概要
アイテム番号:SCP-743
オブジェクトクラス:Keter
SCP財団が管理するSCPオブジェクトの一つ。通称「チョコレート・ファウンテン」。
その名の通り、組み立てた姿はごく普通の、傷一つない新品のステンレス製チョコレートファウンテンのような機材。それぞれのパーツにもこれといった異常性は見られない。
しかし、このオブジェクトの秘める最大の問題は組み立てた後に発生する事態であり、その危険性からKeterクラスに指定されている。
組み立てられたSCP-743は、状況によって以下のような5種類の反応を見せる。
1.休止状態
ただその場に存在するだけ。特にこれといった動きを見せず、異常性も確認できない。
2.流動状態
頂上部からトロトロに溶けたチョコレート……のような茶色い液体を流出させている状態。おそらく最も一般的に「チョコレートファウンテン」という言葉から思い浮かべられるであろう姿。
ただし流れ出る液体は原料となるチョコレートやその他物質が供給されなくてもひたすら流れ続ける。色合いや味は高品質なダークチョコレートにそっくりで、魅力的な香りも漂わせてくる。
科学的な分析によれば成分はほぼチョコレートのそれだが、一般的なものよりも多くの栄養素を含んでいる模様(特に糖分とアミノ酸が豊富)。
3.摂食状態
流動状態のSCP-743に有機物(生物)が接近すると移行する状態。
頂上部から小さなアリのような姿形をした実体が数百万単位で出現し、動物、植物、菌類に至るまであらゆる有機物を強靭な顎で噛み千切り、その欠片をSCP-743内部へ運び込もうとする。
対象の有機物が生きているか否かにかかわらずこの行動は行われるが、特に生きた人間を対象として好む傾向がある模様。また、SCP-743から流れる茶色い液体を飲み込んだ生物をターゲットとして強く認識する。
実体を潰すなどして個々の活動を止めることはできるが、圧倒的な数の暴力により完全な制圧は容易ではない。
4.狩猟状態
有機物に餓えて本格的に活発化した状態。
アリだけでなく様々な昆虫やクモなどに似た実体を大量に生み出し、自ら獲物を捜索・狩猟し始める。
こちらも個々を倒すだけならそこまで難しくはないが、前述の摂食状態のアリすら比較にならない尋常ならざる個体数が出現する上に、性質もより攻撃的。
なお、出現する個体の一部はSCP-2031(アリ農場)に酷似した姿をしている。
5.維持状態
言わばSCP-743の防衛形態。
出現する実体を活用して破損した本体を修復し、新品同様の外見を保ち続けようとする。この状態が存在するためにSCP-743の破壊は見た目からは想像できないほど困難とされる。
ちなみに、移動できる範囲であればSCP-743本体は自分の意思で自由に位置を変えることができ、床に取り付けられていなくても液体を流出させることができる。
近寄るだけで人間の脅威となるために研究がほとんど進んでおらず、かと言って放置していると自らの意思でもっと危険な行動に出るため、非常に対処に困るSCPの一つと言える。
現在はランバート博士からの提案により、解雇予定のDクラス職員を「餌」として与える事で収容の維持(と同時に事実上の死刑執行)を行っている。
いかなる事態が発生したとしても、SCP-743の収容区域に送り込まれたDクラス職員がその区域から脱出することは許可されない。
幸いにして流れ出る液体は口にするだけで幸福感を得られるほどのとても美味しいチョコレートの味がするため、せめて命ある限りそれを摂取することが推奨される。摂取するほどに茶色のアリから狙われることになるが、どの道逃げ場など無いし、肉体は数分もかからずバラされる。
そんなチョコレートファウンテンくんだが、みんなだいすきクソトカゲことSCP-682の終了実験に、満を持して登場。
当初は存在を無視していたSCP-682だが、「流動状態」に入った所で舌を伸ばして舐めると、両前足で抱えて持ち上げ、ゴクゴク呑み出した。
どうやらとてもお気に召した模様。かわいい。
その後「摂食状態」に移行したSCP-743から発生したアリの群体に、SCP-682は貪られる。
抵抗したもののすぐに全身を覆われてしまい、本来の79%まで質量が低下してしまった。
しかしそこはクソトカゲ、あっさりと適応。
アリクイのように粘性を持つ「舌」を作り出して5m以上伸ばし、自分にまとわりつくアリを舐めとり始める。アリは無尽蔵に出現して襲いかかるが、SCP-682は摂食をやめない。
結果数時間にわたりお互いを「捕食」し続けた結果、埒が明かずにドロー。試験終了となってしまった。
なおSCP-682はこの経験から通常より強い再生力をしばらくの間獲得し、「舌」も数日残存したという。