤーの指揮下に入らないスージィの独自行動があるため前作でPルートを達成していても不殺は困難であり、大きな変化はキング戦の展開が変わるだけで、道中で倒された敵も逃げ延びた挙句ランサーの仲裁もあって結局主人公たちに協力するし、いくら倒しても主人公たちはEXPを一切手に入れず強くもならないため、チュートリアル的な意味合いが強い。
しかしChapter2からは、全メンバーが最初からプレイヤーの指揮下に入り、敵を倒すかみのがすかは前作同様の完全な自己責任になり、ストーリーに分岐も発生する。そしてAルートに突入するには、ノエルを利用して多くの敵を凍らせることやさらに特定のアクションを起こす必要がある。また、このルートを継続・中断した場合は、前作と違い特定のチャイムがなるのも一つの特徴である。
本作について、製作者のトビー・フォックスは「エンディングは1つだけ」と述べているが、ある意味「何をしてもストーリーが一緒ではない」とも解釈がとれる。またチャプター2が公開されてからは、以前のチャプターのデータを引き継げる機能も発覚した為、このルートのデータを引き継げば「以降のチャプターのストーリーも通常と違い大きく変わる可能性がある」と考えられる。
またトビー氏によると、Undertaleを完全クリアしたプレイヤー向けとのこと。実際難易度は通常ルートより難しくなるし、ストーリーにいたっては前作のGルートに慣れきったプレイヤーをも背後からグーで殴るような展開になる。
本記事では、ルートにおける通常ルートとの変更点などを主に解説する。
名称の由来
「Gルート」のGは「Genocide(殺戮)」を意味し、「ある民族、組織を絶滅させようとすること」という意味を持つ。前作『Undertale』は正しくその言葉通りに地底世界のモンスター全てが世界を破壊することによって絶滅されているが、『Deltarune』においては敵を見逃すことでも達成ができるため、正式名称が「Gルート」ではない(そもそものルート名自体公式のものではない)。
Aルートという正式名称の由来「Alternate」とは、意味が「交互に◯◯する」や「代役、代わりのもの」であり、チャプター2における通常のストーリーでもクイーンやバードリーが「Alt+Tab」(一般的なPCにおいて、ウィンドウを切り替えるショートカットコマンド)を「交代、代役」の意味として使われているのが分かる。このルートは基本的に「ノエルが主人公の『代わり』になって敵を倒す」というものなので、「Alternate(代わり)」の意味が通用するのである。
したがってルート突入の条件もこのテーマに沿ったものであるため、UndertaleのGルートよりも条件自体かなり複雑で、ともすれば大概のRPGでの行いをそのまま持ってくれば突入する可能性も否定できなかったGルートとは異なり、そうと知らなければノーヒントで辿り着くことが極めて稀な構造になっている(後述)。
そんなAルートだが海外では公開からわずか1日で発見された模様。
他の名称では「S(スノーグレイブ)ルート」「Weirdルート」とも呼ばれている(スノーグレイブについては後ほど解説)。
ルート突入の条件
Chapter2が始まっても、ノエルが仲間になるまでは特別な行動は特に必要ない。敵を見逃すなどして仲間に加えても問題ない。
ノエル加入後はうってかわって条件が次々と追加されていき、その中でも常時「道中全ての敵をノエルの氷魔法で倒す」ことが必要になる。
加入後の手順は以下の通り。
- 加入直後に、マップを左へ逆走。道中の敵を全員アイスショックで凍らせながらスパムトンの店がある扉まで戻る。
- 敵を倒しても普通の方法では倒すと逃げ出してしまうが、アイスショックでとどめを刺すと敵シンボルが凍りついたままマップ上に残る。
- また、この方法でノエルが敵を倒すと「ノエルは強くなった。」という表示が出てパラメータが高まっていく。敵を倒しているため多少はクリスも強くなる。
- スパムトンの店まで戻ったら、来た道を戻り先へ進む。
- ここから明確な変化が起こり始め、道中に走っていた車もこのルートでは消えており、エリアに人がほとんど居なくなっている。
- 大観覧車の広告看板のあるエリアに居るアドソンに話しかけ、「友だちとは別モノ」を選択する。
