「やられた!弱っ!!ザコかよ!」
「結論を急ぐな お前は強いさ!」
「何度やっても同じだっての! 任せろ!」
プロフィール
マスクで包めば一つ 葛藤する異なる?"自己"たち
一つを二つに データがわかれば何でも増やす
―――僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
概要
敵連合幹部の一人。雄英高校への林間合宿襲撃に「開闢行動隊」から加入。
人物
全身に黒と灰色を基調としたラバースーツを身に纏い、顔全体を覆うマスクを着用した男。左腕に着けているのはメジャー(巻き尺)。
口数が多く、一人で二人分の会話を行っているような喋り方も特徴。右を選ぶと同時に左を選び、誉めると同時に罵倒し、是正すると同時に否定する。
先に喋るAは本当のことを言っているが、後に喋るBはAの反対。もしくは、本来言うべき言葉とは反対の言葉を発している。
「知ってるぜ、このガキ共! 誰だ!?」
ただし、下記のトガヒミコが瀕死の重症を負ったときは「黙ってろよ!」「黙ってられるかよ!血まみれなんだぞ!」と、発言こそ反対の事ながら、どちらの発言も彼女の身を案じていた。
動向
林間合宿襲撃の際は、荼毘をその個性で増やし、足止め・時間稼ぎに徹した。戦闘時にはメジャーを武器に応戦する模様。
ある日、街中で死穢八斎會の若頭オーバーホールと出会い、敵連合まで案内する。
しかしその場での話し合いは決裂、仲間であるマグネとMr.コンプレスの左腕を失うことに。
その後、再度話し合いの席を設けた敵連合のリーダー死柄木とオーバーホールの間で提携が結ばれ、トガと共に八斎會で「出向組」として動くが、元より八斎會との交渉の際、マグネを殺害されたこと等で快く思っておらず、八斎會突入作戦で彼らを見限り、トガヒミコと内部工作に勤しむ。分断していたヒーロー達を合流させることで、八斎會との全面衝突へと導いた。
異能解放軍との抗争の際は、スケプティックと交戦し、自身が骨を折られながらも消えなかったことで自身が本物であると確信し、トラウマを克服・覚醒する。(覚醒に関しては下部へ)
連合の勝利後、超常解放戦線結成後は開闢行動人海戦術隊「BLACK」の隊長に任命される。
個性
個性は『二倍』。
一つのものを二つに増やすシンプルな個性。
対象物をしっかり精緻にイメージしなければならず、イメージが足りないと失敗して不完全なゴミが出る。例えば、人を増やすなら身長・胸囲・足のサイズなど多くのデータが必要(メジャーを装備しているのもそのため)。しっかり見てしっかり測って初めて増やせる。
「大事なのは自分が誰なのかよく知ることだ。」
対象が人間の場合、その人物の個性や人格までコピーすることができるが、複製はある程度のダメージが蓄積すると、泥の様なものに崩れ消滅する。劇中では荼毘の複製が倒されたことを察知しているため、離れた場所でも複製のことはある程度把握できる様子。同時に二つまで増やせるが、二つ目は一つ目より崩れやすくなる。
イメージさえしっかりと持っていれば本人がそばにいなくても二倍に増やすことができるが、人格も含めて複製しているのでコピーが協力してくれるかは交渉次第。また、ダメージを与える以外に複製を消す方法もない。その許容量は物によって様々で、成人男性なら骨折程度で崩れる。
複製体の外見は対象を測った時点での状態で再現し、性格や記憶などの内面はトゥワイスが最後に見た時点にアップデートされるため、オリジナルが負傷しても負傷前を複製出来る半面、初めて測る人物が負傷していた場合、負傷した状態でしか複製出来ない。
応用として複製体からオリジナルに輸血を行うなど増やすことを生かした医療処置を行える。
自分自身を増やすことも可能だが、過去のトラウマが原因で増やしたくないらしいが…?
