概要
経済産業省が行う情報関係の国家試験である情報処理技術者試験の一区分。略号はFE。対象者像は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者」。
情報処理技術者試験制度のスキルレベル2(スキルレベルは1から4が設定されている。)に相当する。2000年度(平成12年度)までの名称が第二種情報処理技術者試験であったことから二種という略称を用いる人もいる。
本試験の出題範囲は、「コンピュータ科学基礎・コンピュータシステム・システムの開発と運用・ネットワーク技術・データベース技術・セキュリティと標準化・情報化と経営」など多岐にわたる。 また、コンピュータ言語のプログラミングに関する問題が出されることから、主にプログラマー向けの能力認定試験として、情報産業界では古くから重要視される。現在ではシステム開発者・利用者の双方を想定した試験となっているが、午後のアルゴリズムは選択必須であり、依然としてプログラマーからシステムエンジニア(SE)への登竜門とされている。情報工学に関連するエンジニアの実務においてもベースとなる。特に大手システム開発会社ではこの試験に合格することが技術者の必要最低限の資格として重要視されることがあり、入社3年程度以内に取得することを推奨されている。その上で、応用情報技術者試験(応用情報技術者)など、上位の試験合格を目指すキャリアパスになっている。
受験者の年齢層は10代半ばから50歳代と幅広い。近年では、60代や70代など高齢者の受験も僅かながら増加している。受験者のボリュームゾーンは、19-21歳(主に情報系の大学生、専門学校生)と、22-25歳(主にシステム開発会社の新入社員)にある。合格者の平均年齢は24歳~26歳とボリュームゾーンよりやや高い年齢である。新卒のIT職の志望者の中で取得率は10%に満たないことや、大手や公的機関では合格者しか採用しないケースもある。公的機関では特に、情報技術の関連職の採用を、基本情報技術者の合格を基準に行い、大学卒業程度と位置づけられるのが一般的である。
応募者数に比して実際に受験した受験者数が例年低く(これは応用情報技術者試験も同様)、受験率は毎年60パーセントから70パーセント程度である。言い換えれば、3割程度の応募者は受験していない。
試験の難易度
出題範囲は下位資格のITパスポートとほぼ同じだが、基本情報技術者試験では午前・午後の二部構成となるため、難易度はITパスポートに比べて高くなる。
特に午後はITパスポートと違って長文を正しく読み解くことができる国語力が要求される上に、アルゴリズムとプログラミングの出題内容のレベルが大幅に強化されるため、難易度は格段に上がる。
そのため、プログラミングが苦手な文系の大学生の場合、むしろ上位資格である応用情報技術者試験や高度情報処理技術者試験のほうがやさしく感じる場合すらある。
ちなみに、午後のアルゴリズムとプログラミングは昔の第二種の頃からの鬼門として知られている。
試験名称に「基本」が含まれているため簡単な資格と誤解されがちだが、実際には難関資格の一つであり、合格率は例年20%程度しかない。
また、この試験は情報処理を専攻している大学生や現役のシステムエンジニア(IT土方)でも落ちることがある。
出題範囲
テクノロジー系
基礎理論
コンピュータシステム
技術要素
開発技術
マネジメント系
ストラテジー系
実施スケジュール
春期(4月第3日曜日)と秋期(10月第3日曜日)の年2回実施される。
試験形式
全般
情報通信技術全般から基本的な知識を問う問題が出題されるが、プログラマ等の開発者側だけでなく、初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)で対象としていた利用者側にも対応した試験となっている。 そのため、従前の試験の出題範囲に加えて、初級シスアドの内容であった問題が出題されるようになった。 例えば、午後試験で表計算ソフトの問題が選択可能となったことである。
採点方式は、純粋に正解率が60%以上で合格となり、配点が正解率によって変更されることはない。ただし、午後問題の1問ごとの配点は解答例公開時にも合格発表時にも公開されないため、午後問題の正解率が60%前後の場合は合格発表まで合否が完全に確定できない(情報処理の関連企業が公開する「予想配点」を用いて大体を予測することは可能である)。
午前試験
試験時間150分。四肢択一式(マークシート使用)で80問出題され全問解答。素点形式で採点され60点以上で合格。
- 問1-問50:テクノロジー系(コンピュータ科学基礎・ハードウェア・稼働率・ソフトウェア・論理回路・データベース(SQL、正規化)・ネットワーク・セキュリティ・設計)
- 問51-問60:マネジメント系(DFD・開発規模、工数など)
- 問61-問80:ストラテジー系(全体計画立案・業務改善・契約タイプ・経営戦略・ABC分析・利益や費用の計算・関係法規など)
午後試験
試験時間150分。素点形式で採点され60点以上で合格。なお、問1(セキュリティ)と問8(擬似言語)は必須問題である。
- 問1:情報セキュリティに関する問題(必須解答)。
- 問2-問7:ハードウェア、ソフトウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計、プロジェクトマネジメント、経営・関連法規などの6問から4問を選択。
- 問8:擬似言語と言われる簡略化されたコンピュータ言語を用いた応用問題(必須解答)。
- 問9-問13:C言語、COBOL、Java、アセンブラ、表計算のうち1問を選択する。いずれも(表計算の問題も含め)論理的思考力を要求される。
科目免除
2005年度(平成17年度)から、国または情報処理推進機構が認定した講座の修了者は修了日から1年間、午前の科目が免除される。
関連タグ
情報処理 コンピューター IT エンジニア プログラマー SE/システムエンジニア
サイバーセキュリティ ネットワーク データベース ハードウェア ソフトウェア アーキテクト 設計 経営 戦略 プログラミング プログラミング言語 C言語 表計算
関連資格
- ITパスポート/ITパスポート試験/iパス : 情報処理技術者試験制度のスキルレベル1に相当する試験。基本情報技術者試験が難しいと思う人は、まずはここから挑戦しよう。
- 応用情報技術者試験/応用情報技術者 : 情報処理技術者試験制度のスキルレベル3に相当する試験。基本情報技術者試験に合格し、さらに上を目指したい人は挑戦してほしい。
- 情報セキュリティマネジメント試験 : 情報処理技術者試験の区分の一つ。基本情報技術者試験と同じスキルレベル2に設定されているが、出題範囲が狭い分、こちらのほうが若干やさしいとされている。
- J検(情報検定):文部科学省後援の民間資格。出題傾向は基本情報技術者試験と類似しているが、難易度はやさしめ。
- 情報処理技術者能力認定試験 : 民間の検定試験。出題傾向は基本情報技術者試験と類似している。1級は基本情報技術者試験とほぼ同じくらいか、少しやさしめの難易度である。