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ITパスポート

あいてぃぱすぽーと

情報関係の国家試験(情報処理技術者試験)のひとつ。経済産業省主催。
目次 [非表示]

概要編集

日本で最も有名な情報処理資格試験の一つ。

こんな名前だが一応国家試験である。略称はiパス(アイパス)。


平成21年度(2009年度)より実施されている情報処理技術者試験の一つ。

経済産業省所管の独立行政法人である情報処理推進機構(IPA)が試験を実施している。


基本情報技術者試験をはじめ、情報処理試験の多くはシステム開発者(エンジニア)を対象としているが、ITパスポートでは、仕事でコンピュータを利活用する全ての社会人を対象としている。

これは情報セキュリティマネジメント試験(セキュマネ)と同様である。


ITパスポートという名前には、現代の情報化社会を生き抜くために必要な社会人パスポートという意味が込められている。

コンピュータの知識だけでなく、ビジネスの知識も問われるため、新社会人の教科書とも言われ、新入社員に対してITパスポートの資格取得を奨励している企業も多い。

また、大学生や専門学校生など学生の受験者も少なくなく、特に商業高校やビジネス系の専門学校では、日商簿記検定と並び受験が推奨されることも多い。


入門編(初心者向け)のIT資格としては、ITパスポートの他にも後述するMicrosoft Office Specialist(MOS)やP検、情報検定(J検)などがあるが、国家試験であることも相まってこの手の試験の中では特に知名度が高い。


イメージキャラクター編集

現在のイメージキャラクターは上峰亜衣(うえみねあい)ちゃん。

大手商社の経営企画部に勤務する23歳の女の子で、ITに強くなるためにITパスポート試験の受験を決めた。

1回目は不合格だったが、勉強方法を工夫して2回目で合格した。

名前の由来は「情報」「I(nformation)ないしI(ntelligence)」であろう。


ちなみに一時期、初音ミクがITパスポートのイメージキャラクターに就任したこともある。


試験の難易度編集

IPAが定めた試験制度では、最もランクの低いスキルレベル1に相当する。

ちなみに基本情報技術者試験はレベル2、応用情報技術者試験はレベル3、ネットワークスペシャリスト試験やデータベーススペシャリスト試験などが最高ランクのレベル4となっている。


ITパスポートは一般ユーザー向け、基本情報技術者試験などはエンジニア向けという観点で棲み分けがなされている、ということになっているが、実際には前述のスキルレベルの関係上、基本情報技術者試験の下位互換と言われてしまうことも少なくない。

ただし、分野によってはむしろ基本情報技術者試験より難しくなっていることもある(特にストラテジ系)ため、必ずしも基本情報技術者試験の下位互換とは言い切れない場合もある。


この試験の前身として、初級システムアドミニストレータ試験初級シスアド)が実施されていたが、ITパスポートはその初級シスアド(合格率は例年30%くらい)よりも難易度が低いとされている。

