GODHAND
ごっどはんど
遥か昔、魔王サタンによって支配されつつあった地上に一人の救世主が現れる。彼は両腕に宿した神にも等しい力で魔王サタンを倒し、世に平和をもたらした。人々はその男を畏れ敬い、「ゴッドハンド」と称した。
それから長い年月の後、旅の青年ジーンは、ふと立ち寄った町でならず者に襲われていた娘オリヴィアを助ける。オリヴィアを逃がすことには成功したが、ならず者の強さは人間のそれを遥かに超越していた。ジーンは奮戦するも全く歯が立たず、なす術もなく「ゴッドハンド狩り」の名の下に右腕を切り落とされてしまう。絶望と失意の中、オリヴィアから伝説のゴッドハンドを右腕に授かり、神の力を手にしようとする悪魔達との戦いに挑む。
(wikipediaから転載)
と い う あ ら す じ は 置 い と い て
人呼んでバ 神 ゲ ー。
日本アクションゲーム史でも、屈指の破壊力を誇る清々しいまでの馬鹿っぷりが腹筋を直撃するゲームであり、割と真面目なストーリーやオカルト・ファンタジー色の強い設定が完全に馬鹿っぷりを引き出すダシにしかなっていないという状態。
カッコいいけどどこかチャラくてヘタレな主人公、ドSでぐーたら過ぎてファンに黒幕扱いされるヒロインはまだ序の口。敵の方は完全に邪気眼なライバル、暑苦しくて色々と濃いオッサン、どう見てもSMの女王様な紅一点(、に隠れてまとも過ぎて影の薄いリーダーの老紳士)という幹部に、ムキムキのオネエの双子、どう見てもター●ネー●ーのシュ●ちゃん、ゴリラ、乳シンバル、毒チワワ、そこら中でヒャッハーしているモヒカン共、どっかで見た気がする三馬鹿、そうで無くとも雑魚から一般人まで突っ込み所の塊のような奴だらけ。
また随所に細かいパロディがてんこ盛りにされており、主人公すら第一声が「み、水…」だったり、おもむろにどっかで見た気がする打法を繰り出したり、どっかで見た気がする拳法でブッ飛ばしたり、大体そんなゲームである。
大体最初から最後までこの調子。
エンディングテーマ(「俺の右手はゴッドハンド」)に至っては、英語と字幕で構成されたスタイリッシュな会話を棒に振ったような昭和のロボットヒーローアニメ調の日本語という始末で、これまた異常に中毒性が高いことで知られる。
「エンディングを見て買いたくなった」と言われるゲームはそうそう無いだろう。
アクションゲーム界の鬼門
しかしそんなおバカなノリとは裏腹に「EASYですら並のゲームのHARDぐらい難しい」とまで評される難易度の高さから『ドM育成ゲーム』とまで呼ばれる。具体的には、その鬼っぷりで知られる『デビルメイクライ』の最難関モード「Dante Must Die」がこのゲームのノーマルモードくらいに当たるというから、とんでもないインフレっぷりである。
さらにこのゲームを難しくしている要因として、順調に敵を倒しながら進むと勝手に敵の強さが上昇するという鬼畜仕様が搭載され、嫌でも難易度が上がっていく。なにより敵はガードができるのに、ジーンは一切ガードが出来ないせいで敵の攻撃は全部避けて防ぐしかないことが、このゲームの難易度を最初から一段階飛躍させている。
そのほか敵の挙動にも、よくある「予備動作」がないことが多く敵の攻撃を判別することが難しい、ザコ一体の耐久性や攻撃力が無駄に高い、ときおり突発的に出現する「悪魔」が初見殺しすぎるなど、とにかく死にゲー要素が凄まじく強いのだ。
とりあえず最初の雑魚2人にボコられ、密室に閉じ込められてボコられ、いきなり出てきた刺悪魔にボコられ、大悪霊にボコられ、数の暴力にボコられ、背中に何か付いてるゴリラにボコられ、どう見てもあいつらな三馬鹿にボコボコにされ、終いにはライバルにもボッコボコにされる。
最初のステージ1をクリアするのに軽く20~50回ぐらいゲームオーバーするのは、このゲームにおいてはよくある光景である。最終的には総成績で3桁死んだ程度では驚かなくなる。
だがそれでもプレイヤーが上達すればクリアできる難易度に設定されており、CPU相手に読み勝った際の達成感や上達感、いわゆる必殺技である「ゴッドリール」や「ゴッド解放」の開放感と爽快感、そしてクリアした時の解放感は他に代え難い中毒性があり、極めて気持ちいい。
この辺りの「キツいけど超楽しい」といった感触も『ドM育成ゲーム』と呼ばれる所以だろう。
戦闘システム
技は最初から8つ選択してセットでき、それらをコマンド入力で繰り出しながら戦う。
その技の数、なんと100種類!
これらの技はショップで買うか、ステージ内の特定の敵を倒すことで入手可能。
入手経路のほとんどはショップ依存なので結構な資金が必要なのだが、ゲームの難易度の関係からクリア時の獲得資金が雀の涙ほどになることは珍しくないため、大抵はミニゲームのカジノでコツコツ貯めることになる。
必殺技である『ゴッドリール』も結構な数が存在し、こちらも先述通り馬鹿っぷりを遺憾なく発揮している。特にLv1の必殺技「ゴッド土下座」は、文字通り敵に向かって「オネガイシマース」と片言の日本語で土下座しながら拝み倒すという珍必殺技。……が、実はこの技は上昇した敵のレベルをリセットするという特殊な機能を有しており、難易度で苦しむプレイヤーにとっては習得必須の必殺技だったりする。いちいち芸の細かいゲームである。
そしてくどいようだが、ジーンはガードが出来ない。
頑張ってマトリックス並みに避けていこう。
なお本作がクローバースタジオ最後の作品であり、本作発表の後にクローバースタジオは解散。そのほとんどのスタッフはプラチナゲームズに移籍している。
その影響か、のちにプラチナゲームズから発表された『BAYONETTA』には『GODHAND』から受け継がれたと思しきノリや演出が各所に見受けられる。『BAYONETTA』が一部でバカゲー扱いされる一旦に、このゲームの影がちらついている。
またカプコンの『戦国BASARA3』の徳川家康は、そのモデリングや格闘スタイル、モーションなど、多くの要素をジーンから移植していたりする。これについてはカプコンのいつもの病気としか言いようがない……。
ゴッドハンド(表記ゆれ)