概要
アイテム番号:7200
メタタイトル:お船。(Boats.)
オブジェクトクラス: Keter(Euclidへの再分類を検討中)
SCP-7200は、国際水域において非軍用商船が突如として行方不明になる不可解な現象である。現象に巻き込まれた船舶は、予測不能な方向転換、速度の急上昇、貨物の投棄などを行い、最終的にはトランスポンダーが停止し、以後どんな手段でも発見不能になる。
SCP-7200の被害を受けた船舶からは、不快な金切り声のような音が無線で送信されることがあるが、財団の精鋭部隊でも「音量を下げても精神的ダメージがデカい」と評されている。ミーム的解析では一切の異常性が発見されていないが、無線には乗らない認識災害性質を有する可能性があるとされている。
更に、SCP-7200の発生率は年々上がってきており、2026年では世界中のどの海域でも一定回数以上発生すると考えられている。
特別収容プロトコル
機動任務部隊シータ-5("大船")が派遣され、登録された商船の消失を調査し、必要に応じてカバーストーリーを提案する。発信された無線信号は標準手続きを用いて隠蔽される。
2022年からプロジェクト・コンビニエント・フラッグが発足、期待のできる成果を上げている(後述)。
補遺7200-1: 収容試行
財団はこれまで様々な収容試行を行ったが、その成果は……まあ、うまくいかなかった。
- コードネーム:サイド・アイ
商船20,000隻にセンサーを取り付けて監視。結果は,SCP-7200の発生と同時にセンサーの反応が消失。これ以上の情報は得られず、見事に失敗。
- コードネーム:イベント・ホライズン
Eクラス職員を採用して訓練し、多種の異常環境を航行するための装備とともに100隻の商船に乗せる。結果、職員を乗せた18隻の船舶がSCP-7200イベントにおいて喪失し、新たな情報は挙がらなかった。作戦は中止される。
- コードネーム:エスコート・ミッション
財団海軍がコンテナ船を護衛。対象の船が突然急旋回し、護衛船にコンテナが降り注ぐという、まさかの友軍ダメージ発生。もう一つの事例では、対象の船をボコボコにするも、謎の力で護衛船を振り切り消失。作戦失敗。
- コードネーム:トロヤン・シーホース
無人船を現代兵器、及び財団所有の超兵器で武装し、貨物船として展開。SCP-7200イベントを引き起こす元凶をぶっ壊す!という作戦。運よく1隻が対象船となったが、全兵器を垂直にぶっ放して転覆するという見事なポンコツぶりを発揮。船も爆弾も無事では済まなかった。これを受け、全ての無人武装船は回収され、作戦は失敗とみなされた。
- コードネーム:シー・ニューク
( ゚∀ ゚)ハッ!普通の兵器じゃダメなら、核を積めばいいじゃない!という、考えのもと発案された、トロヤン・シーホースの超狂化版。監督司令部が「何考えてんの?」と即座に却下。
プロジェクト・コンビニエント・フラッグ
数多の失敗を経て、ついに財団は一つの天才的解決策に到達する。それは……魚を船と見なすことだった。SCP財団渉外部門、及び諜報部門は、パナマ海事庁と交渉し、次の作戦を立案した。
1.魚にパナマ船籍を付与
養殖施設で数百万匹の魚を育成し、それぞれの魚に正式な船籍と登録番号を付ける(これをSCPF級とする)。もう船ではなく魚が商船扱い。
2.登録した魚を海に放流
財団の魚は国際水域で泳ぎまわり、見事に「商船」として活動(?)する。
木を隠すなら森の中というが、民間商船をSCP-7200から隠すなら商船(笑)を大量に生産すれば良いのでは?というこれまたとち狂った考え方である。
SCP-7200イベントの頻度は上昇しているものの、民間商船が対象となる頻度は減少し、消失率はほぼゼロに。財団の勝利……なのか?
現状
SCP-7200現象の頻度は上がり続けているが、泳ぐ商船「SCPF級」が大部分を占めるようになったことで、影響は激減。民間の被害も最小限に抑えられている。
「いや、これが正気の解決策なの?」と疑問を抱く新人職員も多いが、一匹の魚が商船として登録され、平和な海を泳ぎ続けるのを見ると、なぜか救われた気持ちになるという声も。
これより、SCP-7200はKeterからEuclidに再分類されることが検討されている。
結論
船が消える謎も、無線の金切り声も、何一つ解明されていない。しかし、魚船の奇策によって、人類はSCP-7200に一歩勝利を収めたのだ(多分)。
もしかしたら、諸君の食卓に並んでいる焼き魚も立派な商船なのかもしれない。