説明
『魔法つかいプリキュア!』第29話でモフルンがシンデレラの世界に入ってシンデレラになるというエピソード。
なおこの回では擬人化ではなく、本来のぬいぐるみ姿でシンデレラになっていた。なお周囲は何の疑問も抱いていない。
このモフデレラはモフルンやプリキュア達とも夢の内容を共有していたが、モフルンだけはその世界の登場人物として活躍していた、つまり魔法つかいやネズミになったプリキュア達のことや、意地悪な家族達が元敵幹部であることを把握していなかったのである。
そしてそのカオスな内容は……まほプリ第29話ショックを参照のこと。
ラストには魔法使いになるなど実際のシンデレラのストーリーとは違った展開になっている。
登場人物
- モフデレラ
本作品の主人公、名前の通り演じ手はモフルン。意地悪な継母や姉達に意地悪されていたが、見かねたリコ達の魔法でドレスとガラスの靴を履き、冷凍みかんの馬車に乗ってお城へ。本来のモフルン同様、献身的で健気な性格。最後はガラスの靴の力によって魔法つかいとなる。
- 魔法使い
演じるのはリコ。お婆さんの格好だが中身の見た目はいつも通り。本編同様魔法があと一歩上手くいかない。なお、相棒のみらいのことをお姫様抱っこするシーンが話題を呼んだ。
- ネズミ
演じるのは朝日奈みらいと花海ことは。ネズミなのに魔法が使える。なお、馬車にはならない。みらいは変身時だけ巨大化した。
- 意地悪な姉
演じるのはバッティ(プリキュア)とスパルダ。バッドエンド王国のメンバーはプリキュアを陥れるためにこの役に成り済ましたが、この作品では普通にその世界の登場人物である。そのため特殊な能力などは使わない。なお、バッティはほとんどオカマ同然である。
- 意地悪な継母
演じるのはガメッツ。こちらもオカマ同然。「舞踏会」を「武道会」と勘違いして「戦いに行く」と意気込んだり、王子に対してちょっと古いアプローチをしたり、元のガメッツの面影が特にない。モフデレラにはずっと意地悪をしていた。悪い魔法つかいの魔法で巨大化したが、プリキュアによって浄化され改心。なお、亀なのに泳げない。
- 悪い魔法つかい
人間界のシンデレラには存在しないはずの役。演者はヤモー。対象を怪物にする能力を持つが、冷凍みかんに跳ね返されて継母にあたってしまった。
- 王子
演じるのは校長。金髪になって名実ともに若いはず…なのだが一人称などの口調がそのまま。
- パーティー参加者
演じるのは補習メイト。パーティーに参加し、王子とダンスしようとするも、悪役軍団に押しのけられてほとんど出番がなかった。
諸々の話
プリキュアとシンデレラ
過去のプリキュアシリーズでシンデレラを題材にしたストーリーには、
- 『Yes!プリキュア5』第38話:この回ではミルクが人間界を勉強するために小説を書こうと思い、シンデレラの物語を書き写すうちに物語を改編したことが発端となっており、のぞみがシンデレラ、こまちが継母にりんとかれんが姉、うららが魔法使い、ココが王子という物だったが、そこにブンビーが現れて……
- 『スマイルプリキュア!』第39話:この回の演出はまほプリSDの三塚雅人が担当しており、「はじまりのシンデレラ」の本の中の世界に入り込んでシンデレラとなったみゆきを始め、プリキュア&3幹部たちが色々巻き起こすことになる……がれいか王子やら魔法使いやよいやらケモNISSANやら飛び出すことに。
と、どちらもかなりのカオス回となっている。
で、これだけに留まらず、スマプリの映画『絵本の中はみんなチグハグ!』では絵本の世界に入り込んだみゆきがシンデレラになったり(その後ニコに寄って物語がミックスされた状態になってしまう)、『Go!プリンセスプリキュア』第37話では学校での劇として、きららとトワのクラスがシンデレラを演じている(トワがシンデレラ役、きららが魔法使い役)。
ということで、シリーズを通して物語の題材としてはシンデレラはかなりの頻度で出ていることになる。
魔法界の童話の存在
物語の末にモフデレラが魔法使いになるという物語改編というのは、スマプリの時でもやったことなのだが、今回は少々事情が異なる。
今回の発端となったのが魔法学校の図書館にあった絵本なのだが、魔法界の童話ではナシマホウ界(人間界)と物語が異なっている。
「シンデレラ」自体も魔法使いが主人公に据えられ、シンデレラを助けるために活躍するという話になっているほか、「ピーターパン」もティンカーベルが勇気ある魔法使いになっており、「花咲かじいさん」に至ってはおじいさんが魔法使いとなってさくらを咲かせるという物語となっている。
みゆきやゆいがこれを知ったらどんな反応をするか?はともかくとして、人間界と魔法界でここまで物語が異なるのは興味深いだろう。逆に言えば、なぜ物語が異なるのにベースが同じ作品が2つの世界で存在するのか、そういった疑問も起きるのではないだろうか。
今回の演出と脚本は
今回演出を担当した土田豊氏は直近では『プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』の監督を手がけているが、元々はギャグ演出に定評がある演出家である。中でもスマプリにおいては第13話(大凶顔)、第20話(ミエナクナ~ル、ふたりはステルスプリキュア)、第29話(ゲームバトルからの夏休みの宿題忘れてどん底状態)など、ギャグ面での傑作回を手がけ、『マリー&ガリー』でもかなりの頻度で演出を担当している。田中裕太氏も今回の話を見て「やっぱり土田さんは頭がおかしいと思いました(超リスペクト)」と絶賛していた。
一方、脚本の坪田文氏はまほプリでプリキュアシリーズ脚本初参加だが、『プリティーリズム』シリーズや『リルリルフェアリル』を脚本を担当していたこともあり、それで察する人も多かった模様である。
カオス回と裏腹に
次回予告の時点で内藤圭佑プロデューサーは「実はとっても重要な回だったりもします」と意味深なつぶやきをしていた。
そしてふたを開けてみると、最後にモフデレラが魔法を放った時に現れた謎の馬車……それは既に後期オープニングで登場していた謎のアイテムだったのである。直ちに「財団Bはここで販促か!?」とツッコミが飛ぶが、校長王子が「レインボーキャリッジ」と名付けたこの大型アイテム、夢から覚めると机にあったことから、今後のキーアイテムとしてクローズアップされることになるだろう。
また、同時に今回の物語改編はリンクルスマホンが勝手に作動して、夢をいじくる形で書き換えてしまっている。これまでもことはが魔法を使う際にスマホンが動作した描写があるため、ことはとスマホン、そして魔法の関連性をうかがわせるエピソードであったとも言えるだろう。
その他に
- 王子との舞踏会と言う事で、王宮の場面では『Go!プリンセスプリキュア』のBGMが多数使われているが、その他に王子とモフデレラのダンスではハピネスチャージの映画版『人形の国のバレリーナ』で用いられたヨハン・シュトラウス2世の「ウィーン気質」(サントラ上では「ドール城の舞踏会」と表記)がそのまま流用されている。さすがにリコとつむぎの中の人が同じだから、ということではなく、実はこの流用は前年映画『パンプキン王国のたからもの』でみなみがバレエを踊ったシーンに続いて2度目の使用である。
- その王子とモフデレラのダンスシーン。よくよく見ると舞踏会の客の中に勝木かなが紛れ込んでいる。魔法界の面々の中で何で彼女が紛れ込んでいたのか、彼女はこの光景をどういう気持ちで見ていたのが、気になるところかもしれない。