概要
アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」に登場する桜坂しずくと演劇部部長のカップリング。
同じ演劇部員同士である。
傾向としては
‥‥等、どういうわけか不穏・背徳的な展開(そしてなぜか部長が悪女になる)ばかりである。
解説
演劇部部長(ニジガク)の項目を見ればわかるように、アニメ序盤で演劇部部長が登場したのはごくわずかな場面であり、秒数にして第1話では約22秒、第2話では約7秒の合計29秒程度にすぎない。
にもかかわらず、部長は上記の“傾向”のようなイメージを持たれ、「29秒の女」の名をほしいままにしているという現状がある。
また8話の予告で部長が久々に姿を見せた時は、Twitterで「部しず」に続くサジェストに「発がん性」だの「脳」だのといった禍々しい単語が並ぶまでに至った。どうやらこのカップリングに恐怖を抱く視聴者が多いらしい。
いったいなぜ、こんなことになってしまったのか?
…理由を説明するのは難しいところだが、どうやら第2話の7秒間が視聴者に与えたインパクトが大きかったようである。
この第2話では、どうにかスクールアイドル同好会を取り戻そうと、独り悪戦苦闘するかすみの視点で物語が進む場面も多く、部長が登場したのもそんなシーンであった。
かすみとしずくの前に姿を見せた部長は「しずく、行こ?」の一言だけを発し、かすみに対してはお澄まし顔で一瞥したのみ(よく見るとわずかに会釈をしているようだが、かすみに対して申し訳無さそうな素振りは一切なく、それどころか若干ドヤ顔を浮かべている様にも見える)。
その一言で、あっさりとしずくは演劇部の稽古へ向かってしまった。
自分の居場所であった同好会を失い、残ったよすがであるしずくをも呆気なく揺るがされ、一人歯噛みをするかすみの心中に激しく共振すると同時に、鉄板のカップリングだったしずかすを事も無げに引き裂く部長に恐れおののいた視聴者も多かったはずである。上述したように「弱みを握られてる」「NTR」と解釈されたのもこのシーンからであった。
また、さらなる深読みをすれば、この約7秒間(および、そこから広がる想像)は、これまでになかった視点から、しずくの一面を切り取ることを可能にしている。
しずくは優等生キャラクターであり、品行方正で学業の成績も人柄もよく、数学と球技が苦手ということを除けば、弱点らしい弱点がないように思える。持ち曲「オードリー」につながるスクスタのストーリーでは、「スクールアイドルとして表現すべき自分らしさ」に悩んだことがあったものの、「演じることが好きであることこそが、自分らしさ」という形で解決に導かれた。
しかし、第2話の約7秒(および、そこから広がる様々な想像)を目の当たりにすれば、そんなしずくにも、舞台に立つ「女優/スクールアイドル」としてではなく、「一人の少女」としての、いわば「等身大の弱み」があることに気づかされる。それは「スクールアイドル部と演劇部のどちらも大事であり、片方を切り捨てられない」というアンビヴァレンスにほかならない。(「守るべきものが多くなれば、身動きが取りにくくなり、時に弱みとなる」ということは、自分のこととして思い当たる人も多いだろう。)
…その一瞬見える「弱み」こそが、同時に「等身大の少女」としての、――我々が(部しずを通じて)見たいと思っている――桜坂しずくの一面である。
そう、“部しず”とは、ペルソナの下に注意深く隠された、桜坂しずくのまだ見ぬ一面を描き出そうという試みにほかならないのだ。
(もっとも、暴かれるべき「まだ見ぬ一面」など、最初から存在しないのかもしれない。
そうすると、「部長が、しずくを自分の色に染め、変えてしまった」ということなのだろうか?
…それはもはや、彼女たち2人にしか――いや、もしくは彼女たち2人にも、わからないことである。)
そして当番回へ…
かくして第2話以降、部しずを知った者たちが、様々な想像を巡らせているうちに時間は流れーーついに部長が再び画面に姿を現す時がやって来た。
アニガサキ第8話、『しずく、モノクローム』ーー満を持しての、桜坂しずく“当番回”である。
だが第7話終了後、次回予告で切り出されたのは、我らが部長の何やらご機嫌斜めな表情、はたまた膝を抱え物陰でうずくまるしずく…どこからどう見ても不穏な雰囲気しかないシーンの数々に、強烈なシリアス回の到来を確信させられたしずく推したちは阿鼻叫喚となる。無論、そうなれば自分たちにも多大な影響が及ぶこと間違いなしの部しず界隈も同様であった。
されどまたも無情に時間は流れ、とうとう第8話オンエアの時を迎える。裁きの雨が降り注ぐ時がやって来たのだーー部しずを愛する者の上にも、憎む者の上にも、平等に…。
はたして、しずくを待ち受ける苦悩とは? 彼女の内に潜むものとは? そこに部長はどう関わっていき、そして何秒の女になるのか?
部しずに発がん性はあるのか? 見た者たちの脳は無事だったのか?
降りしきる雨のその向こうに、我々は晴れ渡る青空を、虹を見ることができたのだろうか、それとも…?
尽きせぬ問いの結論はーーぜひとも第8話を鑑賞し、どうか自らの目でその答えを確かめて欲しい。
“ーーしかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。
あなたがたの天の父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも、良い者の上にも太陽を昇らせ、正しい者の上にも、正しくない者の上にも雨を降らせてくださるからである。”
(マタイによる福音書・5章44、45節)
ちなみに
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