MiG-29Kは、ソビエト連邦の戦闘機 MiG-29の艦載機型。
原型機を基に、着艦フックの設置、機体構造や降着装置の強化、主翼面積を拡大し折り畳み機構を組み込むなどの設計変更が行われている。
来歴
ソ連海軍の艦上戦闘機として試作された«9.31»と、2010年頃にマルチロール艦載機として完成した«9.41»の2系統に大別される。どちらも単座の基本系列は「MiG-29K」と呼ばれてはいるものの、ベースとなった機体が別物であるため別の機体と言っても良い。
現在では、«9.41»がインド海軍とロシア海軍で採用されている。
«9.31»
1970年代初頭からソビエト海軍の超音速艦上戦闘機開発計画に基づき開発を開始。1988年に初飛行した。
しかしながら、スホーイのSu-27K(Su-33)と共に審査を受けた結果、スホーイ機が採用されたためMiG-29Kは試作型2機で製造が打ち切られた。この間にソ連が崩壊、Su-33が採用されたのはその直後となった。
«9.41» «9.47»
ソ連崩壊後、90年代末のインド海軍による空母および艦載機導入計画の元、マルチロール艦載機として開発が開始された。
ベースはソ連時代に試作された«9.31»では無く、MiG-35の元となったMiG-29M(MiG-29M1)系列の機体である。
«9.41»が単座機「MiG-29K」、 «9.47»が練習/作戦兼用の複座機「MiG-29KUB」である。
2007年初飛行、2009年より引渡しが開始されている。
インド海軍
インド海軍向けのMiG-29Kは2013年に就役した「ヴィクラマーディティヤ」に搭載されたほか、2020年頃に就役が予想される「ヴィクラント」にも搭載される模様である。
- 『ヴィクラマーディティヤ』はMiG-29Kと共にロシアから購入した空母で、元はロシア海軍の改キエフ級 『アドミラール・ゴルシュコーフ』、進水から1990年までは『バクー』と名乗っていた。
ロシア海軍
ロシア海軍では、かつて本機を下して採用されたSu-33の調達数がソ連崩壊の余波で極めて少なくなり、製造ラインも早々に閉鎖されてしまったため、2015年頃を目処にSu-33を引退させる必要に迫られた。
そこで、インド海軍向けに”現在製造中”の本機を採用し、2014~16年の間に単座型20機 複座型4機の計24機を導入。
実に四半世紀越しの本国での採用となった。
とはいえ実際には、当時経営状態が危うかったMiGの救済措置という一面もあった様子。結局Su-33も延命工事の末しばらく使われる予定である。