概要
オブジェクト番号:5001
メタタイトル:神聖にして侵すべからず (英語版: Sacrosanct and Untouchable)
オブジェクトクラス:Thaumiel → Archon(保留中)
SCP-5001は、ロシア北部の地下60kmに存在する直径53kmの謎の生体力学施設である。その目的はほぼ不明ながら、内部には超怖そうな何か、通称SCP-5001-Aを収容しているらしい、という情報だけが財団の手元にある。
財団曰く、この施設をいじるなとのこと。調査も適度に、あくまで眺めるだけ。それなのに過去にいじった結果、とんでもないインシデント(後述)が起こったとか。収容違反といっても地下から何かがブワァっと飛び出しただけで済んだんだから、まぁ、セーフ?
SCP-5001は見ているだけで技術オタクの心を揺さぶるハイテク設備がたっぷり。地球産ではなさそうな機械がゴロゴロしているうえ、世界中の言語だけではなく解読不能な謎言語で書かれた書物が詰まっている。
SCP-5001は初めにかの有名なソ連の超常現象調査組織”GRU”P部局によって発見された。彼らはどうにかして外側の障壁を破ろうと躍起になったのだが、彼らが誇る最先端のドリルUralmash-4Eドリルシリーズでもダメだったため一時断念。その後、1969年、アメリカとソ連の関係性向上により、SCP財団がSCP-5001の侵入に協力し、世界オカルト連合からなーんか怪しい道具を借りてハチャメチャやった結果、やっと外壁の突破に成功。その後、SCP-5001やSCP-5001から得られる技術は”GRU”P部局とSCP財団で管理されることとなる。しかし、皆さんご存じのように偉大なるソ連が1991年に崩壊し、続いて”GRU”P部局も1992年に解散した。これにより、”GRU”P部局の高ランク職員が一斉解雇され、こいつらがSCP-5001の技術を含む、いろんなものを持って逃走、多くはマーシャル・&・カーター株式会社に売却された。ただ、奇跡か、はたまた財団の努力の結晶か、SCP-5001についてはまだどの団体にもバレなかったので、引き続き、今まで財団が単独管理している。
特別収容プロトコル
簡単に言うと、触るな、壊すな、いじるな。
SCP-5001の機能を損傷させることは禁止。下手に触ると何かが収容違反して天変地異コース確定。
研究は観察のみ許可。物理的にいじるのはご法度。もし壊したら、財団をクビになって倫理委員会送り。
SCP-5001-Aが外に出そうになった場合は、施設自体が「いや、オレに任せろ」と再収容を頑張るので基本は静観。なお、財団がいらんことして色々取り外したり爆発させたりしたせいで、現在は収容能力が弱まっている。
重要事項: SCP-5001が稼働している限り、「世界が今日も平和だなぁ」と思っていればOK。
SCP-5001の内部構造
SCP-5001は、中心に直径53kmの球体チャンバーを持ち、それを12本のオスミウム製の柱が支える構造となっている。この球体チャンバーこそ、例の超怖そうな何かを封じ込めている場所と推測されていいる。
主な特徴
- 超頑丈な壁: 外壁はグラファイトとよくわからん謎合金でできており、相当な装備を持ってこないと傷一つつけるのも大変。因みに化合物B-705というこれまた不思議な物質により、壊れた部分はすぐさま再生される。
- オントロジー安定化装置(現実錨)(略称:OS): ぶっちゃけて言えば、スクラントン現実描の原型。これが内外にびっしり設置されており、現実改変能力を持つSCPでも近寄るのを嫌がるほど。
- ハイパールミナルエンジン: 理解不能なエンジン。「これ動いてんのか?」と疑いたくなるものの、動いている。
- 「オメガ」:SCP-5001の一室で発見された人工知能。SCP-5001を管理していると思われる。ヴァネッサ・クライナー博士が勝手にアクセスし、勝手に交流した後、勝手に死んだ。
インシデントオメガ-1
2019年、「触るな」と言われていたSCP-5001のどこかが爆発。これが原因でSCP-5001-Aがほぼ収容違反しかけた。
時系列まとめ
爆発発生: 施設の北東部が吹っ飛び、現地の職員はパニック状態。
ヒューム値(現実安定性)急上昇: SCP-5001-Aが元気になってきて、職員たちは「やばくない?」と動揺。
「オメガ」による低レベル非常事態宣言の発令:この時点でOSが最大容量で稼働しているが、なかなか収まらず、本格的に財団職員たちが心配し始める。
収容チャンバー上昇開始: SCP-5001-Aを封じ込めている球体が段々加速しながら地上に向かって上昇開始。
「オメガ」による中レベル非常事態宣言の発令:O5-3がこのことについて警告される。職員たちの避難が開始
機動部隊オメガ-12出動: 「これ収容できんのか?」と疑問を抱きつつ必死に対処。
ハイパールミナルエンジンの一斉発射:稼働可能な6つのルミナルエンジンが一斉に稼働し、収容チャンバーを一次的に下降させる。
「オメガ」による高レベル非常事態宣言の発令:チェンバーがまた上昇を開始する。上昇は止まらず、高度40kmに達する
