SCP-1057
さめのふざい
アイテム番号:SCP-1057
オブジェクトクラス:Safe
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「サメの不在」。
ある日、とある市民プールに突然出現した全長5mほどの「何か」。当時そのプールを訪れていた遊泳客やライフガードを含む8名を死傷させる被害を出したことで財団に捕捉された。最終的に駆けつけた財団のエージェントの尽力もあって拘束に成功し、現在は高さ4m、奥行き15m、幅9mの強化ガラス格納水槽に収容されている。
人間を殺傷する力を持つSCPオブジェクトである事は間違いないのだが、その正体は不明。というのも、この「何か」には、目に見えるような実体は存在しない。それも透明化しているとかそういう意味ではなく、本当に何も無い、ただの「空間」なのである。
この「空間」は周囲の水を押しのけるようにして輪郭を形成しており、謎のメカニズムによって自我を持っているかのように動き回る。その輪郭はタイガーシャーク(イタチザメ)の成魚に酷似した形状で、行動パターンや攻撃性などもタイガーシャークのそれと酷似している。しかし、実体が存在していないため、こちらから物理的に接触することは不可能。勿論渾身のパンチを叩き込んでもただ何もない空間に勢いよく拳を突っ込むだけに終わる。
この「空間」の近くにイタチザメが餌として認識する生物が存在する場合、「空間」はそれらを襲撃して捕食する。こちら側からの攻撃は通り抜けてしまうのに、SCP-1057からの攻撃は無条件に有効というのだから恐ろしい。
消費された獲物の肉などは跡形も無く消え去ってしまう。しかし、イタチザメが消化できない蛍光色素を食料に添加されている場合、その色素がSCP-1057の消化器や循環システム内を駆け巡る様子が浮かび上がる(ただしそれも5~9日ほどで消滅してしまう)。繰り返すがその「空間」には実体はおろか物体そのものが存在していないにもかかわらず、何故このような現象が観測できるのかについては未だ不明。
ところで、このSCP-1057の出現によって8名の死傷者が出たという話だが、実はSCP-1057が直接危害を加えたと考えられるのはその内3名のみ(遊泳客2名が死亡、ライフガード1名が手足を食い千切られる重傷)。では他の5名はというと「プール内にサメ(らしき存在)が出現した」事に追随する形で起こったパニックに巻き込まれた事で命を落としている。
そしてSCP-1057の拘束が完了し、犠牲者の法医学調査を行っている最中、プールの職員用掲示板に以下のような手書きの文章が残されていた事が確認されている。
パニックは、サメがいるという想像が、本物のサメより危険であることを意味している。
まったくもってサメよりも危険なのだ。
Are we cool yet?