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トーネードの編集履歴

2015-11-10 18:43:31 バージョン

トーネード

とーねーど

イギリス、ドイツ、イタリアが共同で開発した全天候型多用途攻撃機(マルチロール機)である。可変翼を採用しているが、その割には小型なのが特徴。あらゆる任務に対応する機であり、多くの派生型がある。現在はユーロファイター・タイフーンに交代されつつある。

ちなみに、アメリカでもB-47までの「つなぎ」としてノースアメリカンB-45「トルネード(トーネード)」を採用した。


国際共同開発機

1960年代後半、イギリス西ドイツベルギーオランダイタリアカナダの各国では、主力戦闘機であるF-104の後継機を選定する時期になっていた。


これを受けて1968年1月、次世代機の共同開発計画である『MRCA開発計画(Multi Role Combat Aircraft)』が立ち上がった。

この計画はブリティッシュ・エアクラフト社(イギリス)、

メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム(ドイツ)、

フィアット(イタリア)、

フォッカー(オランダ)の各社は『パナビア・エアクラフト』を合同で設立。

開発計画は本格的な始動を迎えるのであった。


・・・と、ここでオランダベルギーカナダが資金難を理由に計画から離脱。カナダF/A-18を、オランダベルギーF-16をそれぞれ採用する事になるのである。


かくして開発は4か国で継続することになり、

作業は主にイギリス西ドイツが担当して、

残りをイタリアが進めていった。


ここで開発されるのが『トーネードIDS(InterDictor-Strike:阻止攻撃型)』で、

のちの各型にも発展する基本型である。


トーネードの特徴

一番の特徴は可変翼を採用する割には小型なことで、

戦闘機の価格は大きさに比例するという法則に基づくものである。


胴体の断面も四角に近くしてあり、これは電子機器を詰め込みやすくするためである。

当初から採用国の都合に合わせ、違った電子機器を搭載する事が想定されていたのだ。

(実際、イギリス防空戦闘機も欲しがっていた)


計画は60年代、開発が70年代なので可変翼を採用している。これは当時最新の考え方で、離着陸のしやすさと飛行性能の高さを両立するためである。基本的には対地攻撃が想定されており、離着陸時や低空では主翼を前進させて操縦し易くする、という使い分けがされていた。


着陸滑走距離を短く抑えるためにスラストリバーサも装備している。これは車輪のブレーキと連動ており、したがって飛行中は動作しない。間違って着陸侵入中に作動させたら即座に失速し、墜落してしまうからである。


流行っただけの可変翼

1960年代~1970年代は可変翼(VG翼)が流行であり、同時期開発の戦闘機にはF-14F-111MiG-23Su-24等がある。ミラージュG-4もあるが、こちらは開発中止となった。


可変翼には可変機構の問題・可変前後で変化する空力の問題などがあるので、

以降は設計に困難があり、かつ費用もかさむ可変翼は流行らなくなったのだった。


イギリスの思惑

新型の戦闘爆撃機としてだけでなく、実はF-4BACライトニングのような迎撃戦闘機の後継にする思惑もあった。この決定は開発パートナーである西ドイツイタリアの反発を生み、機体の要求仕様にも根ざす問題となった。

(身軽な単座か、作業を分担できる複座か等)


結局はIDSを基にイギリスが独自の型を開発することになり、『トーネードADV(Air Defence Variant:防空型)』として完成することになった。独自仕様として、高性能のレーダーと中射程の対空ミサイルを装備している。


相違点としては胴体が延長され、燃料搭載量が増えている。

またレーダーが対空用のものに換装されたため、機首がすらりと長いのも特徴。


初期型のトーネードF.2と本格生産型のトーネードF.3があり、イギリスの他にイタリアサウジアラビアでも運用された。のちにAIM-120AMRAAMにも対応、主翼後退角の自動制御も可能になり、さらに対レーダーミサイルを装備して防空網制圧にも使える、トーネードEF.3にも発展している。


