概要
「がっこうぐらし!」は、『まんがタイムきららフォワード』にて2012年より連載中の漫画作品。
ゆき、くるみ、りーさん、みーくんの4人を中心にストーリーが展開していく。
単行本第1巻~5巻が高校編で、第6巻以降は大学編となっている。
2015年にはTVアニメ化され、その内容から大きな反響を呼んだ。
ストーリー
最近、学校が好きだ。
そう言うと変だって言われそう。
でも考えてみてほしい。学校ってすごいよ。
物理実験室は変な機械がいっぱい。
音楽室。綺麗な楽器と怖い肖像画。
放送室。学校中がステージ。
何でもあってまるで一つの国みたい。こんな変な建物、ほかにない。
中でも私が好きなのは……。
(「がっこうぐらし!」1巻および5巻より)
学園生活部、それは学園の施設を借りて学園で食事を作り学園で寝泊りする部活。
つらいことも苦しいこともいっぱいある、そんな学園で暮らす少女達のかけがえのない「日常」を描いた物語。
登場人物
本名は本編中にはあまり登場せず基本的に通称で呼ばれる。
本名/通称で表記。
学園生活部
学園で楽しく生活している部活。
いつも笑顔なムードメーカー。
シャベルを使っての汚れ役。
部長。料理や家計簿をつける。
後輩。クールで要領がいい。
顧問。影が薄いけど部のみんなが大好き。ミニクーパーを愛車とする。
ペットの子犬。アニメ版で出番増加。
その他の人々
みーくんの友達。しっかり者。
めぐねえの先輩の先生。主にアニメ版で登場。
ゆきのクラスメイト。チョーカーをつけていて化粧が濃い。
学園生活部を作ってからの学園生活ではゆきに親しくしてくれているが……。
- 女子生徒たち
ゆきのクラスメイト達。
- 先輩
くるみが好きだった陸上部の男子先輩。
- リーダー
原作においてショッピングモールでみーくんと圭が出会った頼りになる男性。
- アルノー・鳩錦(原作)/アルノー・鳩錦二世(アニメ)
伝書鳩。名前の元ネタはシートン動物記の伝書鳩アルノーだと原作者が匂わせている
原作ではみーくん入部前に捕獲された。アニメでは何故か「二世」になっている。
- グーマちゃん
めぐねえとゆきが好きだったヒゲのついたクマのぬいぐるみ。
アニメではモールへの遠足で入手したという由来が追加された。
卒業後の登場人物
卒業旅行で出会った人々
- 巡ヶ丘ワンワンワン放送局のお姉さん
原作の6巻でめぐねえの車に乗ってた時にラジオを流していたお姉さん。
卒業旅行中の学園生活部の面々に便利なものを色々譲ってくれた。
滑川小学校の生徒。学園生活部と合流するが……。
聖イシドロス大学
自堕落同好会
- 出口桐子(でぐち とうこ)/トーコ
聖イシドロス大学の「自堕落同好会」の代表。眼鏡っ子でボクっ子。24時間耐久のゲーム会や映画鑑賞など楽しいことを企画していた。
- 光里晶(ひかりざと あき)/アキ
「自堕落同好会」の一人。開放的な外見。
- 喜来比嘉子(きらい ひかこ)/ヒカ
「自堕落同好会」の一人。黒髪で大人しい。工作や修理などが得意。
その他の大学生
- リセ
アキの友人。学内図書館の"ヌシ"。図書館にあるすべての本を読み切るのが夢。
- 武闘派集団
聖イシドロス大学を厳しいルールで仕切っている学生たち。桐子曰く「悪い奴らではない」とのことだが……。
- 青襲椎子
情報生化学部の人物。原作では6巻巻末ノートが初出であり、未だ本編には顔を出していない。
その他の用語
- 私立巡ヶ丘学院高等学校
「学生の自主独立」を校風としているため、施設が充実している(めぐねえ曰く「充実し過ぎている」)のが特徴。
太陽光、水力を併用した高度な発電設備、地下水を利用した浄水設備、充実した購買部、学食などの設備、更には菜園まであり、校内の設備だけでもある程度の自給自足が可能。
学園生活部が成立しているのも偏にこの学校の充実した設備のお陰であると言える。
巡ヶ丘市一帯の大地主でもある企業。製薬業でありながらショッピングモール等様々な方面に経営の手を伸ばしており、当作の舞台となる巡ヶ丘学院高等学校や上記聖イシドロス大学もランダル・コーポレーションが出資している教育機関である。