覚醒
「"個性"「二倍」」
「その恐ろしさ思い知れや 解放軍!」
異能解放軍のスケプティックが用意した「本物と主張する自分の偽物」たちに襲撃される形で、トラウマを激しく抉られ追い詰められるが、そのまま相手が「滅多打ちの暴行を加える」という失策を取った事で、「ズタボロにされてるのに消えない」ことで自分が本物であることを漸く確信。そして自分が痛みを極端に恐れていたことを自覚。それこそ、皆がギガントマキアを相手に戦っていたときも。トラウマを克服し「"俺"が本物であろうがなかろうが、"俺"は仲間を傷つけない」という強い自負の元、再び自身を複製させ逆襲を図る。
「いこうぜトゥワイス!!皆殺しの時間だぜ!!」
無限増殖 哀れな行進(サッドマンズパレード)
骨折による自身が複製ではないという確信と、トガの危機により、トラウマを乗り越えた事で発動した技。本人曰く、「皆の愛と勇気がトラウマを塗りつぶしてくれたよ!」とのこと。
個性により自分自身を複製し、更にその複製に自身を複製させる事で無限に増え続ける。本来個性使用には複製する対象を測る必要があるが、自身の場合はそれに該当せず、瞬時に複製を行える。
その規模は凄まじく、瞬く間に泥花市を埋め尽くす程の複製を作り上げ、数によって圧倒する。
また複製体は記憶も複製しているため、複製した直後に限り、意思疎通を図らずとも連携を取ることが出来る。それに加え、本体が痛みへのトラウマを克服したことにより、分身達が仲間への盾になることも可能となった。
これにより同時に二つまでしか複製を作れないという欠点が改善され、味方も複数人同時に複製可能、更に自身程の効率では生み出せないが、事実上味方も同様に無限に増やすことが可能となった。
この技の登場で連合の兵力は本体が無力化されない限り無限となり、ホークスは「一介の小悪党から最も警戒すべき存在となった」と危惧している。
弱点として複製されたものはオリジナルより脆くなるため複製体を一層する範囲攻撃には弱い。またこの技はあくまでも自己犠牲を厭わない大切な者の為に使う場合にのみ成立するものであり、自己利益の為に使用すると上記のように複製体同士で反乱が起こってしまう危険性がある。
過去
「何をしてるって?いつもの日課さ 特別なことさ」
「そりゃ良かった 良くねぇ!!」
「俺も忙しいんだ 暇だよ」
「黙ってろ…!」「ダメだ…包まなきゃ…裂ける…分裂する…!!」
「包めば…一つだ……」
素顔は額の中央に傷跡がある金髪の男性。普段は寡黙なため、ヴィランとして活動する時とのギャップが激しい。喫煙者でもあり、彼の一日は一本のアメスピと観察から始まるのだが──…。
「独りです 家族はいません」
中学生の頃、ヴィランが起こした犯罪に巻き込まれたことにより両親を亡くす。親戚付き合いもなかったため引き取り手がおらず、天涯孤独の身となる。
そのため16の時には住み込みで働く様になるが、ある日バイクで走行中に飛び出してきた相手を撥ねてしまい、しかもそれが勤め先の取引相手の役員の親族だった為、会社から追い出され職と住処を失ってしまう。しかも、警察が「今回のようなケースでも君を無罪には出来ないんだ。」と言うほどに彼に非は無かったと言うのに。
「俺に落ち度はあったかな」
「あったとすればそうだな… 運を持たずに生まれたことだ」
周囲からは鋭い目付きを怖がられ、誰からも理解してもらえなかった。そのため、話し相手欲しさに自分自身を複製するようになり、悪事に手を染めるようになった。そうして自分自身を複製し、複製した自分がまた自分を複製、そうやって増えた分身を王様気分で従えて悪事や生活に利用していた。しかしある日、分身が反乱を起こし、殺されかけた。額の傷はその時に負ったもの。
分身らは本体を拘束すると今度はそれぞれが「自分が本物だ」と主張し合い、最後は殺し合いに発展して全員が消滅。目の前で自分同士が殺しあうという場面を9日間見続けた本体は、それがトラウマとなって自己同一性が崩壊し、自分が本物であるという確信が持てなくなった。
結果、個性を自分自身に使えなくなったことに加えて、常に反対の事を言う二重人格が形成されたために日々葛藤している。
マスクを被る(包む)と葛藤も落ち着き、口調やテンションも明るくなる様子。
逆にマスクが無いと壊れかけの精神が更に崩れて葛藤が始まる。徐々に他者との会話すら難しくなり、放っておくと独りごとを言い続けるような状態に。マスクを作る前までは紙袋などで代用していた。
突然起きた度重なる不幸のせいで、社会復帰が出来なくなる程心身共に落ちてしまったトゥワイス。困りかけた彼がブローカーの義欄に相談したところ、敵連合を紹介され、そうして受け入れてくれた連合が彼の大切な居場所となっている。
そのため、他のメンバーと比べても特に仲間意識が高く、自分が軽率にオーバーホールを連れてきたせいでマグネが殺害された時には、普段の相反した言動が消える程に激昂し「責任取らせろ!!」と絶叫していた。
余談
- コスチュームの外観や性格、多重人格などの設定から、MARVELのキャラクターであるデッドプールをオマージュしたキャラクターと思われる。
- ちなみにデッドプール自体がDCコミックのデスストロークへのオマージュやパロディの要素を含むキャラクターなのだが、担当声優である遠藤大智は2017年の映画「ジャスティスリーグ」でデスストロークの吹替を担当している。
- 単行本16巻のカバー裏では、恐らく全裸であろうトガの体をメジャーで計測しているイラストが掲載され、「事案発生」などとネタにされていた。
- 専用のコスチュームは義爛がオーダーしてくれた高額品であり、この時点で強盗などで得た金も失っているが、義爛がツケで肩代わりしてくれた様子(ただし仲介手数料は除いて)。
二倍どれほど危険なのか?
