全ての直結厨に制裁を。
あまりにも壮大で馬鹿馬鹿しい復讐劇が幕を開けた瞬間だった。
概要
「World's End Online」とは「小説家になろう」にて、yuki氏により投稿されているウェブ小説作品。
全83話(うち3話は余談)であり、本筋のストーリーは2014年に完結済み。
同氏の作品である「果ての世界で」と舞台を共有している。
VRMMORPGをプレイしていた主人公たちが本物になってしまったゲームの世界で活躍し、現実世界への帰還を目指すストーリーとなっている。
本作最大の特徴は現実世界では男性である主人公がゲームでは女性キャラクターを演じており、自身に騙された男性たちを嘲笑っている最中にゲームが本当の世界になってしまった点で、他人を騙していたから出来なくなってしまったこと、逆に今まで偽った言動をしていたからこそ出来ることなどが丁寧に描写されている。
また男性プレイヤーが女性キャラクターの身体になってしまった性転換ものとして身体の変化に伴う不安や恐怖、プレイヤーの集団が現れたことに対する現地の住民らの反応や対応の詳細など、他作品ではお約束としてある程度略されている部分についても詳細を描いている。
あらすじ
かつて女キャラを使っていただけでネカマと糾弾され迫害を受けた少年は全世界の直結厨どもに復讐すべく、世界初のVRMMORPG『World's End Online』に手を出した。
やがて『プロネカマ』を自称するまでになった少年は「セシリア」というキャラクターを作成。
磨き上げたテクニックを駆使し、数々の男達を篭絡し始める。
熱烈な告白や厨二じみた痛いアプローチの数々を余すところなく記録し、ネカマだとばらすついでにこれらの記録を公開する計画は順調に最終段階を迎えた。
だが、暴露イベントで彼らを散々嘲笑っていたまさにその瞬間、プレイヤー達は一瞬の暗転を境にゲームとよく似た異世界へ転送されてしまう。
ゲームと同じ姿になってしまった今、何をされてもおかしくないと察したセシリアは混乱するプレイヤー集団から我先に逃げ出す。
登場人物
- セシリア
本作の主人公。「World's End Online」の女性キャラクターで、職業は最上位支援職である「最大主教(アークビショップ)」。
「ゲーム内で一番可愛い女性アバターは誰か」というコンテストでぶっちぎりの1位を取るほどの美少女キャラクターであり、その性格もまさしく男性が理想とする女性であるが、実はプレイヤーは男性。
以前に別のゲームで女性キャラクターを使ってプレイしていたが、それをネット上で糾弾され、最終的にはゲーム内で親しかった友人ともどもゲームを引退せざるを得ない状況にまで追い込まれたことから「ゲーム内で出会いを求める性欲に狂った男どもに復讐したい」と考え、ゲーム内で完璧な女性を演じることで自身に言い寄ってきた男性らの言動を記録し、最後に盛大に暴露するという方法を思いつく。
理性的だが非常に偏執的な性格であり、男性らを騙すため女性らしい言動や所作や仕草などを綿密に研究し、また相手の言動や表情から「何を考えているか」「どういう思考回路の持ち主なのか」を読み取る訓練を続けた結果半ば思考誘導にも近い演説能力を身につけるなど、常軌を逸した執念深さを持つ。
一度決めたことは断固として曲げず、自己犠牲を厭わない行動を平気で取るものの、本気で心配をしてくれている相手にさえ神経を逆なでするような言動をわざと取って自身の主張を貫き通すこともあるなど、本質的には少々幼稚で、また一部の親しい人間以外を信用していない。
- カイト
「World's End Online」の男性キャラクターで、職業は最上位盾職である「守護者(ガーディアン)」。
プレイヤーは女性であり、セシリアとはリアルでの知り合い。
以前プレイしていたゲームで、性別を偽ったと晒上げを食らっているセシリアを庇ったことでカイト自身も引退に追い込まれており、それもあってセシリアの復讐に協力していた。