チェンバー内から謎の声:SCP-5001-Aが「我が領地に戻れ」と謎の発言をする。これを聞いた職員は互いに攻撃しあい、さらには共食いまでし始める始末
HECOR発射: 最終手段としてSCP財団が高エネルギーレールガンでチャンバーを撃ち抜く。
チャンバーの下降、及びSCP-5001内への再収用:どうにかこうにか収容が完了する。因みにSCP-5001-Aの影響を受けた職員は全員死亡
結果として、なんとかSCP-5001-Aの収容を維持。でも、現地の職員たちはほぼ昏睡状態か死亡。収容違反寸前だったことは内緒の方向で。
補遺: SCP-5001からのメッセージ
インシデントオメガ―1のあと、オメガから一通のメッセージが届いていた。
こんにちは、私の子供たち。
あなたたちは原初の時代から非常に成長しましたが、それでも成長の余地は多く残っています。あなたたちの種の知性は単なる萌芽に過ぎず、未だ非常に多くの可能性を秘めています。あなたたちの武器は強力です。あなたたちの医薬は最高です。あなたたちの工学は優美です。適切な指導と監督の下であれば、あなたたちは間違いなく上位の存在のステージへと到達し、肉体を超越したより完全で完璧な存在になることでしょう。
だからこそ、すぐにこの場所を離れるようにお願いするのはとても心苦しいものです。あなたたちの研究と調査は、危うくあなたたちを生かし続けるために私が取り組んできたすべての終わりをもたらすところでした。あなたたちが従うならば、私は貪るものが決して逃げることがなく、あなたたちの種が永遠に技術の啓蒙を自由に追求することを保証します。
このメッセージを、私の壊れたる心臓の中核から直接あなたたちに届ける最後の贈り物にしてく
れることを願っています。
これを読んだ職員たちは、「え、これって説教?それとも脅し?」と困惑。結局、財団は深く考えず「とりあえず触らない方向で」という結論に落ち着いた。
SCP-5001によってもたらされた技術
- スクラントン現実描:そう、あの超有名な装置はSCP-5001のオントロジー安定化装置をリバースエンジニアリングした結果によって生まれたものなのだ。つまり、SCP-2000を現実改変者から守れるのも一部SCP-5001のおかげである。
- 軌道上の固有兵器:財団は9つのハイパールミナルエンジンのうち3つを取り除き、それらを衛星軌道上の固有兵器(詳細はのっていないが、もしかしたらHECORもその一つなのかもしれない)に改造した。まあ、もしインシデントオメガ―1の時に9つそろっていたらあんなことが起こる前に再収容できたのかもしれないが...
- プロジェクトDEWEY(別名「アレクサンドラ」)の第IV世代人工知能:フレドリック・グラス博士によるオメガの解析により、第IV世代人工知能の基礎構造が得られた。なお、オメガ解析のデータはこの後も多くのさらに複雑な人工知能の製作基盤として使われている。
解説
ここまで読んで、SCP財団に詳しい方々は「あれ、これあいつらと関わり有るんじゃね?」と思ったことだろう。そう、ロバート・ブマロ率いる壊れた神の教会である。なにそれ、という人のために簡単に説明すると、壊れた神の教会とはロバート・ブマロ率いる超能力宗教団体で、壊れた神(英語名はMekhane)という、世界を形作った双璧をなす神の一人を祭っている。
この壊れた神は、人間に知性を与えたらしく、昔々もう一人の神ヤルダバオートと壮絶な戦いをし、壊れた神はヤルダバオートをとある場所に幽閉することに成功するが、世界中にばらばらに爆散してしまう。
ヤルダバオートはサーキック・カルトというこれまたヤバい組織で神格化されている神で、こちらは「貪る者」という二つ名を得ている。説明すると確実に沼るのでしないが、とにかく壊れた神とヤルダバオートは敵対していると言って良い。
さて、ではSCP-5001をもう一度振り返ってみよう。SCP-5001は何かヤバい奴を古から封印していて、それは超技術で出来ている。この何かヤバい奴は自分の影響下にいるものを凶暴化、更に共食いまでさせることができる。また、私の壊れたる心臓の中核から謎の激励、及び今すぐ離れろという忠告のメッセージが届いた。つまり...
- SCP-5001は壊れた神によって造られた巨大な檻であり、ヤルダバオートの本体、または重要な一部を封印している
- SCP-5001の人工知能オメガは実は壊れた神の意識の一部
という事が言えるのではないのだろうか。まあ、これはあくまで予想であり、SCP記事にも詳細は書かれていないのだが、現在のSCPコミュニティ(主に海外コミュニティ、日本は知らん)では通説となっている。
総括
SCP-5001は、触らなければ平和そのもの。
教訓: 「触らぬ神に祟りなし」
触ると施設が壊れ、SCP-5001-Aが起き上がる。そして、何が起こるか分からないので怖い。
ただ、今のところは「無害な超テクノロジーの宝庫」として財団職員の間で人気。なんだかんだで財団も、「いじるの禁止」と言いながら施設の装置を研究して技術をパクろうとしている模様。
GOC:「あれ、(中のヤバい奴ごと)壊したほうがよくない?」