- 戻ろうとするとアドソンから「凍てつく指輪」を紹介されるので「入手」を連続で選択し続ける(この時指輪の値段は所持金+1ダークドルで紹介されるが、実際には所持金は減らない)。入手しないとAルートは中断される。
- この指輪はノエルに装備させること。
- Aルート中に装備している場合、ノエルの戦闘モーションが変化する。
- このイベントを境にBGMが停止し、再びBGMが流れ始めるとスローかつ冒頭のみを繰り返すバージョンになる。
- この指輪はノエルに装備させること。
- 大通りのエリアにある横長のゴミ箱を調べると、スパムトンらしき人物から返事がくるようになり、「敵シンボルがあと何体残っているか」という前作Gルートのような情報を教えてもらえるようになる。
- 前作と違ってこの数は「敵シンボル単位」であり、「敵の数単位ではない」ことに注意。
- 電流で先への通路が塞がれているネズミパズルのエリアでは、選択肢が出てくるため「前進」を選び続ける。
- こうして進入エリアを拡大しながら敵シンボルを全て凍結させてからゴミ箱のスパムトンに話しかけると、「いばらの指輪」を1,997D$で購入できるので、ノエルに装備させる。
- 凍てつく指輪を上回る魔力に加え、氷の魔法のTPコストが半減する。ただし残りHPが最大値の1/3になるまで急速なスリップダメージを受ける(戦闘中のみ、5HP/秒)。
- ちなみにこの時、残量が55になるようノエルの成長が調整されている。余談だが、55はローマ数字やラテン語の数字で「ⅬⅤ」と表記する。
- これらの準備が完了したら「2つめの路地」まで進む。
ルート確定条件
以上の手順を前提とし、「2つめの路地」での選択・立ち回りによってルート突入の成否が決定する。
他ルートと同じくここでバードリーと2度目の戦闘に入るが、戦闘までの流れが大きく異なり、ここでも選択肢が出現するようになる。
- 「前進」を選ぶこと。もう1つの「ノエルをおまえから守ってる!」の場合、Aルート離脱した通常のバードリーとの戦闘。
- 選択肢を正しく選んだ場合、Aルート版の強化バージョンになったバードリーと戦闘。
- 弾幕が多くなるうえ被ダメージも増えるほか、ターゲットにクリスしか選択してこない。クリスが戦闘不能になった場合に流れ弾がノエルに行くことだけはある。
- クリスが戦闘不能になったままターンが経過すると彼女の説得を試みて1ターンだけ攻撃をしてこなくなる。クリスを回復させなかった場合は以後ノエルが直接標的になる。
- ノエルの魔法に「スノーグレイブ」が追加されている。いばらの指輪込みでなおTP100が必要であるため、装備していないと必然的にAルートを確定できない。
- 逃がしたり、スノーグレイブ以外の方法で倒すと、Aルートを離脱する。
- 選択してもノエルが断ろうとするが、発動するまで何度でも選択し続ける。
- 以上でChapter2のAルートが確定。
- 他ルートと違い、後戻り出来なくなるうえ、ここでノエルがパーティを離脱する。
- この後は進めるようになる道が東方向ではなく北方向になっており、ショートカットとなるマンホールに入るとラルセイやスージィと合流し、早くもクイーンの館に行くことができる。
突入失敗例
- 0:20 - Aルート開始(以下、失敗例)
- 1:04 - 敵を逃がした
- 1:09 - 敵を凍らせず倒した
- 1:57 - 店員に「友達」と紹介
- 2:25 - 指輪の購入を最初から断った
- 2:45 - 値段を提示されてから断った
- 2:52 - 店員に話しかけずにスイッチを押した
- 3:04 - ノエルにいたずらしても失敗は失敗
- 4:19 - 2つ目のネズミルームでパズルに挑戦した(変化していたBGMは失敗した段階で元に戻る)
- 5:02 - 「前進」を指示してからパズルに挑戦した
- 6:20 - バードリー戦でスノーグレイブを使わず倒した
- 6:55 - いばらの指輪を装備せず戦闘になった(アイスショックではバードリーは凍らない)
- 7:27 - 装備していようがいまいが見逃した
- 8:14 - 戦闘前に「前進」を指示しなかった