頭も口も回るが本質的には幼稚な子供であるセシリアに、大人として忠告をしてくれる貴重な人物。
自由の翼
商業都市リュミエールに拠点を置くプレイヤーたちが立ち上げたギルド。
ギルドマスターはケイン。総勢500人ほどであるがほとんどが非戦闘員であり、資金繰りの悪化が顕在化し始めてきている。
- ケイン
「World's End Online」のプレイヤー。男性。職業は最上位騎士職の「ロイヤルナイト」。
現実世界ではベンチャー企業の取締役をしており、その経験を活かして突如ゲーム世界に放り込まれ混乱しているプレイヤーたちを束ねギルドのシステムを作り上げた。
品行方正かつ底抜けのお人好しで、ギルドのメンバー誰もが平等であると説く姿勢から「彼のもとで頑張ろう」と慕う人間も多い一方で、集団の長としては人の悪意を考慮する能力が不足しており、少々理想主義者な面がある。
- 親方
「World's End Online」のプレイヤー。男性。職業は最上位職の「鍛冶職人(マスタースミス)」。
現実世界では大工だったが事故で全身不随となっており、ほぼ一日中ゲームをプレイしていたため、数少ないレベルカンストの一人。
豪快で細かいことを気にしない昔気質の人物。
ユウトは実の息子であり、親子でゲームをプレイしている最中に転移に巻き込まれてしまった。
- ユウト
「World's End Online」のプレイヤー。男性。職業は最上位職の「魔導師(ウォーロック)」。
暴走しがちな親方を上手くフォローしており、「どちらが親なのかわからない」とよく言われる。
- リディア
「World's End Online」のプレイヤー。女性。職業は最上位職の「鍛冶職人(マスタースミス)」。
生産能力に特化しているため、戦闘能力は低い。
小さくて可愛い女性が大好きで、そういったアバターを使うプレイヤーを着飾ることに心血を注いでおり、それが昂じてストーキング行為などのハラスメントで運営から何度も警告を食らっている常習犯。
セシリアのことを気に入っている一方で、その言動の危うさにも気が付いている。
リュミエール
ギルド「自由の翼」が拠点としている商業の盛んな都市。
鉱山を確保したことで好景気に沸いているものの、オークの襲撃に悩まされており、領地の防衛に奔走している。
- グレゴリー・ミラド・リュミエール
リュミエール地方を統治する若くして有能な領主。
前例のない様々な制度を作りながらこの街を先代以上に発展させて見せ、今では街の豪商や貴族からも一目置かれ、相談事を持ち込まれる程の信頼関係を築いた。
金貨の流通や危険なオーク討伐依頼の受注状況などより、早くから「出所不明の実力者(プレイヤー)の集団」の存在に気が付いており、自身の領地の発展のために利用しようと画策する。
用語・設定など
- 「World's End Online」
世界で初めてのVRMMORPG。基本的に自身の性別と同じキャラクター1人だけしか作成できない。
支援職が非常に育成しにくいゲームバランスとなっており、セシリアのような最上位職にまで登り詰めた支援職のプレイヤーは非常に稀。
ゲームが現実となったことで様々な要素が変化しており、ゲーム中ではなかった魔法や範囲攻撃での同士討ちが発生したり、装備制限を無視してアイテムが装備出来たりする。
またステータスについてもゲームのそれを引き継いでいるが、一方で負傷した際は現実世界のそれと同じように痛みを感じるため「雑魚モンスターの斧で頭蓋を割られても激痛を感じるし場合によっては意識を失うが死なない」といった状況が発生している。
関連タグ
ソードアート・オンライン:VRMMORPG作品の金字塔。
リアデイルの大地にて:VRMMORPGの世界へ転移する作品。
賢者の弟子を名乗る賢者:VRMMORPGの世界へ転移する作品。主人公が性転換する点も共通点がある。
オーバーロード:VRMMORPGのキャラが異世界へ転生する作品。
ラグナロクオンライン:MMORPG、職業の設定やスキルなど似通った部分の多い