概要
日本語ではウィッカとも表記されるが、イは強く発音され、原音的にはウイッカのほうがより忠実な表記である。魔女宗とも。
古代多神教や中世を経て伝承されてきた魔女の技法を復興する、という主旨の運動であるが、儀式内容には近代西洋儀式魔術の影響が見られる。
魔女が関わるヨーロッパ多神教系のネオペイガニズム(新異教運動)はウイッカと呼ばれるが、元々はジェラルド・ガードナーが創始した「ガードナー派ウイッカ」などの一部の流派を指す言葉であった。彼らを「ウイッカ」とし自身の実践は「ウィッチクラフト」と呼んで区別する人もいれば、「ウィッチクラフト」の呼称を用いず「ウイッカ」を使う人もいる。
古代の多神教もキリスト教のような「書物の宗教」ではなかったが、西洋多神教が復興された近現代は識字率も高く、出版も盛んであったため、情報発信やメンバーの育成にテキスト・書物が大きな役割を果たした。ウイッカと呼ばれる運動の創始者たちは古代から連綿と続くカヴン(魔女団)や魔女の伝統に連なっていると主張していたが、書物で技法や思想を学んだ人々もまた自身をウイッカと呼ぶようになった。
信仰対象
ケルト神話、北欧神話、ローマ神話などの神々を信仰し、特に女神が大きな役割を果たす。女神と(ケルヌンノスのような)男神が対として扱われることも多いが、ダイアニック・ウイッカ(ディアナのウイッカ)のように男神・男性的要素が無いものも存在する。多分に現代的な価値観の元で信仰され、キリスト教根本主義者のように神話を文字通り解釈することはない。
古代神話の神々のほか、古典的著作『アラディア、あるいは魔女の福音』に登場する女神アラディアも信仰されている。