演:千波丈太郎
概要
『仮面ライダーV3』に登場する悪の組織、デストロン(ショッカー首領がゲルショッカーの次に結成した組織)の大幹部。
V3によって、作戦を次々と阻止され、日本征服の遅れを取ったデストロン首領によって、ジシャクイノシシがV3の注意を引いている間に上陸する「G作戦」によりドイツ支部から来日した。
性格は冷酷かつ尊大で、任務に失敗した者はたとえ怪人でも容赦しない非情さだが、V3や1号、2号を倒す為に味方の怪人軍団を巻き添えになる承知でタイホウバッファローの砲撃を指示するも、V3達が生き残り、味方の怪人達が全滅してしまったり、デストロンの改造人間工場の位置を示した暗号書類をデストロンハンターに盗まれた上、暗号を解読され、改造人間工場を爆破されるなど、短慮で迂闊な一面を持つ。
一見傲慢かつ冷酷な人物だが、日本皆殺し作戦が失敗し、アジトの自爆装置が作動した際、ショッカー、ゲルショッカー幹部たちに自ら責任を取ると宣言したり、V3に敗北した際、自らの敗北を潔く認めるなど、独自の騎士道精神と哲学を持った武人で、V3打倒や日本征服を目的とした様々な作戦を展開し、その作戦の元に強力な機械合成怪人を送り込んだ。
鎧と兜で身を固めた物々しい格好だがドイツ出身の蠍の毒を専門とする科学者でもあり、ナチスでも一定の地位を務めた(なお妻帯者であったが、実験中に妻をサソリの毒で失ったというエピソードもある)。ドクトルの名の通り改造人間制作技術にも長けており、デストロン怪人カメラモスキートは彼の自信作。
常に鎧、斧、盾で武装しており、また作戦において細菌戦を好む傾向がある。日本上陸時は棺の中から現れ、最終決戦前には悪魔の生霊を召喚して自らに憑依させるなど、呪術師的な面も持ち合わせる。
また、実際には使用されなかったが、腰に差している剣からは、稲妻を発する能力が有るとされる。
仮面ライダーV3との最終決戦では怪人”カニレーザー”に変身した…しかし外見は「サソリレーザー」にしか見えない(なお、千波氏自身もサソリの怪人になると思っていたらしい。かつ、視聴者や雑誌読者からの正体怪人募集でもほとんどがサソリモチーフの怪人だったという)。
最後はV3との激しい死闘の末、V3きりもみ反転キックを受け敗北し、元の姿に戻った後、自らの敗北を潔く認め、偉大なるデストロンは永久に滅びまいと言い残し、V3に最後の別れを告げて爆散した。
余談
劇中で仮面ライダーのことを、「仮面ラーイダ」と発音していたが、これは演じた千波丈太郎氏が歌舞伎の見得の切り方にヒントを得たものである(『仮面ライダーSPIRITS』12巻本人インタビューより)。
その他の作品におけるドクトルG
ショッカー戦闘員を主役とした舞台『戦闘員日記』で千波氏がオファーを受けた際も、「俺が演るなら、ドクトルGしかないだろう」ということで、”ショッカー幹部としてのドクトルG”が実現した。この作品中では部下を思いやる場面や、義侠心を見せる場面もあり、武人的な面がより強調されている。
なお、今作の宿敵は風見志郎ではなく一文字隼人であるため、「おのれ、仮面ラーイダ!」と唸った。
『仮面ライダーSPIRITS』では四国の地底に眠るバダンニウム採掘のために高知県でテロをおこして占領、市民を強制連行して奴隷のようにこき使っていた。V3が現れたのを知りカニレーザーに変身して迎え撃つが、26の技の一つ「レッドボーンリング」でレーザーを弾き返された挙句、回転に巻き込まれて木端微塵に砕け散った。残った三大幹部も仮面ライダーZXの手により全滅する。
『仮面ライダー11戦記』では、再生強化怪人を戦力とする大首領直属の組織「ガイスト」の大幹部として登場。
この作品では上述の尊大な性格が強調されており、「冥途の土産」として南光太郎に大首領の復活を教えた後に逃亡されたり、本郷猛抹殺のためにネオキングダークを導入した挙句に戦力を失ったりなどの失態を続け、カニレーザーに変身する間もなく大首領に処刑された。
『スーパーヒーロー大戦』でも同名のキャラクターが大ショッカー副首領として登場したが、その正体は鳴滝であった。