イギリスの現在

イギリスでは2011年3月に最後の飛行隊が解散し、退役している。

後継機はタイフーンだが、資金難により調達は困難が継続中。

先のF-Xで提案された機はイギリスが引き取れなくなった機体がそのまま提案された。


イタリアの現在

イタリアでは旧式化したF-104タイフーンの繋ぎとして、イギリスから機体をリースして運用していた。しかしリースの期限切れにタイフーンの配備が間に合わず、さらなる繋ぎとしてF-16をリースして運用している。


サウジアラビアでは現役のようだ。


トーネードIDS

ドイツ空軍海軍イギリス空軍イタリア空軍サウジアラビア空軍が採用した基本型。NATOで使っている航空機用兵装の殆どを運用できる。ADVに比べると機首が短いのが特徴。


ドイツ海軍航空隊の機は海上哨戒・攻撃用に使われており、

コルモラン対艦ミサイルを4発装備できる。

ただし冷戦終結を機に、ドイツ海軍のトーネード飛行隊は解隊されたため、現在これらの機体は空軍で運用されている。


湾岸戦争ではイラクの飛行場攻撃など、比較的低高度での作戦が多かったので損害は多い方だった。

F/A-18AV-8B程ではないが)


トーネードGR.1

IDSのイギリス仕様。独自装備にはレーザー測距・照準装置を搭載している点が挙げられる。


「GR」とは攻撃・偵察型という意味で、実際に偵察カメラを標準装備している。

(主に爆撃効果判定に使う簡単なもの)

もちろん、偵察ポッドを装備すれば本格的な偵察機にも早変わりする事も。


のちにECRのように対レーダーミサイルを搭載できるよう、改修を受けた。


トーネードGR.1A

機銃を1門降ろし、替わりに偵察装備を増強した。

赤外線偵察装置や赤外線探査機が追加されている。


トーネードGR.1B

対艦攻撃に備え、各種装備を追加した機。

しかし肝心の『シーイーグル対艦ミサイル』が退役し、後述のGR.4/GR.4Aに改修された。


トーネードGR.4/GR.4A

トーネードGR.1/GR.1Aの近代化型。

電子機器が入れ替えられ、

GPS対応や夜間暗視装置(FLIR)の追加、新型HUDの採用などが特徴。

また、米国製対戦車ミサイルヘルファイアを多目的ミサイルに改良したブライムストーンの搭載が可能となっている。


トーネードECR

ドイツ空軍の電子戦闘偵察型。

同様の機はイタリアでも採用されている。


搭載していた機銃(27㎜マウザー砲)を降ろし、代わりに電子機器を増設している。

敵の防空網を制圧する「SEAD機(防空網制圧機)」へと改修されているのだ。

レーダージャマーなど電子妨害機器や、対レーダーミサイルで身を固めている。


トーネードADV

前述したイギリスの独自開発機。F.2とF.3が相当し、対空用の高性能レーダーを装備している。胴体も延長して燃料搭載量を増やしており、航続距離も伸びた。


AIM-7から発展したイギリス独自の中距離ミサイル『スカイフラッシュ』を4発搭載でき、加えてAIM-9も4発搭載することが出来る。本来は防空戦闘機であり、格闘戦はあまり得意ではないようだ。


余談だが、我が国の航空自衛隊第2次FS-Xにおいて、本機に『シーイーグル対艦ミサイル』4発を搭載可能にした対日モデルがBAEより提案されたが、ご存知のように米国製F-16をベースとした三菱F-2A/Bが採用されている。


トーネード大佐

ファントムデッドオアアライブに登場するトーネードF.3乗り。

空戦では『スラストリバーサを使って急減速する』という芸当を見せるが、これまた前述の通り、非常に危険な行為である。航空機には、「対気速度」というものが非常に重要である。速度によって主翼が揚力を発生し、機体を空中に浮かせるからである。


急減速するという事は、つまり航空機から落下する金属隗へ変化するという事であり、こうなるともはや操縦するどころでは無くなってしまう。空戦中に速度を失うことは、飛行の自由度を失う事にも等しいのだ。航空機を操縦する際、速度を失う事には特に敏感になってほしい。


関連タグ

前任機

BACライトニング

F-104


後継機

ユーロファイタータイフーン

F-16

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