概要
デトロイト(Detroit)は、北部の五大湖(スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖)に囲まれた地域に存在する人口70万人(2012年)の都市であり、川を隔てカナダと接している。
自動車産業により発展したモーター・シティ(MC)として有名であるが、現在は自動車産業の衰退で都市の中心部が廃墟と化している。
歴史
この地は1610年、フランス人の探検家によって探訪された。そして1701年7月24日に毛皮商人のアントワン・キャデラック(その名は2世紀後、GMの高級車ブランド・キャデラックに使われる)により市として創立された。
「デトロイト」の名称はヒューロン湖からセントクレアー湖を介し、エリー湖までつなぐ海峡(フランス語でデトロワ)のようなデトロイト川に沿って位置することに由来するもので、1760年にフランスより占領したイギリス軍によって名付けられた。
アメリカ独立戦争ののち、アメリカ合衆国の領土となる。1805年の大火災の後の都市計画が現在のデトロイトの礎となった。19世紀には水運により栄えたが、次第に陸上輸送に使う馬車や自転車などの産業が盛んになった。
1899年に自動車産業が興り、1903年にヘンリー・フォードがデトロイト市に大規模な量産工場を建設したことにより他の自動車産業も集まり、アメリカ自動車産業のビッグ3(クライスラー、ゼネラルモーターズ)もこの地に工場などを移転した。
全盛期には180万人もの人口を抱え、その半分が自動車産業に従事するという大都市となった。
しかし、1967年のデトロイト暴動などにより治安が悪化し、都心部から郊外へ富裕層の人口流出が発生。1970年代には日本から輸入される安価な自動車に押されて自動車産業が打撃を受け失業率が増大。中心街は浮浪者だらけとなり、税収も悪化した。1980年代の中心街の荒れ方は尋常ではなかったとされる。
1990年代以降、荒廃を重く見たデトロイト市政府は都市再生や映画産業への転換等を試みたが、一部地域に効果があっただけで市全体に波及することはなかった。
2013年、デトロイト市は財政破綻した。財政破綻しても「住めなくなる」わけではないものの、公共施設やサービスが著しく制限されることになる(日本でも夕張市の事例あり)。人手不足のため、警察が通報を受けて現場に到着する平均時間は58分。
現在でも治安の悪さは全米で2位である。ちなみに1位はデトロイト市の衛星都市のフリント市(GM創業の地)である。子供の6割が貧困生活を送り、市民の5割が文盲、失業率18%など今後の課題は多い。
設備等
この都市には市内を新交通システムが走っている。また、バスに関しては市バスのほかに近隣地域を行き来するバスも市営で運営している。
鉄道はアムトラックのシカゴ-バトルクリーク-ポンティアック(デトロイトの北にある都市、GMが製造していた自動車の名称からとられた)間の路線が存在(ミシガン・セントラル駅はこの路線の昔の駅)する。過去においてはポンティアック-デトロイト間の通勤路線が1983年まで存在した。
空港に関してはデトロイトシティ空港が過去に存在した(現在コールマン A. ヤング市営空港として、小型機専用で商用旅客は取り扱っていない)が、現在ではデトロイト・メトロポリタン国際空港がその役割を担っており、ほかにウイロウ・ラン空港が存在する。
また、6本の州間高速道路が交わっているとされる。
文化など
この都市はアメリカの4大スポーツ、すなわちアメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー、野球のプロ球団が存在する(デトロイト・ライオンズ、デトロイト・ピストンズ、デトロイト・レッドウィングス、デトロイト・タイガース、ただしピストンズは郊外が本拠地)。また、オーケストラ(デトロイト交響楽団)も存在し、報道、すなわち新聞やラジオやテレビなども充実しているとされる。
創作の場所として
創作においてはこの都市の(荒廃した)中心部がよく用いられている。もっとも有名な事例としてロボコップがある。
そういえばスーパーファミコンのシムシティだとこの街を題材としたシナリオがあった(たしか「犯罪対策」という一番難しい、というか面倒くさい題材で難敵だった気がする)。
pixivのタグ
タグとしては、かなりの数がデトロイト・メタル・シティの空白区切りのものだったりする。
また、デトロイト・タイガースや、廃墟の図も存在する。
関連項目
ビッグ3 アメリカ合衆国の地名の一覧 デトロイト・タイガース
ロボコップ デトロイト・メタル・シティ デトロイトのエミヤ 廃墟