余談だが同名の医療福祉用具の製造販売やレンタルを行う実在の企業がある(もちろん当作とは無関係)。
テレビアニメ
2015年夏アニメとして7月からTOKYOMX・サンテレビ・AT-XおよびBS11で放送される。制作はLerche。
同クールにはいわゆる「きららアニメ」が合計3本も放送されている(残りは『城下町のダンデライオン』と『わかば*ガール』)…どうした芳文社。
監督は安藤正臣、シリーズ構成は原作者の海法が自ら務める。キャラクターデザインは飯塚晴子。
オープニングテーマ
「ふ・れ・ん・ど・し・た・い」
- 歌 - 学園生活部(丈槍由紀(CV.水瀬いのり)、恵飛須沢胡桃(CV.小澤亜李)、若狭悠里(CV.M・A・O)、直樹美紀(CV.高橋李依))
- 作詞 - くまのきよみ / 作曲 - 藤本貴則 / 編曲 - 佐々木裕
エンディングテーマ
「ハーモナイズ・クローバー」(1~3,5話)
- 歌・作詞 - 黒崎真音
- 作曲 - 黒須克彦 / 編曲 - 黒須克彦、長田直之
「We took each other's hand」(4話)
- 歌 - 澤田かおり
- 作詞・作曲・編曲 - 中塚武
「アフターグロウ」(6話~)
- 歌・作詞 - 黒崎真音
- 作曲・編曲 fu_mou
関連イラスト
関連動画
余談
本アニメのEDテーマを担当した黒崎嬢は別の作品においてもEDテーマを担当したが、その時は毎回ごとに曲が異なっており、放送終了時にはCDアルバム1枚分の曲になっていた。それに比べれば本作は1~2曲と比較的楽な方である。
関連タグ
評価タグ
がっこうぐらし!100users入り→がっこうぐらし!500users入り→がっこうぐらし!1000users入り
カップリング
外部リンク
ネタバレ注意
いろんなことがあったよね。
みんながいて、みーくんと出会って。
つらいこともあったけど、みんな一緒に乗り越えた。
だから、毎日がとても楽しい。うん、すごく楽しい。
ああ、でも楽しい時間って。
どうしてこんなに短いんだろう――。
本作は実際には“学校の外ではゾンビ化した人間が蔓延り、主人公達は学校内に立てこもってサバイバル生活を送っている”という非常に殺伐とした世界観の作品である。
第1話で描かれた由紀達の学園生活、そして胡桃・悠里(アニメでは最初から合流している美紀も)以外の他の生徒や教師達は全て彼女自身が生み出した妄想であり、学校暮らしというのも別に好きで学校に寝泊まりしているわけではなく、もはや学校以外に生活できる場がないだけに過ぎないという極めて悲惨で重苦しい設定になっている。
ただし、本作では普通ゾンビ物の主題となる事が多い「パニック物」「ホラー物」としての要素は薄く、むしろ「終わってしまった世界の中で日々を生きる少女達の生活」そして「そんな日々の中にもまだ残っているささやかな幸福や夢」といったものを中心に描いているため(いささか風変わりで、少々悪趣味ではあっても)、本作の「日常系」という肩書はあながち詐欺でもないとも言える。
真・用語集
- 私立巡ヶ丘学院高等学校
この学校が上記のように充実した設備を持っていたのには理由がある。
非常時においてランダル・コーポレーション関係者の避難所として利用されるべく設計されていたのである。校舎の地下二階には外部に公開されていない地下区画があり、その内部には生物災害に備えた設備が建造され、長期間の籠城に耐える物資と後述の生物兵器の為の治療薬が保存されていた。
巡ヶ丘学院以外にも聖イシドロス大学にも同様の設備があり、更に個人邸宅に偽装(?)されていた設備も存在している。
なお、職員用避難マニュアルによると、地下室の想定されていた利用者数は僅か15名。少なくとも数百名は居たであろう生徒は最初から計算外であった事は言うまでもない。同マニュアルには「武力衝突」にも言及されており、避難者があぶれた場合は殺してでも生き延びるよう示唆している。