仮に一人が二体複製するのに掛かる時間が5秒だと仮定して休みなく複製し続けると
- 1分45秒で2097151人 異能解放軍の全勢力を上回る
- 2分で16777215人 東京の人口を上回る
- 2分15秒で134217727人 日本の人口を上回る
- 2分45秒で8589934591人 世界の人口を上回る
実際にはそう上手くはいかないだろうが、その気になれば現在を壊せる程のポテンシャルを秘めている。
この先、ネタバレ注意
263話でのプロヒーローと超常解放戦線の戦いでは、事前に警戒をしていたホークスに取り押さえられ動きを封じられていた。ホークスは「二倍を持つあなたを少しの猶予も与えたくなかった。常にマークする必要があった」と冷徹な表情で語った。彼は「会議前に解放思想のおさらい」の講義を利用してヒーロー側に個性の「剛翼」で暗号を送っていたのだ。当然トゥワイスはそれを知る由もなく死柄木の動向や居場所を話してしまった。それがエンデヴァーを含むプロヒーロー達がドクターの潜伏地を知ることにもつながってしまった。
彼は自分の行動がまた仲間達を貶めてしまったことを後悔してホークスと戦うことになるが、当然実力差はけた違いであり、サッドマンズパレードすら無意味であった。トドメを刺される寸前に荼毘に助けられ、「お前一人いればヒーローなんざ蹴散らせる。暴れろ、みんなが待ってるぜ」と部屋を脱出する。。
「受け入れてくれた恩を仇で返すんじゃねえ」と自分に言い聞かせたその時、荼毘との戦いから脱出したホークスの無慈悲な一撃に切り裂かれ、階段から落ちていった。
その際に彼は自分の半生を振り返っていく。
「確かに俺の人生は、落ちて、落ちて、落っとこされて、哀れで無意味に映っただろうな」
その頃、トガとコンプレスが感知系統のヒーローに拘束されてしまったが、背後からヒーローを首を刺していき間一髪で救出する。コンプレスは増えまくれと言い、トガと共に降りて地下へ逃げようとするが、トゥワイスは「増やせない」と謝る。2人を助けたトゥワイスは彼が増やしたコピーであり、本物は既にホークスに切り裂かれ、階段から落ちた時点から既に死んでいたのだ。
トゥワイスは体が熔けながら2人に自分の体をとどめるのに必死であり、コンクリを転げ落ちてしまったことを伝える。
彼は「ごめん二人とも...また俺のせいだ、またやっちまった、ごめん」
徐々に熔けていく彼はトガに近づき傷がついた彼女の顔を拭こうとした。そのハンカチは死穢八斎會の潜入時に裂けそうだったトゥワイスを彼女が「包めばひとつでしたっけ」と優しく包んでくれたものだった。なおも謝りつづけていくトゥワイスに対して彼女は
「たすけてくれてありがとう」
そう彼女は熔けていく彼を上記の言葉を言い抱きしめた。
そして彼は嬉しそうな表情で「自分でさまよって、自分よりも大事な仲間に恵まれた。これより最高な人生があんのかよ、死ねよ ホークス 運が悪かったなんててめえが決めるな 俺はここにいられて幸せだったんだ!」と彼女に抱かれながら彼は消滅していった。その際に本物の彼の素顔が出てきたが、それはコピーに宿った彼の残留思念そのものだったのかもしれない。
もし、輪廻転生という概念がヒロアカの世界にも残っていたら、今度は幸せな人生を歩めることを願うばかりである。