概要
1963年から1966年まで集英社の『少年ブック』(後に月刊少年ジャンプに合併吸収される)に連載された手塚治虫の漫画作品。64年には東京ムービー(現・トムス・エンタテインメント)でアニメ化もされた。「弾なんか跳ね返せ、ジェット機だって手掴みだ」というめっちゃわかりやすい歌詞のOPでも有名。
基本は反戦をテーマにしたSFアクション漫画なのだが、本作のめんどくさい所は、ヒーローの名前とそのアイテムの名前が同じという点である。例えるならモロボシ・ダンが「ウルトラアイ」、本郷猛が「ベルト」という名前のヒーローに変身するようなものだ。
これはもともと、ビッグX(薬品)をつけ狙うナチス同盟に対し、主人公が「ビッグX(の力を手にした僕)が相手だ」と発言したのがその始まりであり、以降登場するヒーローの名前も「ビッグX」になったのである。
あらすじ
ナチス総統のアドルフ・ヒトラーは、兵士を巨大な体と鋼鉄の皮膚を持った巨人に改造すべく、日本人学者の朝雲博士とドイツ人学者のエンゲル博士に薬品「ビッグX」の開発を命じた。しかしいざ完成させた両博士はこれが世に出ることを恐れ、ビッグXの製法を朝雲博士の息子・しげるの体内にカードにして埋め込み、ビッグXを封印した。
やがて終戦を迎え、エンゲル博士の孫であるハンス・エンゲル率いるネオナチ系秘密結社「ナチス同盟」は、全世界を支配すべくビッグXの製法を宿したしげるをつけ狙い、その命を奪ってしまう。しげるの息子・朝雲昭は、父の敵を討ち、かつて世界を震撼させた逆卍を叩き潰すべくビッグXを服用。鋼鉄の巨人となり、ハンスたちに戦いを挑む!
ビッグX(薬品)
その名の通り、服用した生物の体細胞を鋼鉄以上に頑丈に作り替え、さらに何倍にも巨大化させる悪魔の薬。
花丸博士(しげるの友人で昭の恩師)はシャープ(万年筆)に偽装した注射器にこれを装填し、目盛によって薬の注入量を変化させた。以下は目盛をその数字に合わせるとどうなるか、という指標。
後に昭が改造し、経口摂取型に切り替えた。
ビッグXを注入された生物は宇宙空間や水中でも活動が可能になるため、昭や恩師の花丸博士は宇宙探索用に平和利用しようと考えていた。
ただし注入されて3時間で元の肉体に戻ってしまうため、巨大化した状態で物を食べたりすると胃の中で膨れ上がってパンクして死んでしまう。実際、作中でもビッグXを注入され八岐大蛇みたいなサイズになった蛇が戦車を呑みこんでしまい、元のサイズに戻った時に体が爆裂して無残な死を遂げている。
登場人物
・ニーナ・ベルトン (CV.白石冬美)
・花丸博士 (CV.永井一郎)
・ハンス・エンゲル (CV.山本圭子)