概要
- 東アジアから地中海世界までにわたる歴史的な交易路を指す呼称。交易路上では様々な産物が取引され、日本の正倉院などにも納められている。
- 韓国のJoymax社が開発したオンラインゲーム「ファンタジーオデッセイ・シルクロードオンライン」。
- YouTuber集団「Fischer's」のメンバーであるシルクロードのこと。→シルクロード(Fischer's)
歴史的な交易路、「シルクロード」
ドイツの地理学者リヒトホーフェンが現在でいう新疆ウイグル自治区の交易都市間をつなぐ道を、その主な交易品であった「絹」が中国から西方に輸出される道、という意味でシルクロードと呼んだことから始まる。商業取引は商人が到達できる限り遠方まで続くので、この交易路の起点が何処で終点が何処かは分析者の観点による。しかし、とにかく膨大な商品が行き来した交易ルートなのは間違いない。沿道の代表的な都市を幾つか以下に取り上げてみよう。
- 平城京:現代でいう奈良にあった日本の都。正倉院という当時の朝廷の宝物庫には、ペルシャやローマに至る貴重な宝物が納められている為、シルクロードの東の起点とも呼ばれる。
- 長安:唐王朝の都。現在は中国の西安。三蔵法師玄奘はここから旅立ってシルクロードを踏破し、インドから経典を持ち帰ったという(後の西遊記の原典となった故事)。
- 敦煌:唐王朝の西の拠点。ここからシルクロードは複数のルートに分かれ、タクラマカン砂漠、天山山脈、パミール高原という難所を越えていく。莫高窟という壮大な仏教遺跡が残る。
- ガンダーラ:今でいうアフガニスタン東部に当たる。インドとアレクサンドロス大王遠征によるギリシャ文化の両方の影響を受けた、仏教文化が栄えた王国であった。
- サマルカンド:今で言えばウズベキスタンにあるイラン系民族によるオアシス都市。8世紀からイスラム文化の影響下に入り、多くの美しい建築が残る。
- バグダッド:アッパース朝イスラム帝国の都にして当時のペルシャ文化の中心都市。100万を超えた人口とその繁栄ぶりは東の長安に匹敵した。
- コンスタンティノープル:東ローマ帝国の都であり、当時のヨーロッパへの玄関口である。東方の産物はいったんこの街に集まり、海路でローマへと運ばれていった。
この他にモンゴル高原からカザフ高原、カスピ海北岸を経由して黒海北岸に至る草原の道がある。主な交易品は黄金や毛皮、そして絹など。遊牧民族はこの交易ルートを押さえる事で勢力を得ていた。これら陸上の交易ルートに対して紅海やペルシャ湾からアラビア海、インド洋、マラッカ海峡を経て中国に向かう海上ルートは海の道と呼ばれる。船による大量輸送が可能な為、年代が下る程に主要な東西交易路となっていった。