概要
藤原妹紅は『東方永夜抄』等、蘇我屠自古は『東方神霊廟』等に登場する。
原作において両者の直接の接触はまだ見られないが、設定や人物像に共通点があるため、ともに描かれることがある。
共通点
来歴・能力など
妹紅は不老不死の蓬莱人であり、屠自古はすでに死者であるため死ぬことのないという、形は異なるものの不死者の二人である。
またかつては両者とも貴族・豪族の家にいた者でもある。
さらに、その能力においていずれも自然現象に類するものを操作することができ、妹紅は身につけた妖術で「炎」を操り、屠自古は「雷」を落とすことができる。
性格
その性格においては、妹紅は蓬莱人となって以降人に疎まれた経緯もあってか気の強さやぶっきらぼうな部分が現れやすいもののパーソナリティの根の部分は素直かつ親切で優しく、竹林の道案内や里の周辺の自警を行ったりする様子にはそんな彼女の心の内が見て取れる。
屠自古はガラが悪く怒りっぽいが、情に脆いとされる。
不器用ながらもその内奥には他者に共感する感性を持っているのだといえるだろう。
これらの性格は、二次創作における二人の描かれ方の一つである「ちょっと人あたりは悪くて怖いけど、実は面倒見のいい優しい人」というイメージに結びついている。
それぞれ「実はいい人なヤンキー」として描かれることがあるのは、あるいはこのあたりに由来するのかもしれない。
縁のある人物
それぞれの縁の深い人物に、かつては不倶戴天の敵であったが今日では幾分まろやかな間柄になっているという人物がいるのも共通している。
妹紅にとっては蓬莱山輝夜であり、屠自古にとっては物部布都である。
妹紅は今でも輝夜とは日々殺し合う間柄であるが、『東方儚月抄』では輝夜が月に帰ってしまうのではと心穏やかならず永遠亭に急ぎ着ては聞き耳を立て、帰らないとわかると安心して心地よく帰っていくなど、輝夜がもはやただの仇敵という存在ではなくなっていることがうかがえる。
屠自古も一族同士の込入った事情や尸解仙の術の一連の経緯からして布都とは穏やかなものではないと想像されるが、こちらも今日ではそう険悪ならず、共に豊聡耳神子に仕えている。
一方で
ただし、妹紅が妖怪退治を生業にしてきたのに対し、屠自古は布部の姦計(ただし稗田阿求の考)もあって今日では退治される側でもあるという対立的な相違点もある。
二次創作に見る元ネタからの「もことじ」
屠自古は蘇我氏縁の者であり、妹紅は藤原氏との縁が示唆されている。
それぞれの系譜に存在する蘇我入鹿、藤原鎌足(中臣鎌足)は日本史において因縁深い両者である。
妹紅は竹取物語に登場する、かぐや姫に求婚し断られた人物のモデルとなったとされる藤原不比等(659~720)の娘ではないかと想像されている。これは、妹紅の「父」が輝夜(かぐや姫)の難題である「蓬莱の玉の枝」を入手して彼女に提示したものの、偽物とされて恥をかかされた、とされているためである。
藤原不比等は藤原鎌足の二男であるため、先の設定を元にするとき、後に言う「大化の改新」において中大兄皇子(後の天智天皇)とともに蘇我入鹿(?~645)を討ち取り蘇我氏滅亡へと至らしめた藤原鎌足は妹紅からして祖父にあたる。
屠自古のスペルカードに見られる怨霊「入鹿の雷」が、滅ぼされた入鹿ら蘇我氏の怨念を表現したものであるとき、ひょっとすると妹紅もまた、直接のものではないがその縁を通してこれに関連しているのかもしれない(ただその場合妹紅本人が関わったものではないので、本人にしてみればとばっちりを受けるようなものと言えるだろう)。
妹紅は父を通じて輝夜と良きにしろ悪きにしろ強力な縁で結ばれたが、上記のような見方をするとき、家系と祖父からの縁で屠自古(またはその家系)とも結ばれているといえる。
もちろんこれらは東方Projectの公式的なものではなくキャラクター達のモデル(またはそう思われる人物)の経歴からファンが考察したものである。
しかし、神話・歴史上の多数の人物達がそれぞれの形でその姿なり影なりを垣間見られる東方Projectにあって、「もことじ」もまた、歴史ロマンを含めたそのバックボーンを想像する楽しみというものを存分に感じさせてくれるキャラクター・関係であると言えるだろう。
「妹紅 × 輝夜」のカップリングである「かぐもこ」(「てるもこ」)もそうであるが、この「もことじ」もまた、そんな古き日本の一時代を彷彿とさせる、歴史ロマン的な味わいもあるカップリングなのである。
関連イラスト
- 東方Projectのヤンキー二人
- それぞれ関係の深い人物たちと
2014年1月現在の今のところ、二人がカップリング的意味合いで仲良く描かれたものはまだ多くみられず、青春マンガ的意味合いでの「仲良し」カップリングとして描かれた作品が多い。「もことじ」の作品につけられたタグである「(#゚Д゚)(゚皿゚#)」は、その一例であるといえるだろう。