概要
1950年代後半、当時駅構内及び操車場などで使われていた、明治~昭和初期製の蒸気機関車を置き換えるために開発・製造された。また構内入替えだけではなく、支線や引き込み線の小運転にも対応できるように設計されている。
外観は米陸軍8500形(DD12)→DD11へと引き継がれた、アメリカンテイストを引き継ぐ凸型スタイルで、車体の前後に370馬力のエンジン2基(370PS×2)と液体変速機を二基搭載した、国産の量産ディーゼル機関車の基礎となった車種である。
当初はイコライザーが目立つ釣り合い梁式台車(これもアメリカンテイスト)のDT105を採用したが、85号機号機以降はウイングバネ式のDT113に変更され、同時にエアタンクの移動と燃料タンクの容量増大が行われている。
さらに1961年3月から製造された111番からはエンジン出力を500PS×2へとパワーアップ、ボンネット周りの形状をリファインしたものとなりより近代的な外観となった。
501番以降は111~を基礎に重連総括装置を搭載したモデルである。
また基本番台・重連型ともに、駆動系をマイナーチェンジした、300番台・600番台がさらに量産されている。
1958年から総数416輌が製造されたが、4軸機であることから操車場での重入替えには(主に突放の際のブレーキ軸数の点で)やや力不足であり、後継車として1エンジン・5軸機のDE10、さらに操車場の重入替えに特化したDE11も製造されたため、国鉄に於いてのDD13の製造は1967年をもって打ち切られた。
派生型式・改造車
DD14
主要機器を使用してロータリーヘッドを装着できるようにした除雪仕様車。
見た目はDD13とは大きく異なり独特の箱型車体となっている。
DD15
車体前後に大型のラッセルを装着した除雪仕様車。
こちらはラッセルを外してDD13と同様の運用も可能で、JRにも若干数が承継された。
912
新幹線の工事列車、車両基地内の入換用として標準軌用の台車に交換したもの。
標準軌用といっても、DD13用の狭軌台車をただ横方向に広げただけであるが、この標準軌台車は当時増備されていたものと同系列のウイングばね台車が原型であり、一方改造種車は当初イコライザー台車の初期車、後には燃料タンク増量(場所を取られたエアタンクが台車脇に移動)したグループからの改造であるため、若干の外見変化を伴っている。後期車の場合、エアタンクが台車と干渉しかねない場所になったため、その分外側へエアタンクをずらし、エアタンクの吊り金具が台枠の外側へ出っ張った。台枠部分で車体幅が2800mmあるので、この吊り金具は在来線車両限界からはみ出している。
運用
全国の主要駅や車両基地の入換用として広く使用されたが、暖房用のボイラー(SG)を持たなかったため、旅客列車に使用される機会は少なかった(一応、清水港線など末期まで定期運用はあった)。
1978年以降DE10の台頭や入換仕業の合理化に伴い廃車が出始めるようになり、さらに1984年2月ダイヤ改正で本業でもあった貨物ヤード輸送が全廃され、これにより余剰車が大量に発生する。
最終的に1986年11月改正で全車の運用が終了し、国鉄最後の日となった1987年3月31日までに廃車となった。
廃車になった一部の車両は、貨物輸送を行う私鉄や専用線、臨海鉄道などに譲渡された。
なお、前述した912形についてはJR各社に引き継がれている。
国鉄分割民営化後
さて、全廃と書いたものの読者の中ではJRの駅や臨港鉄道、地方私鉄などでこの形式を見たという人も多いだろう。
それもそのはず、国鉄線からは全廃されたが2エンジンという故障時の冗長性、手頃なサイズ・出力から臨港鉄道や私鉄各社にも同型の増備車や国鉄からの譲受車が大量に運用されていたのだ。
2010年代以降はさすがに老朽化から置き換えが進んでいるが、その置き換えに登場した新車もDD13のレイアウトを踏襲しているなど(さすがにエンジンや見た目は別物だが)、本形式が日本の鉄道に与えた影響力の高さがうかがえよう。
保存
DD13 1 鉄道博物館(大宮)
DD13 353三笠鉄道記念館
DD13 611小樽市総合博物館
DD13 638津山まなびの鉄道館