- 「かれら」
謎の感染症により、理性を失って暴徒と化した人々。ホラー映画のゾンビのように描写されており、実際に原作者の海法はこれらを「ゾンビ」であると説明している。劇中では単に「あれ」「あいつら」「かれら」と呼ばれ、登場人物が「ゾンビ」の単語を使ったことはない。
本作におけるゾンビには「噛まれることで感染し、感染した人間もゾンビ化する」、「音や光に反応して引き寄せられる習性がある」、「動きは鈍く、階段を上がるのは苦手」、「よく燃える」といった設定がされている。
りーさんによる推測だが「生前の習慣や強い思い入れ」に沿って動く習性がある。実際に、下校放送を装った放送(原作ではりーさん、アニメではゆきによる)を聞いた、生徒の「かれら」が学校から帰って行く場面がある。哺乳類には感染する反面、鳥類には感染しない(中間宿主になっている可能性は否定されていない)。
また、ゾンビ化した人間の視点からの自意識の混濁から一時的な回復、そして消失も描かれている。
劇中に登場するランダル社が製作した「職員用緊急避難マニュアル」によると
・感染力が高く潜伏期間が数日間。死亡率が低い代わりに患者の抵抗力を奪っていく細菌「α系列」
・感染力が弱く潜伏期間が数時間。死亡率が非常に高いウイルス「β系列」
・詳細不明の「Ω系列」
の三種の生物兵器を開発していた旨が記載されており、そのいずれか、あるいは三種全てが漏出した事が事件の原因ではないかと思われている。
アニメ化に際しての反響
アニメで再構成された1話はほぼ全編がゆきの妄想世界の描写に費やされているが、再度見返せば、校舎内に存在する机のバリケードや、授業時間に授業に出ないメインキャラクター達、学校で寝泊まりするという目的自体が異常な部活動内容などから、ただの日常系アニメでない事を察することができるという二重構造になっており、この1編だけでも一つの作品として成立すると言われるほど評価が高い。
アニメ公式サイトは本放送開始まではまったく日常系アニメとしか考えられない体裁をとっているという『魔法少女まどか☆マギカ』と同じ手法が取られた。そのためニコニコ動画の公式放送ではごく普通の日常系アニメだと思って見ていた視聴者の大半がラストのどんでん返しに驚愕することとなり、一部では同期に放送されていた別のアニメに引っ掛けた別称で呼ばれるようになってしまった。
またOPのふ・れ・ん・ど・し・た・いが友人死体だと言われてしまったり盛大なOP詐欺だと言われたり……誰が言ったのか萌え豚トラップ。
なお、放送開始後の2015年7月10日より新たな「キービジュアル(壊)」として「校舎が半壊して、四人の着衣に軽いダメージが加わっている」イラストが公開。アニメ公式サイトを見る時間帯が深夜の時(PCの時計に依存)にトップページのイラストがこれに変わり、サイト自体の雰囲気や登場人物紹介ページ等もガラリと変化するという凝った仕様になっている。
ただし、原作は連載開始時からサバイバル物である事を全面に出しており、特に上記のような宣伝戦略は取っていない。
…また、AT-XではWebサイトの新番組案内で(上記とは別の)校舎や黒板が半壊しているカットを2カ月以上も前から公開してしていたため、AT-X視聴者には「ただの日常系じゃないな……」と想像させてしまってもいた。
他にもアニメの公式twitterでは最初からゾンビ物である事を証しており、原作者の海法氏も度々原作の内容に言及している。
…要はアンテナを伸ばしてさえいれば本作の内容について知ることは容易であった。上記の宣伝手法が想像以上の効果を発揮した事で、本作が注目される結果になったのは事実ではあるが、それは反面アニメ放映以前の本作の注目度の低さの裏返しとも言えてしまうため、この件を話題に出す際は適度に空気を読む事を推奨する。
つまずく日はある。ころぶ日もある。泣きたい日もある。
いっぱい泣いて。いっぱい寝て。いっぱい食べて。
もう一度立てばいい。
いつかこの息が止まる その日まで――