概要
1961年から特急列車として使用していたキハ80系が北海道の雪と寒さに耐えられなくなってきたため、これらを置き換えるために1979年から製造された。
置き換え後はスピードアップに重点が置かれ、何度かモデルチェンジが行われながらJR北海道になった後も製造が行われた。
登場から20年ほどたった現在では初期車を中心に廃車が進んでいる。
なお、JR九州も本形式を保有している。
JR北海道車の番台区分
900番台
1979年に製造された試作車。
形態的には後述する0番台とあまり変わらないが、当初は一部の窓が開閉式だった。
0番台
1981年から製造された量産車。先頭車はスラントノーズといわれる非貫通の高運転台となっている。
現在の定期運用は札幌⇔旭川⇔網走を走る特急「オホーツク」、「大雪」のみとなっている。
そのほか、臨時列車兼予備車の「旭山動物園号」にも用いられている。なお、同列車に使用されているキハ183-3、4は現在唯一残存する0番台の先頭車である。
しかし、その旭山動物園号も2017年に引退が決定してしまい、0番台の全廃は時間の問題となっている。
キハ183形100番台
特急列車の短編成化によって余剰となったキハ184形を先頭車改造した車両。
こちらは貫通型となっているが、ライトの配置は0番台に準じている。
通称「ボウズ」(国鉄色は「キン肉マン」とも)。
4両が誕生したが、現在は「白ボウズ」と呼ばれている104のみが残っていたが、2017年3月のダイヤ改正で廃車になった。
200番台
特急「オホーツク」および「スーパーとかち」において、編成の出力を向上させるために0番台の駆動系の強化を行った車両。
500番台・1500番台(N183系)
最高速度を120km/hに向上させたフルモデルチェンジ車(0番台は110km/h)。
外観が大きく変わり、先頭車は貫通構造になった。また、塗装も大きく変わり、オレンジと赤を基調としたデザインとなり、のちに0番台なども同色に変更されている。
400番台
団体列車用に500番台のエンジンをデチューンした車両。
550番台・1550番台(NN183系)
JR北海道が製造した500番台のマイナーチェンジ車。
130km/hに対応した準備工事が行われている。
2550番台・3550番台・4550番台
550番台を改造して、最高速度を130km/hとした車両。
札幌⇔函館を結ぶ特急「北斗」専用として運用されている。
4550番台は予備車確保のため、120km/h・130km/h両方に対応できるよう改造された車両。先頭車のみ存在。
7550番台・8550番台・9550番台
2013年に発生した発火事故を受けて、上記の「北斗」用の車両のエンジンなどを更新した車両。
キハ261系と同等のエンジンを搭載している。しかしその結果、編成全体としての出力は下がっており、速度種別が下がっている。
ジョイフルトレイン
以下の車両は臨時列車などで使用される車両。
6000番台以外は苗穂工場で製造された。
5000番台:「ニセコエクスプレス」
昭和63年に登場した北海道リゾート列車第4弾。
3両編成、最高速度120km/h
その名の通り、かつては主にニセコ方面の臨時特急に使われた。
また、2003年からは北海道日本ハムファイターズのロゴをあしらったカラーに変更され、臨時特急「ファイターズ号」などに使われていたこともあるが、現在は元の塗装に戻されている。
5100番台:「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」
平成元年に登場した北海道リゾート列車第5弾。
4両編成で、中間には2階建てのキサロハ182-5101を連結している。(デビュー時は3両編成だった)
展望の良さを売りにして、先頭車はパノラマカー方式の展望席に、それ以外はハイデッカー構造だったが、のちにスーパーカムイの踏切事故を受けて展望席が撤去されてしまった。もったいない。
5200番台:「ノースレインボーエクスプレス」
平成4年に登場した北海道リゾート列車第6弾。
5両編成、最高速度130km/h。青函トンネルを機関車牽引で通過可能なような対策がされており、ED79の牽引で本州乗り入れの臨時列車運用に就いていた。しかし、北海道新幹線が開通した現在は通過できるかどうか不明。
当初は3両編成で臨時特急「はこだてエクスプレス」に使われた。
一般車とも連結が可能で、実際に増結に使われたほか、片方の先頭車が踏切事故で離脱した際には代用としてキハ183-1を使っていたことがある。(しかもそのまま本州に行った)
6000番台
500番台・550番台から改造されたお座敷車両。時々定期列車に連結されていた。
2015年3月31日付で中間車のキハ182-6001が除籍。さらにその後キハ183-6001がHET色に塗装変更された。
JR九州の1000番台
JR九州が1988年に製造した車両。
両端先頭車が小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカー、同時期に165系電車の改造で登場した「パノラマエクスプレスアルプス」などと類似した展望室スタイルとなっている。
「オランダ村特急」として登場後、「ゆふいんの森」、「シーボルト」、「ゆふDX」と転用改造を繰り返され、2011年6月からは豊肥本線の観光特急「あそぼーい!」(熊本駅~宮地駅間)として運用されている。
なお、485系との協調運転が可能な設計となっており、実際にオランダ村特急としての運行時には鹿児島本線内で特急「有明」の485系と併結して運転されていた。
キハ183系の火災事故について。
平成25年に『北斗』で運用中のキハ183系の床下から出火する事故が発生している。
このことに関して、DML30H系エンジンの設計上の不具合(詳しくはキハ181系の項目で)を上げる向きがあるが、該当するキハ182形2550番代(2257号)の搭載するDML30HZ系はJR化後にシリンダーヘッドを変更して直噴化し、インタークーラーを取り付けた改良型(初期型のDML30HSのトラブルの原因の一つが予燃焼室式かつインタークーラーの省略による燃焼遅延によるもの)であり、さらに550番代→2550番代への改造に際してエンジンの補機類を一部変更している。
さらに遡って平成23年にはより新しいキハ283系が石勝線の『スーパーおおぞら』で火災事故を起こしている。
これらの事故は部品脱落・折損が原因であり、DML30H系エンジン搭載車はその製造時期からそのリスクが高まっているとは言え、根本的な原因は整備不良である。
他社(JR西日本・JR四国・JR九州)のDML30H系エンジン搭載車がこの種の火災事故を起こしたことはなく、同エンジンの原設計が原因とはいえない。