概要
漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』の主人公で、「辺境の勇者」と呼ばれる黒装束の美青年。目の色は赤だったり青だったりする。元ネタは民話『ハーメルンの笛吹き男』に登場する笛吹と実在する町のハーメルンだが、「人をハメるからハーメル」とも。
コントラバス並みの巨大バイオリンから奏でる魔曲を武器にし、操った相手の潜在能力を極限まで引き出すマリオネットも使える(代償は操った対象の寿命三年と副作用の地獄の筋肉痛)。天才的な音楽家としての才能と、豊富なクラシック音楽の知識を持つ。
魔族の本拠地である北の都・ハーメルンを目指し、喋るカラスのオーボウ、スタカット村で出会った村娘フルート、愛の勇者を名乗る親友ライエル、魔族に滅ぼされたダル・セーニョ国の王子トロン・ボーンと旅をしている。
性格はわがままで横柄で金に汚い守銭奴。ギャグパートではバイオリンでおびき寄せた鳩を撲殺して喰ったり、村人に法外な報酬を要求したり、金儲けのためにフルートを売ろうとしたりマリオネットで操って芸をさせたり、オーボウを鍋にしたりバニーガールにしたり、ライエルをいじめて女装させたりなど多くの悪行を重ねる外道勇者だが、実は根は優しく仲間思いで寂しがり屋。
好物は鍋料理の鍋奉行だが、これは味が好きなのもあるが仲間で楽しく食べられるからという理由がある。
何かと他人をいじめたがる困った性分だが、幼い頃のトラウマ(後述)があってか打たれ弱いという弱点がある。つまり根っからのドS。
当初は「ケンカに弱いのでバイオリンで弱っている内に魔族を倒している」という発言があり、バイオリンで他人を戦わせてばかりいる卑怯者とされていた。
好きな子をいじめたがる小学生のようなタイプで、フルートには徹夜で作ったお手製の動物やら乗り物の着ぐるみを着せて芸などをさせたり、マリオネットで戦わせまくったり爆弾の着ぐるみを着せて武器にしたりと愛情表現は屈折している。
(「ギャル投ゲー」と呼ばれるゲーム版では踏み台や乗り物にしたり「フルートミサイル」とぶん投げたりしている。)
帽子の下には重大な秘密を隠しており、他人に触れられるのを極端に嫌っている。
正体と過去
実は人類の敵・大魔王ケストラーが人間に化けて天使の血を引く聖女パンドラに産ませた子供で、魔界軍王の一人である妖鳳王サイザーは生き別れの双子の妹。ちなみにバイオリンは元々パンドラが持っていたもの。
大魔王である父親の血が濃いせいで頭に一本角が生えており、幼い頃から母親のパンドラと共に迫害されていた。
唯一親しくしていたのはアンセムの領主だったライエル一家で、ライエルとは「ハーちゃん」「ライちゃん」と呼び合う仲だった。この頃は友達想いで健気な性格だったのに、どうしてあんなクズに…
ところが14年前、目の前でパンドラが村人に裏切られてベースら魔界軍王に水晶にされて浚われ、怒りと悲しみで「大魔王の血」が覚醒し殺戮本能の塊に変貌。自分を守っていたライエルの両親も巻き添えに村人らを皆殺しにするという『アンセムの悲劇』を引き起こしてしまう。
この事件からライエルに両親の仇として狙われ、ハーメルにとっても根深いトラウマとなって他人を寄せ付けたがらなくなった。
母を取り戻すために北を目指しており、後にライエルとは和解してよき相棒に。また、自分を信じてついて来てくれるフルートを心の拠り所にしており、一時は魔族化で傷つけるのを恐れて突き放そうとした。
人間の嘆きや苦痛を喜びとする魔族にはハーメルの悲惨な過去と心の脆さは格好の弱点として、何度もえげつない心理攻撃を仕掛けられてしまう事に。
アニメ版
シリアスの緩和剤となっていたギャグ要素が抹消されているため、無口で心優しく人を寄せ付けない性格。しかし、最も原作に性格が近い1人とも言われる。中嶋敦子女史によるキャラデザで美形度も大幅アップしている。
13年前に記憶喪失の状態でスタカット村に流れ着いたという設定で、幼馴染のフルートを大切に思っている。終始フルートに優しいという原作ではありえないきれいなハーメルの姿を見ることができる。
「魔族として生きる」か「人間として生きるか」の間での葛藤が心の均衡を保っていた側面があり、「人間としてフルートと生きる道」を選んだ途端、皮肉にも大魔王の魂の新たな依り代とされるが完全に大魔王と化す前にフルートの手でパンドラの箱に封印された。
第1エンディングテーマである傷だらけのツバサはハーメルのことをイメージしたような歌である。