※初級シスアドは2009年(平成21年)4月の試験を最後に廃止された。


合格率は例年だいたい40〜50%くらいであり、国家試験の中では自動車運転免許と並び簡単な部類である。

ただ、腐っても国家試験なので、今までITに触れてこなかった者が学校の定期テストの感覚で一夜漬けしたり、数日詰め込んだりする程度で合格できるほど甘くはない。

全くの初心者の場合、数ヶ月程度のスパンで集中して対策する必要がある。

また、後述するように出題範囲が意外と広いため、内容自体は簡単とはいえ覚えることは結構多い。


余談だが、意外にも、IT業界でない企業に勤務している社会人のほうが、IT企業勤務の人よりも合格率が高いらしい。

これは非IT系の人はちゃんと勉強してから受験する場合が多いため。

逆にITエンジニアの場合余裕こいてちゃんと勉強せず、思わぬ所でつまずき不合格になってしまうケースが多いとか。


ちなみに最年少の合格者は小学1年生の7歳の子らしい。ITmediaより



評価編集

難易度こそ低いものの一応国家資格なので、全く意味のない資格とは言い切れない。

試験に合格すれば、IT業界以外なら履歴書にも堂々と書けるうえ、事務など業務の一環でパソコンを触るような職種ならこれでも十分アピールポイントになる。

特に就職活動を控えた(文系の)大学生の場合、TOEIC日商簿記検定と並んでオススメの資格と言われることも多い。


他にも、

など、意外とメリットの大きい資格でもある。


とはいえ、あくまで基礎的な内容の試験であるためIT業界では鼻で笑われるようなレベルである。

この資格だけでシステムエンジニア(SE)やプログラマーとしてやっていけるとは考えない方が無難。

IT業界(特にエンジニア方面)に身を置く者であれば、大変だろうが最低でも基本情報技術者試験には合格しておきたいところ。


また、公務員の技術職でも基本情報技術者試験以上の合格が応募条件になっており、ITパスポートは対象外であることが多い。


出題範囲編集

ITパスポート試験で出題される分野(科目)は以下の3つである。


テクノロジ系編集

情報技術についての知識を問われる分野。

コンピュータシステムハードウェアソフトウェア)、セキュリティネットワークデータベースなど様々な分野から幅広く出題される。

最近はセキュリティに関する内容が比較的多く出題されているらしい。また、アルゴリズムの問題も出てくるようになった。

アプリケーション表計算ソフト)の使い方についても出題される。


あくまで一般ユーザー向けの試験なので、エンジニア向けの基本情報技術者試験のような難しい内容は問われない。情報系の学生やIT企業に勤務している者なら楽勝だろう。

しかし、普段パソコンスマートフォンなどをあまり触らない人にとっては結構苦戦する分野でもある。

とはいえ、内容自体は高校情報教科書に毛が生えた程度であるため、ちゃんと勉強すれば理解できるようにはなる。


マネジメント系編集

主に仕事をする上での基本について問われる分野。

以下のような内容が問われる。


  • プロジェクトマネジメント

スケジュールや予算、人材などの管理手法について問われる。


  • サービスマネジメント

情報サービスの運用品質管理について問われる。


  • システム開発

その名の通り、システム開発の流れについて問われる。

あくまで一般ユーザー向けの試験であるため、基本情報技術者のような難しい内容は問われず、基礎的な内容に留まる。


ストラテジ系編集

主に経営戦略企業活動といったビジネス経営学)関係について問われる分野。法律に関する問題もある。


この分野は情報系の学生やパソコンに詳しい人でもちゃんと勉強しないと点数が取れないため注意が必要。特に学生時代、社会科(の暗記)が苦手だった人にとっては中々大変な分野である。

社会人大学生ならまだしも、ビジネスに疎い高校生が苦戦しやすいポイントでもある。


また、この分野に限り、基本情報技術者試験より難しい問題が出題されることもある。そのため既に基本情報技術者試験に合格している人でも、油断してストラテジ系の勉強を疎かにしているとITパスポート試験で不合格になってしまう場合(逆転現象)があるので要注意。


簿記(会計)の計算問題もあるが、レベル的には日商簿記検定3級よりも簡単なのでそれほど恐れる必要はない。

セキュリティ企業活動に関する法務についても問われる。




試験形式編集

4択問題が100問出題され、これを2時間(120分)かけて解答することになる。

分野別の問題数はテクノロジ系45問、マネジメント系か20問、ストラテジ系35問。

ただし100問のうち8問(テクノロジ系3問、マネジメント系2問、ストラテジ系3問)は採点対象に含まれず、実際に採点されるのは92問(テクノロジ系42問、マネジメント系18問、ストラテジ系32問)のみである。


試験時間は一見、長いように見えるが、1問あたりで考えると1分12秒(72秒)しかないため、問題数の割に決して試験時間は長いわけではない。

早く終われば途中で退席することも可能ではある。


ITパスポート試験では基本情報技術者試験や初級シスアドなど他の区分の午前科目に相当する4択問題のみが出題される。他の区分の午後科目のような長文問題は出題されない。

また、基本情報技術者などと異なり、全国で随時試験が実施されているため受験のチャンスが多い。


この試験は2011年(平成23年)11月から、CBT方式(Computer Based Testing)で実施されている。これは試験会場に用意されたパソコン上で受験する形式であり、国家試験では採用されるのはITパスポートが初めて。

CBT方式では、パソコンの操作に慣れていないせいで苦戦するケースが少なくないため注意が必要である。


2011年(平成23年)10月までは基本情報技術者試験などと同じ紙媒体の試験であり、4月と10月の年2回のみ実施されていた。

一応、今でも目の不自由な人(視覚障害者)向けに、従来通りのペーパー試験も用意されている。ただしこれを受験する場合は医師の診断書を提出する必要がある。視覚障害者向けのペーパー試験は4月と10月の年2回実施される(基本情報技術者試験などと同時に実施)。試験時間は原則2時間(120分)だが、場合によっては特別措置で3時間(180分)に延長される。


ITパスポート試験で出題される問題は受験者ごとにそれぞれ異なる。IPAが公表している過去問は、実際に出題された問題のごく一部しか収録されていない。


合格基準編集

総合評価で60%以上の得点率を取ると原則合格となる。


しかし、足切り制度があり、テクノロジ、マネジメント、ストラテジの3分野のうち、どれか一つでも分野別評価が得点率30%未満であった場合は、総合評価が満点の60%以上であっても不合格となってしまうため注意が必要。

そのため、「苦手な分野は捨てて他の分野で点数を稼ぐ」という手段が通用しない。苦手な分野があってもそれを克服する努力をし、バランス良く勉強する必要がある。


ちなみに、ITパスポートは合格するだけならそれほど難しくないが、一方で高得点を狙うのはかなり難しいと言われている。

内容自体は浅いとはいえ出題範囲はとても広い上に、時事問題も出題されるためである。


関連タグ編集

国家試験 国家資格 名称独占資格 基本情報技術者試験

国家試験iパスイラコン

パソコン検定

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