- 10:25 - スノーグレイブ発動可能になってから見逃した
ここまで読めばわかるように、条件がやたらと多く、ノーヒントでこれらの失敗条件に一つも引っかからないのは至難の業。
海外でわずか1日で発見されたとされるこのルートだが、発見者は当時、周囲にこのルートの存在を教えても信じてもらえなかったそうな。無理もない。
そのため偶然で辿り着く可能性は限りなくゼロに近いのが、前作におけるGルートとの大きな違いと言えそう。
ルート確定後
クイーンの館内のBGMは、館に明らかな異変が発生したことがわかるものへと差し替えられており、知っている人ならば誰の仕業なのか見当がつく選曲になっている。また、パレッタの店には完全に石化したルールノー・カァドーが邪魔で入ることができず、そこでラルセイによるダークナーの「適応」についての解説がされている。館の執事たちは全員カフェに閉じ込められ、警備する人手がなくなり館は「ナゾの力」に乗っ取られていた。
それにより城はバグった広告だらけで、館の絵画も「クイーン・リザ」から「スパムトン・リザ」になっている。絵画の部屋を抜けると、ピピスまみれの部屋に入り、さらに奥の部屋はピピスがクリスに向かって飛んで自爆し攻撃してくる。
敵を数多く倒しているため、合流したスージィやラルセイも相応に強くはなっているが、スージィのルードバスターの破壊力に物足りなさを感じたら立派に感覚が麻痺していると言っていいだろう。
クリス達が「ノエルの部屋」の前に辿り着き、スージィはクリスと一緒にノエルを助けようとするが、クリスは何の反応もせず一人で部屋に入る。ラルセイはクリスに「二人がどうしているか気にならない?」と言い、通常はスージィとノエルのシーンに入るが、再びクリスは何の反応も示さず、そのままスージィが部屋から出てきて先へと進む。(なお、この際ラルセイは「ちょ…ちょっと待って!本当だったらここで…」と意味深な反応を示している)
バードリーとクイーンとの通常の戦闘も、2人が居なくなっている為か始まることはない。先に進んでクイーンと相まみえるも捕らえられているはずのノエルがおらず、クイーンからはノエルが「十分すぎるほど『覚醒済み』」であり、「自分の助手を務められる状態ではなく、休息が必要」と語られる。またバードリーはクイーンが長時間に渡り捜索を続けたが、自分のセンサーではその存在を検知せず、つまり未だに行方不明となっていた。そしてクイーンは闇の泉を生み出す目的のため、クリスかスージィに手を組まそうとし、通常ならどこかで見たような形式でのクイーンとのバトルとなるが、このルートでは先にクイーンがラルセイから「咆哮」のことを知らされ、まさかのクイーンとの戦闘なしで「闇の泉」を封印しに行ける。
闇の泉
スージィは先にノエルの所に行く為、ラルセイはクイーンにクリス達の町について説明する為、泉の封印は一人で行くことになるが、その前にセーブポイントと自販機が置かれた通常では行けないエリアに行ける。そして泉の前に辿り着きそれを封印しようとするが…
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余談
前作ともどもその奥深いストーリーはファンの間で多くの二次創作を生み、UndertaleAUといったゲームプレイができる作品も数多く生み出された。それはDeltaruneでも当然例外ではなかったが、本Chapter2が世に出されるまでは、虐殺ルートの二次創作はあくまで主人公だけが狂うもの、あるいはNPCの大多数が狂っているものなど幾多の種類あれど、狂気を宿す対象は「自我を持つ個人」もしくはその集団であることが多かった。
それだけに、メンバーを敵でも仲間でもなく「自我を奪わせて駒とする」本ルートの作風は斬新で、多くのファンに衝撃を与えたと言える。
アイスショックに必要なTPは16であるが、これは防御1回分に相当する。そして、ルート中盤以降はアイスショックで敵をワンパンできるようになる…即ち、クリスはひたすら防御して毎ターンノエルにアイスショックを撃たせるのが最速かつ確実となってしまう。
ゲームとしての最適解が、本ルートの象徴たる「ノエルによる殺戮の代行」を正に体現しているという、恐ろしいまでの仕込である。